音楽との出あいは中学生の時に始めたギター。図書館で借りた『音楽通論』（清水脩著）という本に刺激を受け作曲を始めました。

　長崎市出身で母親は被爆者。親戚にも被爆者が多いといいます。ベトナム戦争が激しかった中・高校時代。「仲間とさまざまに論議したことが自分の生き方につながり、作る歌にも反映していきました」と語ります。

　県庁職員時代の１９７９年には、作曲した「霧の大瀬戸西彼（せいひ）線」がＮＨＫ「あなたのメロディー」に選ばれ、歌手の弦てつやさんによって歌われることも。

　長崎の被爆者・故渡辺千恵子さんの半生を描いた、合唱組曲「平和の旅へ」（８５年初演）では、作詞・作曲のほとんどを担いました。渡辺さんは１６歳の時、長崎で被爆。「車いすの被爆者」として生涯、核兵器廃絶を訴え続けました。指揮者を務める「平和の旅へ」合唱団は演奏を重ね、延べ１５万人に歌声を届けてきました。

　ＮＰＴ再検討会議開催に合わせ、国連ロビーで演奏する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で延期に。「たっぷり練習して次の国連での演奏に臨みます」。常に前向きです。