「しんぶん赤旗」2020/3/11
諫干開門訴訟事実見ぬ不当判決 長崎地裁、漁業者請求認めず
 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の即時開門を国に求めて長崎県内の漁業者33人が起こした訴訟の判決が10日、長崎地裁であり、武田瑞佳裁判長は、漁業者らの請求を全面的に棄却する不当判決を出しました。

 判決では、諫早湾内の奥部では硫化水素も発生したなど潮受け堤防締め切りと、環境変化との因果関係を認めながら、「これらの環境変化が漁場環境を悪化させたと認めることはできない」と漁業被害との因果関係は否定しました。

 判決を受け「よみがえれ!有明訴訟」弁護団は「原告らの請求を棄却する結論ありきの判断で、到底受け入れることはできない」と抗議。今回の不当判決でも開門と開門差し止めの確定判決が併存する状況に変わりはないとして、国が非開門に拘泥せず和解協議に応じるべきだとの声明を出し、控訴する方針を示しました。

  判決後の報告集会で馬奈木昭雄団長は「事実を大切にせず、科学的なものの考え方をしていない。論理的に説明して国民が納得する判決を書く能力を持っていない」と酷評しました。

 ノリ漁師の室田和昭さん(76)=瑞穂漁協=は「ここ数年、色の薄いノリしか取れない。裁判官はきちんと漁場と生活を見て判決を出してほしかった」と切々と語りました。