「しんぶん赤旗」2019/11/20
石木ダムの建設工事差し止め訴訟が結審
 長崎県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム事業で、地元住民らが、県と同市を相手に工事差し止めを求めた訴訟の第13回口頭弁論が18日、長崎地裁佐世保支部(平井健一郎裁判長)でありました。地元住民らが意見陳述し、結審しました。判決は来年3月24日です。

 この日は、土地収用法によるダム予定地の家屋を含む全ての土地の明け渡し期限で、19日以降、県や市は住民らを強制的に排除することができる行政代執行を知事に求めることが可能になります。

 陳述した地元住民の岩下和雄さんはこのことにふれ、「人格権を無視し、財産を奪い取る行為は全国でも類を見ない暴挙で、絶対に許すことはできない」と訴えました。弁護団も陳述し、利水面、治水面においてもダム関連工事の必要性・公共性はないと指摘。裁判所に対し、「原告らが工事によって奪われるもの一つひとつに正面から向き合い、答えてほしい」と強く求めました。

 傍聴と報告集会には岐阜県や福岡県などからも支援者が参加しました。報告集会で石木ダム対策弁護団の高橋謙一弁護士は、県河川課長が「災害は追い風」と発言したことにふれ、「人の不幸に頼らなければ事業が進められないほど県は追いつめられている」と強調しました。

 裁判に先立ち、地元住民と支援者は県庁を訪れ、県に対しダム建設の中止を求めました。