「しんぶん赤旗」2006/12/15

原爆症認定訴訟で原告側

国の引き延ばしを批判

 原爆症認定を国に申請し却下された長崎県内の被爆者が、処分の取り消しと精神的苦痛への賠償を求めて争っている原爆症認定集団訴訟の口頭弁論が十二日、長崎地裁で開かれました。

 訴訟は、原告三十四人(うち六人死亡)のうち第一陣(原告二十九人)が来年三月結審をめざしています。この日は被告・国が、原告十六人と三十医療機関のカルテ取り寄せと、医師五人の証人尋問を今になって求めてきたことに対し、原告側が反論。「あと何人亡くなれば被告は満足するのか」と申請却下、早期結審を求めました。

 原告弁護団の原章夫事務局長は、「医学的意見は学術的に行われるべきで、尋問ですべきものではない」と被告の不誠実さを批判。中村尚達弁護団長は、「(被告は)原告主張への反論は何一つしてこなかった。これまで十回の司法判断で国の主張はことごとく退けられており(申請は)ムダなあがきとしか思えない。六人の原告が苦しみのうちに死亡した事実をどう考えているのか」と、国の不当な申請に満身の怒りを込めて抗議しました。

 支援者や被爆者ら約五十人が見守る満席の傍聴席からは、弁論に共感の拍手が起りました。
 傍聴した川尻瑠美さん(37)は、「国はまた判決を引き延ばすつもりなのか。だれが考えてもそうだと思うのでは」と国の姿勢を批判しました。