「しんぶん赤旗」2006/10/23
被爆クスノキ
空洞に瓦・石見つかる

治療中の被爆クスノキ。はしご上の右斜めから
石などが発見された。

爆風で吹き上げられる?
「そのままの形で残して」の声


 長崎市坂本町の山王神社境内にたつ「被爆クスノキ」の空洞奥から、長崎原爆の爆風で飛ばされたと見られる多数の石や瓦が発見され、「貴重な被爆資料」として話題になっています。

 「被爆クスノキ」は樹齢五百年以上といわれる大樹。被爆当時、幹に大きな亀裂が生じ枯木同然でしたが、二カ月後に被爆した空洞の反対側から新芽が吹き、奇跡的に回復して市民に生きる希望を与えました。市の天然記念物に指定されている数少ない長崎原爆の生き証人です。

 先月の台風\号で大きな被害を受けたことから、樹勢の回復治療を施すため地上三bほどの高さの折れた枝を切り取り、ノミで削っていた際に発見されたものです。

 「ありえないものが出てきてびっくりした」という樹木医の海老沼正幸さん(57歳)は、「爆風が下の空洞から吹き上がって一番奥にたまったとしか思えない。生きた被爆遺構としてかけがえのないものだから、ここにそのままの形で残してもらいたいね」と話していました。

 市の原爆資料館では、専門家に調査を依頼し今後の対応を決めることにしています。

発見された石や瓦。焼けこげた形跡も残って
います。20日、長崎市坂本町。