長崎さるく博
市民が主体の「ぶらぶら歩き」好評
「ゆっくりあるいて、楽しく遊び、学ぶ」一日を


 日本で初めてのまち歩き博覧会「長崎さるく博U」が始まってひと月。「予定より三割増しの参加。観光客も増え、一度歩いた人も『また歩きたい』と言って下さり好評です」と、実行委員会の担当者の声が弾みます。

 「さるく」とは、「ぶらぶら歩く」という意味の長崎弁。長崎市全域のまちをゆっくり歩き、歴史や文化にふれて楽しみ学んでもらおうという観光の試み。

 四月下旬、地元ガイドが案内するー「長崎は今日も異国だった」コースを歩きました。長崎港が見える坂道、南山手洋館など興味をそそる場所がいっぱいです。参加者が二十人ほど。説明が行き届くようにと二班に分かれ出発、一コース二時間でサポーターガイドが交通安全にも気を使ってくれます。

 国宝・大浦天主堂横の通称「祈念坂」。「石だたみも赤レンガ塀も昔のまま、レンガの積み方にも注目してください」ーガイドの冨永緑さんのていねいな説明に、参加者の視線がいっせいに動きます。坂の途中ではロバート・ウォーカー邸の屋敷を発見、銅版の表札が教えています。

 戦後の一時期米軍が居住していたという、「幼きイエズス修道院」の日ごろ見られない礼拝堂。ステンドグラスの輝きに「ウァーきれい」と驚嘆の声があがりました。

 石でつくったV字形やU字形の側溝で知られる「ドンドン坂」。海洋気象台が旧日本陸軍の宿舎だったことを教える標識、ロシア人居留地の階段跡も発見できました。

 「おもしろい所がいっぱいあったね」と若い女性の二人連れ。北九州からきた女性は、「ここを是非歩いてみたかった」|みんな満足そうです。歩きながら知り合った初対面の人と、「チャンポン食べに行きます」と意気投合する人も。
 諌早からきた四十代の女性は、「期間中、通さるくの二十八コースを全部歩くつもりです」と話していました。
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 「長崎さるく博」は十月二十九日まで。楽しみ方は、まず「気ままに歩く|遊(ゆう)さるく」、市内のあちこちに置かれた無料ガイドブックを手に、元祖長崎といわれる地域や出島かいわい、寺町・中通り、原爆遺構めぐりなど四十二コースを自由に楽しみます。

 予約が必要な「通さるく」は地元ガイドの案内付(五百円・飲み物付き)です。「南山手や東山手」「唐人屋敷」「龍馬が歩いた亀山社中跡周辺」など二十八コースが用意されています。ガイドブックを持ち、平底の靴と帽子、リュック姿がお勧めです。

 三つ目は「学(がく)さるく」(七十四テーマ)、専門家による講座や体験がセットになっている参加型です。事前予約制で講座によって参加費も違います。そのほか、お祭りやイベントも目白押し。まず、各地の観光案内所でガイドブックを手に入れ知的好奇心を刺激しましょう。「さるく博」公式ホームページからも入れます。予約は電話でも受付(〇九五・811・〇三六九)ています。

「しんぶん赤旗」2006/5/9