「しんぶん赤旗」2019/9/20
石木ダム地権者と知事が面会 「石木ダムつくらないで」
  長崎県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダムを巡り、ダム建設予定地の家屋などを含まない土地の明け渡し期限となる19日、反対地権者13世帯49人が県庁で中村法道知事と5年ぶりに面会しました。4歳から92歳までの地権者が知事に思いをぶつけました。

 「知事、どれだけ弱い者いじめをするのですか。生まれ育ったこの地に住み続けることは悪いことなのでしょうか。強制収用はやめて下さい」。松本好央さんの厳しい声が響きました。娘の晏奈(はるな)さん(高校2年)は「家族みんなで田植え、稲刈りもしています。思い出がいっぱい詰まった川原(こうばる)を奪われるのは絶対嫌です」と涙を流し、炭谷沙桜さん(小学3年)も「ダムをつくらないで」と泣きながら知事に手紙を渡しました。

 92歳で最年長の松本マツさんは「この歳になって何処に出ていけと言わるっとでしょうか」とつぶやくように訴えました。

 地権者らの切実な声にも知事は聞く耳を持たず、ダム建設中止には言及しませんでした。しかし、今後も話し合いは続けると約束しました。

 面会には嘉田由紀子参院議員が同席。県庁の外では日本共産党の真島省三前衆院議員も駆けつけ支援者約30人がスタンディングで激励しました。

 石木ダムを巡っては、県収用委員会が今年5月、全ての土地の明け渡しを命じる裁決を出しました。地権者の家屋を含む土地の明け渡し期限は11月18日。これ以降は、強制的に立ち退かせる「行政代執行」の手続きが可能になります。