「しんぶん赤旗」2019/9/13
国営諫早湾干拓事業・営農者訴訟 口頭弁論
 国営諫早湾干拓事業の干拓農地(長崎県諫早市)に入植した農業生産法人2社が、調整池があることで起こる冷害やそこに飛来する野鳥が農作物を食い荒らすなどの被害を受けたとして、農地を管理する県農業振興公社と国、県を相手に損害賠償や潮受け堤防排水門の開門を求めた訴訟の口頭弁論が10日、長崎地裁でありました。

 弁論では被告側が「冷害も食害も存在しない」と主張。馬奈木昭雄弁護士は、次回裁判で詳細に反論すると述べました。原告のマツオファームの松尾公春社長は「振興公社は、畑でカモの食害などを見ている。それがないというのはおかしい。そのことが営農者の経営を圧迫しているのは紛れもない事実。今年も冬が来る。見てもらえばわかる」と語りました。

 この日、新たに2事業者が、長崎地裁に追加提訴することが明らかになりました。提訴するのは、干拓農地から撤退した事業者で、係争中の訴訟と同様の内容で損害賠償を求める予定。馬奈木弁護士は「今月中に提訴し、その後、開門請求も付け加えることになると思う」と話しました。

 弁論後の報告集会で中原昌孝弁護士は、「これまでに約2事業者が撤退しており、干拓農地の営農は破たんしているのではないか。営農の未来のためにも開門しかないということがこの訴訟を通じて明らかになってきている」と述べました。