「しんぶん赤旗」2019/8/31
ラムサール・ネットワーク日本 石木ダム建設事業の中止を求めて意見書
 ラムサール条約に基づく考え方・方法により、湿地の保全、再生、賢明な利用の実現などの自然保護活動に取り組む、NPO法人「ラムサール・ネットワーク日本」は29日、長崎県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム建設事業の中止を求める意見書を、中村法道知事と朝長則男市長に宛てて提出しました。

 元ラムサール条約事務局次長のニック・デイビッドソン教授らは、8月25日に開催された同団体の設立10周年記念シンポジウムに先立ち、ダム建設予定地などを視察しました。これをふまえ、意見書では「ラムサール条約には、河川流域管理に関するガイドラインの中で『水の流れは、自然の生態を維持できるように、自然の水循環にできるだけ近い形にしなければならない』と記述するなど、水の自然な流れを守ることを要請する決議などが数多くある」と紹介。「締約国(日本も)は履行義務を負っており、ラムサール条約決議の遵守という観点からも石木ダム建設事業は中止されなければならない」と指摘しています。

 そのうえで、「石木ダム建設事業は、"水の自然な流れ"を阻害し、とりわけそこに現に住む人々の故郷を奪って立退きを強制し、川や田んぼという湿地の『賢明な利用』に反しており、数々のラムサール決議の精神と全く相いれないことは明らか」だとして、石木ダム建設事業を即時に中止すべきことを強く求めています。