「しんぶん赤旗」2006/5/16
全国の橋と川−長崎編−
金濱眼鏡橋(長崎県雲仙市小浜町)


 「川底が浅くてたびたび氾濫した、家の中を水が流れていた」。いまも語り継がれる長崎県雲仙市小浜町の金濱川。その河口にかけられた石橋が金濱眼鏡(かなはま・めがね)橋です。
 案内板には「住民の難渋を見かねた岡右衛門が一八四六年、当時最高の架橋技術を駆使してこの石橋をつくった」とあります。この橋を通る道は「殿様道」といわれ、藩政時代は重要な街道となっていました。
 それから百六十年、石橋は風雪に耐え、たもとに繁茂するアコウの木とともに時代の流れを見守ってきました。
 十五年前に全面改修され、橋の高さが一b以上高くなりました。「昔は牛も行き来したけど、いまは歩く道じゃないね」と散歩中の住民、観光客がわたる程度だといいます。川面は清く、野菜の洗い場になっています。アヒルが遊び、たまに白鳥も飛来します。
 「雲仙のふもとから流れる水が冷たくてな。洗濯したり、米を研いだり洗濯したり、飲み水にも使ったよ。エビやアユもおった」。橋のそばで生まれ育った上田宗郎BIさんは懐かしそうに話していました。(長崎県・田中康)