「しんぶん赤旗」2020/7/22
長崎市の性暴力裁判 弁論準備手続き
 2007年に長崎市で取材中、当時の市原爆被爆対策部長(故人)から性暴力をふるわれ、虚偽のうわさの流布などで二次被害も受けたとして、女性記者が市に約3500万円の損害賠償と謝罪を求めた訴訟の、非公開の弁論準備手続きが20日、長崎地裁(天川博義裁判長)でありました。

 終了後、女性側弁護士が記者会見し、田上富久市長ら当時の幹部職員5人の証人尋問を申請する予定であることを明らかにしました。女性側は「原告女性と加害部長は合意の上だった」とする市側の報告書には、原告が言っていないことまで記載されており、証人尋問で、報告書の信用性についてただしたいとしています。

 この日の弁論準備手続きで市側は、これまでの経過の中で「黙示の和解」が成立していたと突然主張してきました。

 女性側は、和解は結んでいないとして、市が主張する「黙示の和解」は法律要件を充たしておらず、主張自体不当で前代未聞だと批判。「性暴力は被害者の生きる基盤を奪うものだ。このような根拠のない主張は、傷口に塩をぬるようで、悪意に満ちている」と全面的に争う姿勢を示しました。