「しんぶん赤旗」2020/10/10
石木ダム工事差し止めを求めた訴訟控訴審 第1回口頭弁論
 長崎県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム事業をめぐり、地元住民らが、工事差し止めを求めている訴訟の控訴審第1回口頭弁論が8日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)でありました。

 地元住民の岩下すみ子さん(71)が意見陳述し、「何十年もの間、重ねてきた『暮らし』が石木ダム事業によって強制的に排除されようとしている。そんなにも私たちの人生や決断は軽いものなのか。少数者だと切り捨てないでほしい」と訴えました。

 一審の長崎地裁佐世保支部の判決は、必要のない工事で平穏に生きる権利を侵害されたとする住民らの訴えに対し、「人間の尊厳という概念が抽象的で内容も範囲も不明確」などとして棄却しました。

 住民側代理人の鍋島典子弁護士が意見陳述し、「居住地を奪われるということは、それまでの生業や生活環境、地域コミュニティとのかかわりあいを奪われ、人格を形成し、幸福を追求してゆくという全人格的な生活が奪われるということ」と一審判決に反論しました。

 高橋謙一弁護士は利水に関して、市が行った実績値から大きく乖離した2019年度水需要予測の「でたらめさ」を指摘しました。

 住民側は、裁判官による現地調査を要求しました。次回期日は12月10日です。