「しんぶん赤旗」2010/2/16
中国人研修生が提訴 
長崎地裁/賃金の支払い求める

 「安上がりの労働力」として無権利状態で働く外国人研修・実習生の実態が明らかとなり、全国で問題になるなか、長崎県島原市の縫製工場で働いていた中国人実習生が未払い賃金の支払いと損害賠償などを求めて15日、長崎地裁に提訴しました。

 提訴したのは、外国人研修・技能実習制度で来日した21歳から27歳の中国人女性5人です。

 うち3人は3年間の研修・実習期間を終え、すでに帰国。当日2人が出廷しました。

 訴状によれば、実習生は本来残業ができない研修期間中から最低賃金にも満たない時給300円で長時間残業させられ、また、パスポートや印鑑を取り上げられるなど人権侵害を受けたとして、未払い賃金や損害賠償として総額約4600万円を縫製会社などに請求しています。

 第1次受入機関の協同組合や送り出し機関と合わせ、制度運営に責任をもつ国際研修協力機構も適切な指導、監督を行わなかったとして被告とされています。

 報告集会で、実習生は低賃金・長時間労働の実態を告発し、「わたしたちは日本人と平等の待遇がほしい。研修生の人権を守ってほしい」と訴えました。

 熊谷悟郎弁護団長は、制度の実態は奴隷労働だと批判し、「制度の本来のあり方に戻すたたかい」だと語りました。

 弁護団によれば、同様の裁判は全国で21件(「外国人研修生問題弁護士連絡会」受任分)が係争中です。1月29日、熊本地裁で原告勝利の判決が下されています。