「しんぶん赤旗」2006/10/05
全国じん肺キャラバン長崎行動
じん肺根絶の決意新たに集会や宣伝


 「じん肺やアスベスト被害、すべての労災職業病の根絶と被害者への早期救済」を−。第十七回目となる「二〇〇六年なくせじん肺全国キャラバン」行動が九州各県ですすめられています。
 長崎集会は二日、長崎市岩瀬道町の三菱長崎造船所本館入口で出発式をしました。

 出発式には、じん肺裁判の原告をはじめ、支援者、労働組合員ら六十人を超える人たちが駆けつけ、二十日の東京終結集会までの全国キャラバン成功へ決意を新たにしました。
 三菱長崎造船所への要請行動や街頭宣伝、「三菱長船じん肺裁判第二陣」支援行動、「じん肺・アスベスト被害をなくす長崎集会」など、じん肺根絶をめざす諸行動が終日取り組まれました。

 夜の集会には約百八十人が参加。県立シーボルト大の貞森直樹教授が「アスベスト(石綿)による人体被害」と題して講演しました。
 貞森氏は石綿の歴史や胸膜中皮腫の発生についてのべ、「(日本では)吹きつけ工事が禁止された一九七五年後も、石綿5%未満の混入を規制外(九五年まで)としたことが被害を広げた」と行政の対応を批判。「二〇四〇年までに男性だけで約十万人の中皮腫死亡が予測される」と語りました。

 集会では、三菱重工を被告とした「三菱長船じん肺裁判第二陣」がこの日結審し早期和解をめざしていることなど、審理中の裁判やたたかいの報告が行われいっそうの支援強化を訴えました。
   
「じん肺」とは
 炭坑掘削やトンネル工事、造船所の作業現場で吸い込んだ粉じんが、肺組織に沈着して呼吸機能が低下する職業病。結核や気管支炎などの合併症を起こしやすくなります。労働者のたたかいで一九六〇年に予防や健康管理をはかるじん肺法が成立しました。しかし、同法制定から四十六年が経過した今も、毎年新たに約千人の労働者がじん肺と認定されています。