「しんぶん赤旗」2006/7/30
大量の流木 漁民が回収に奔走
ふちせ参院候補らも現地調査

行政の支援早くと党議員が要請

 東シナ海や角力灘、橘(たちばな)湾などに面した長崎県の海岸に大量の流木やごみが漂着。流木の処理や、いまも漁場に漂う流木のため「安心して操業できない」との声があがっています。
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 長崎市南部から島原半島、熊本県天草北部の海岸線に囲まれた橘湾の内外で操業する長崎市茂木や諫早市有喜、飯盛、雲仙市小浜、千々石などの漁港周辺にも大量の流木が見られ、漁協や漁民の間でもいらだちが募っています。
 茂木漁業協同組合では、二週間ほど前から確認され始めた流木が、プロペラや漁網に衝突するなどの影響が出始め、二十日には独自に流木百二十本を回収しました。
 同漁協は二十五日、緊急役員会で対応を協議。同湾内の六漁協にも協力を要請し、二十六日に「漁の中止」を決め、いっせい回収を実施しました。回収作業には漁船約百四十隻・六百五十人以上が出動して湾内に漂う流木約千二百本を陸揚げしました。
 組合員の浜浦貞喜さんは、「湾内の流木が大量の海水を吸収してだんだん沈みはじめている。一日を争う重大事」と行政の支援を訴えます。さらに、漂っている巨木が波間で浮き沈みし、水面から見えなくなると安心して出漁できません。夜から朝方にかけて操業する「底引き」漁業は不可能です。すでにプロペラやシャフト(軸)を破損したり、網に流木が引っかかる被害が報告され、同漁協だけでも十五件にのぼるといいます。
 「『廃棄物だから市町村の責任』などといってる時ではない。県や市も協力して国にも支援を求めてほしい」というのが漁協関係者と漁民の共通した思いです。
 茂木漁協の川浦幸春組合長は、「流木が接触し、軸が曲がれば二十万円以上の修理費。半日の回収作業でも、一隻あたりの燃料代(重油・経由)は七千円から一万円。せめて燃料代だけでも助けてほしい」と漁民の声を代弁しました。
 回収作業に同行した日本共産党の山本誠一長崎市議は、「流木利害の防止に漁民は必死。漂着流木の処理対策や漂流木の調査・回収を迅速に行い、助成も含めた緊急策を」と要求。長崎市の内田進博助役は「県を通して国に要請する」と答え、同議会も対策に取り組むことになりました。

 行政の担当者から要望聞く 

 日本共産党のふちせ栄子参院選挙区候補、中田晋介県議らは27日、長崎市から西海市の沿岸にかけて、現地調査を行いました。
 長崎市の黒崎漁港で撤去作業を見守っていた年配の男性は、「流木の固まりがどんどん港に入ってきた。港横の道路は車も入れないくらい流木でいっぱい。70年近くでこんなことは初めて」と語りました。
 ふちせ候補らは、約5000本の流木が漂着した西海市の役所を訪問し、担当部長から詳しく説明を受けました。同市では20日、住民410人が流木と一緒に漂着した大量のガラス瓶、ペットボトルなどのゴミを一日かけて回収したといいます。流木は現在も、市の委託業者とあわせ、漁協関係者などがボランティアで撤去作業を行っています。
 流木の処理が各自治体を悩ませており、西海市では、一般廃棄物として焼却処理せずに、数カ所の集積所にあつめて固形燃料業者に引き取ってもらうことを検討しています。
 西海市の竹口一幸産業振興部長らは、「回収費とあわせて処理費も含めて県や国の支援をお願いしたい」と語りました。
 ふちせ候補は、「みなさんと力をあわせて、県や国に支援を働きかけたい」と述べました。