「しんぶん赤旗」2020/8/5
長崎爆心地公園でアートプロジェクト「声紋源場」完成
 長崎原爆被災者協議会は3日、長崎市の爆心地公園の地面に、被爆者の声紋を描くというアートプロジェクト「声紋源場」の完成披露とデモンストレーションを行いました。このアートプロジェクトは、長崎被災協の長崎市被爆75周年記念事業の一環です。

 作者は、ドイツやメキシコを拠点に創作活動を行う芸術家の竹田信平さん(41)。世界中に離散した被爆者の「声」を訪ね歩いて収集し、その声紋を書き写すというもので、爆心地公園の地面は、地震波形のような白い線で埋めつくされました。

 所々に四角く囲まれ、数字が書かれた地点が13カ所あり、そこに専用アプリ「グラウンド・ゼロ」をインストールしたスマートフォンをかざすと、旗と写真が浮かび上がり、被爆者の「声」が聞こえてきます。

 すべての旗にタイトルがついており、現在の「伝えたいこと」から過去にさかのぼり、「戦争の始まり」へとつながります。ゼロ地点では4bの高さの炎のような彫刻が見えるようになっています。

 証言は、原爆症発症の恐怖におびえ「長崎を出ればその恐怖が薄れていくのではないか。そう思って長崎を出た」と当時の心情を吐露する男性など、12人の被爆者が語っています。

 体験した男子大学生(24)は「爆心地公園という場所で、自分のスマホを使い、被爆者の声を聞くというのは記憶に残ると思う。僕たちの世代にぜひ体験してほしい」と話しました。