「しんぶん赤旗」2018/12/4
カネミ油症考える カメラマンの河野裕昭さん講演
 カネミ油症患者の写真を撮り続けてきたカメラマンの河野裕昭さん(68)の講演会が11月30日、長崎大学で開かれました。学生を含む約100人が参加しました。「油症事件とPCB汚染を考える2018」長崎展実行委員会の主催。

 河野さんはカネミ油症の加害企業「カネミ倉庫」のある北九州市出身。東京の大学に進学後、水俣病告発運動の支援に奔走。その後地元のカネミ油症患者の撮影に取り組んできまし。

 油症の典型的な症状である背中いっぱいに広がる吹き出物。それを子どもたちが潰してうみを出している写真。河野さんは「これが毎日、毎日続く。いかに過酷な状況だったか」と語りました。

 油症のため体力がなくなり仕事ができなくなった漁師や農民。子どもの未来に不安な思いを募らせる母親…。

 河野さんは「国民を大切にしない国には将来性がない。いまだに二世、三世が苦しんでいるのに切り捨てていいのか。子どもたちに未来があるような社会になってほしい」と力を込めました。

 長崎大学環境科学部2年の女子学生は「写真を見るだけでなく被写体のエピソードを聞くことで内面的なものが伝わってきて強烈に印象に残った」と語りました。