「しんぶん赤旗」2019/11/15
国営諫早湾干拓事業、営農者訴訟と第4陣開門訴訟弁論
 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の干拓農地の元営農者が、農地の排水不良や冷害・熱害などが原因で営農を続けられず撤退を余儀なくされたとして、県農業振興公社と国、県に対し400万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)でありました。被告側は請求の棄却を求めました。

 地裁はこの訴訟と、現在干拓農地で営農を続ける2法人が、国などに損害賠償や潮受け堤防排水門の開門を求めている訴訟とを併合して審理することを決めました。

 同日、諫早市小長井町と雲仙市瑞穂町の漁業者による第4陣開門請求訴訟の口頭弁論もありました。漁業者側弁護士は、「漁業被害が続く限り、開門を求めて立ち上がる漁民が続いていく」と指摘。地裁に対し、地裁で継続する訴訟の審理を通じて、全体的に紛争を解決するための指針を示すよう求めました。

 門前集会で漁業者の平方宣清さんは、今年の有明海の漁業被害について語り、「後継者のいる投網漁では、今まで獲れていたコハダが漁に出ても100`獲れず、みんな危機感を持っている。有明海で唯一獲れていたノリも史上最悪の出来になるのではないか。国は漁業者を見殺しにしてしまうのか」と怒りをあらわにしました。