「しんぶん赤旗」2020/3/20
日本環境会議のメンバーが諫干現地視察
 各分野の研究者、弁護士、市民などでつくる「日本環境会議」(理事長=寺西俊一・一橋大学名誉教授)のメンバー13人は16日、国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防や干拓農地などを視察し、農漁民から聞き取りをしました。

 同会の「諫早湾干拓問題検証委員会」の正式発足(4月)に向けての現地調査で、年内には地域の経済や有明海の再生に向けた提言をまとめる予定です。

 潮受け堤防中央展望所では、佐賀県太良町の漁業者平方宣清さん(67)が「魚が激減し、後継者はいなくなり地域の祭りもできない。地域経済が廃れてしまう」と訴えました。

 中央干拓地では、松尾公春さん(63)の農地を視察。松尾さんは、調整池から飛来するカモに食いつくされたブロッコリーの畑を前に「県は『カモは自分で追い払え』と何もしてくれない。優良農地といわれて入植したがとんでもない」と憤りをあらわにしました。

 視察後の総括会議では「市民も含め地域全体で、諫早湾の環境を良くしていくにはどうしたらいいのかという議論が必要」「掛け声は農業で始まったのに、農民のことが考えられていないことにショックを受けた」などの声があがりました。

 寺西理事長は「有明海の自然や生業、文化がこのまま荒廃していくのはあまりにももったいない。そこを大きく切り替えていけるような夢のあるビジョンを出したい」と語りました。