潮止めから九年。
「漁獲の激減、漁続けられるか心配」などと漁民


 長崎県の国営諫早湾干拓事業で諫早湾が閉め切られて九年が過ぎた十五日、諫早市で集会「干潟を守る日2006IN諫早」が開かれ、「見直せ!干拓事業」をテーマに講演や裁判報告、漁民の現地報告が行われました。
 諫早干潟緊急救済本部(山下八千代代表)などの主催。約百五十人が参加しました。

 パネル討論で有明海沿岸の漁業者は、「昨年比で一月は五分の一、二月は八分の一(くつぞこ漁)の漁獲量に激減した。漁船漁業が続けられるのか心配」(島原)「増えたのは借金だけ」(有明、佐賀)などと、深刻化する漁業被害の実態を告発。干拓工事による「潮流の変化、産卵場の消失、調整池からの汚水放出」に原因があることが浮きぼりにされました。
 「よみがえれ!有明海訴訟」の到達点を報告した同訴訟の堀良一弁護団事務局長は、「福岡高裁の不当判決ですら、諌早干拓の影響は有明海全域に及んでいると認め、開門調査を含め国の調査責任を指摘している」と強調。さらに、「『リース方式』による造成農地買い取りが、県民の税金の使われ方として正当かを問いたい」と、新たな訴訟を提起する考えを明らかにしました。

 「宍道湖・中海干拓中止のたたかい」について講演した保母武彦・島根大前副学長は、「『泳げる中海を取り戻そう』の共通目標でがんばった」「大義なき公共事業は必ず止められる。あきらめず行動することが勝利への道」と、有明海再生を望む参加者に熱いメッセージを送りました。

「しんぶん赤旗」2006/4/16