「しんぶん赤旗」2019/9/4
長崎県の子どもの貧困について考える学習講演会
 長崎県社会保障推進協議会は8月31日、長崎県が昨年初めて実施した「子どもの生活に関する実態調査」などをもとに、長崎県の子どもの貧困について考える学習講演会を長崎市で開催しました。高校生を含む68人が参加しました。

 小西祐馬長崎大学准教授(41)が「実態調査」の結果を分析、報告しました。調査は、県内の小学5年と中学2年の児童・生徒と保護者約2万人を対象に実施(回収率95・9%)。県の子どもの相対的貧困率は11.3%でした。

 小西氏は、国の子どもの貧困率は13.9%でそれより低い結果となっているが、県の貧困線の中央値が国より100万円低く設定されており、国の設定で計算すると、貧困率は国より高くなるだろうと指摘。県全体の低所得傾向が深刻であると述べました。

 小西氏は、赤字家計で未治療の虫歯がある子どもは、黒字家計の子どもの約4倍になるなど、貧困は金の支出と関係ある項目で顕著だと解説。「日々の生活で不安やイライラを抱えるなど、保護者の心身の健康状態も深刻で、子どもにとって大きな問題」だと語りました。

 今後の課題として、子どもの貧困の解決には「大人の貧困」の解決を目指した総合的な対策が必要と強調しました。

 長崎保険医協会の本田孝也会長、渡邊芳明同常任理事、M崎智賀子県立高校養護教諭からの報告もありました。