「しんぶん赤旗」2020/1/18
土曜人とき 長崎市在住 森川恵美子さん(73)
「長崎のうたごえ協議会」議長で被爆者の半生を歌い続ける

 今年4月の核不拡散条約(NPT)再検討会議開催中の国連本部ロビーで、合唱組曲「平和の旅へ」を約40人の合唱団の仲間とともに演奏します。

 「平和の旅へ」は、長崎で被爆したことで下半身不随となり、10年間寝たきりだった故渡辺千恵子さんが、母親や仲間に支えられ「車いすの被爆者」として世界で被爆体験を語るようになるまでを綴った創作曲。うたごえの仲間たちがその半生を聞き取り作詞・作曲しました。

 1985年に初演。反響は大きく、その後「平和の旅へ」合唱団を結成し現在までに、約260回公演。「この曲は長崎のうたごえの原点」といいます。初演から歌い続け、「歌う語り部」として約15万人に届けてきました。

 演奏を聞き「将来先生になって子どもたちに聞かせたい」との夢を抱いた女子中学生。教師となり滋賀県から教え子を連れ、再び演奏を聞きに来ました。「感動させられました。こんな風に平和のタネが全国に飛んでいけば、核兵器廃絶につながると実感した」と笑顔をみせます。

 ニューヨークで初めて開催される原水爆禁止世界大会では「日本のうたごえ全国協議会」の一員としてオープニングを飾る予定。「被爆者のことを知る人が少ないアメリカで、被爆者の苦難の道のりをこの歌を通して伝えたい」―ニューヨークへ思いをはせます。