「しんぶん赤旗」2021/12/14

原爆被害者すべて救済を 被爆体験者も同じ
長崎被爆地域拡大協議会 山本誠一事務局長

 被爆者と認められていない長崎県の「被爆体験者」、津村はるみさん(76)は、爆心地から約8キロにある香焼村の祖母宅に寝ていました。生後19日のはるみさんは、爆風により布団ごと玄関まで吹き飛ばされたと、母親から聞かされていました。母親はその後乳がん、子宮がんを患い亡くなり、はるみさんも50歳のとき甲状腺がんを患い甲状腺を全摘しました。
 しかし、交付された「被爆体験者精神医療受給者証」は被爆者健康手帳とは違い、がんは医療費給付の対象外です。はるみさんは、「広島の“黒い雨”被害者と同じ被害を受けているのに被爆者と認めないのはひどい」と語っています。
 同じく「被爆体験者」の中橋光義さん(86)は、10歳の時、爆心地から8・5キロの茂木で被爆。爆風で母親と吹き飛ばされました。母親が原爆症と診断され、はじめて被爆したことが心配になりました。「体調がおかしうなったので、病院に行ったら白血病と診断されました。国はどうして被爆体験者を被爆者と認めんとか」と訴えています。
 菅前首相は、「黒い雨」訴訟の広島高裁判決に対し、上告断念し「同じ事情にあった方々について認定し、救済するよう検討する」との談話を閣議決定しました。 
 私たちも同じ原爆被害者です。被爆から76年たっても救済されない人が、大勢います。広島高裁判決のうえに立ち、長崎の原爆被害者についても同様に認定するよう強く要請します。