「しんぶん赤旗」2020/1/31
国営諫早湾干拓事業 営農者訴訟口頭弁論
  国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の干拓農地の元営農者2人と、現在営農を続ける2法人が県農業振興公社と国、県に対し、損害賠償や潮受け堤防排水門の開門を求めた訴訟の口頭弁論が27日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)でありました(元営農者は損害賠償請求のみ)。

 営農地では農地の排水不良や冷害・熱害、調整池に飛来するカモによる食害などが深刻です。営農者は困難な農業を強いられており、すでに13経営体が撤退しています。

 公社や国、県は元営農者に対して「2013年に撤退しているので時効が成立し、損害賠償は請求できない。我々に責任はない」と主張。次回期日(5月11日)までに原告側が反論します。

 弁論後の報告集会で中原昌孝弁護士は、県や公社の「冷害などは認められないし、排水不良にも対処してきている」との言い分を紹介。「損害賠償も開門も徹底的に求めていく」と語りました。

 堀良一弁護士は、国や県が陳述で「欠陥農地だといいながら営農を続けるのであれば、さっさと出ていけばいい」と述べていることを紹介し「苦労して営農している人たちの気持ちに一切目が向いていない。こんな態度を許してはいけない」と強調しました。

 原告で営農者の松尾公春さんは「干拓農地が守られているのは農家の努力があるからだ」と憤りの声をあげました。