「しんぶん赤旗」2021/10/28

諫早湾干拓差し戻し審進行協議

 長崎県の国営諫早湾干拓事業で、潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう国が求めた訴訟の差し戻し審で、話し合いによる解決を提案していた福岡高裁(岩木宰裁判長)は27日、進行協議を打ち切りました。国が「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」との言い分に固執し、「これ以上の続行は難しい」と判断したものです。

次回12月1日を口頭弁論期日に変更し、この日に結審する予定。判決は来年3月頃になる見通しです。

 同高裁は、今年4月、「和解協議に関する考え方」(考え方)を提示。「開門をめぐる問題が複雑・深刻化し、話し合いによる解決の外に方法はない」として、和解協議の場を設けるための進行協議を6月に開始しました。漁業者側はこれを高く評価し、話し合いによる解決に向け力を尽くしてきました。

 報告集会で馬奈木昭雄弁護団長は「裁判所が示した『考え方』には、国民の利益を考えようと書かれている。しかし、国は国民のことより裁判に勝つことに必死になっている」と批判し、「開門確定判決を守らないなど、国民は絶対に許さないと国に突きつけていこう」と呼びかけました。

 漁業者の松本正明さんは「体が続く限り、勝ち抜くまで頑張っていきたい」と力を込めました。

 日本共産党の田村貴昭前衆院議員らからの激励のメッセージが読み上げられました。