「しんぶん赤旗」2019/9/25
諫早湾干拓事業 営農者が新たに国と県を提訴
 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の干拓農地に入植していた農業生産法人と個人が24日、農地の賃貸人である県農業振興公社と国、県に対し、損害賠償を求め長崎地裁に提訴しました。現在、干拓農地で農業を続けるマツオファームら2社が同趣旨で係争中ですが、本件はそれに続くものです。

 訴えたのは、有限会社「匠集団おおぞら」の荒木隆太郎社長(71)=南島原市=と大崎吉重さん(64)=諫早市=。

 訴状では、優良農地とのふれこみにもかかわらず、排水不良や冷害・熱害により作物に多大な被害が発生したり、環境保全型農業の押し付けで、雑草が繁殖しショウガや玉ねぎの収穫ができなかったと主張。このため生じたリース料滞納に対して、公社は作付の制限を強制。結果、両者は5年間で大幅な赤字となり、多額の借金を抱え撤退を余儀なくされたとして損害賠償を求めています。

 長崎県庁内で記者会見した荒木氏は「莫大な投資をして夢ふくらませて入植したが、排水不良でジャガイモは腐り、撤退せざるを得なかった」と悔しさをにじませました。公社からの度重なる嫌がらせやリース料の督促などで体調を崩し療養中の大崎氏は「うまいものをつくりたいと入ったが、不良農地のせいで願いはかなわなかった」と怒りを込めました。