「しんぶん赤旗」2020/11/19
民商に相談 希望見えた 長崎・東彼杵郡 会員数史上最高に
 「民主商工会(民商)に相談してコロナを乗り越える展望が見えてきた」―中小業者から喜びの声が聞こえてきます。長崎県の東彼(とうひ)民商は、“街の灯を消すな”と全業者を視野に入れた相談活動を進め、史上最高の会員数に達しています。(青柳克郎)

 「民商が相談に乗ってくれたおかげで持続化給付金を受給でき、初めて融資を申し込んだ日本政策金融公庫からもコロナ特別貸付を受けられました。私たち夫婦だけでは無理でした。商売を続ける希望を感じています」
 4月に入会した前田晴子さん(61)が語ります。夫の青地さん(66)とともに30年間、地場製品である陶磁器へのデザイン印刷業を営んでいます。
 コロナの影響で業務用食器の需要が激減し、春から夏の売り上げは昨年の半分以下。資金繰りに悩んでいたところ、取引先の民商会員から民商への相談を勧められました。

制度をフル活用

 東彼民商事務局は、一緒にパソコンを見ながら持続化給付金の申請を進めるなど親身に応対。消費税の分納など、さまざまな制度を紹介しました。いま前田さんは教わった制度をフル活用し、知人の業者に「困ったことは民商に相談して」と声をかけています。
 東彼杵(ひがしそのぎ)、波佐見(はさみ)、川棚の3町で活動する東彼民商。地域人口は3万6000人、中小業者は1200ほどです。陶磁器のほか茶が地場産業ですが、コロナによる需要減やイベント販売の中止等で大打撃を受けています。
 同民商は、地元の業者が大量に廃業すれば地域経済が成り立たなくなると議論。全業者規模で相談活動を進めようと相談を呼びかけるチラシを配布し、はがきを計1200枚郵送しています。
 4月以降25人の新入会員を迎え、業者数比で15%近い組織を築いています。

空調設備を更新

 7月に入会した飲食店経営の男性(48)は、はがきを見て相談した一人。民商の支援で持続化給付金や家賃支援給付金を受給し、国保税減免も受けました。飲食店に対する県の補助制度を教わり、空調設備の更新も実現しています。
 「民商に出合えたことで商売を続けられています。もしも業者が次々とつぶれたら、街はゴーストタウンになってしまいます。街の灯を守っているのは民商だといってもいいと思う」
 波佐見町では、同民商が1月に発足した中小企業等振興会議に参加し、地域振興策を提案しています。
 同民商は現在、持続化給付金の再給付や消費税の減税・減免などを国に求める運動を強めています。杤原明浩事務局長は「一人の業者も取り残さないよう、業者への声かけをさらに強めたい。民商を大きくして発言力を増し、国や自治体を動かして営業を守り抜きたい」と語ります。