2007年4月15日(日)「しんぶん赤旗」

有明海再生へ門開け

諫早湾閉め切り10年で討論


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(写真)集会を前に「水門をあけよ」とパレードする漁民・市民。中央はふちせ栄子参院選挙区予定候補=14日、長崎県諫早市

 国営諫早湾干拓事業で「ギロチン」と呼ばれる二百九十三枚の鋼板で諫早湾が閉め切られて十年目となる十四日、長崎県諫早市で「干潟を守る日2007諫早・全国集会」が開かれ、「閉め切り十年―諫早干潟・有明海の再生へ」をテーマに、漁業者や研究者の討論が行われました。諫早干潟緊急救済本部と集会実行委員会(山下八千代代表)の主催。約百八十人が参加しました。

 集会では潮止め後の十年を振り返り、「豊かな漁場とかけがえのない干潟が広がっていた諫早湾は干拓事業によってそのメカニズムが破壊された」と確認。影響は深刻化する一途の漁業被害から、「工事完成」後の周辺自治体への際限ない財政負担へと拡大していることが映像や資料を通して明らかになりました。

 ノリ養殖の川崎賢朗氏(佐賀県)と漁船漁業の松本正明氏(長崎県)は、「再生は水門開放以外にない」「漁業を継いだ息子のためにも元の海に戻し、生活できるようにしたい」と有明海再生への熱い思いを語りました。

 同干拓事業がもたらす環境悪化や漁業不振、財政問題などをテーマにした研究者のリレートークでは東幹夫氏(長崎大学名誉教授)ら九人の専門家が発言しました。

 佐々木克之氏(元中央水産研究所)は、「一カ月足らずの短期開門でも(湾の再生に)効果があることは明らか」と強調。宮入興一愛知大学教授は、干拓農地のリース化で長崎県が五十三億円支出する問題について「規定どおりにすれば百七億円が必要。県の財政力は九州・沖縄で最低、差額はだれの負担か」と会計検査院の資料をもとに明らかにしました。