世保基地の戦争の機能なくしたい
目に余る米軍優先の談合現場

 春名参院比例候補らが実態調査

 沖縄や岩国など、米軍基地再編への反発が広がるなか、日本共産党の春名なおあき参院比例候補は二十八日、長崎県佐世保市の米軍佐世保基地と自衛隊基地を視察しました。「再編を先取りした」といわれる同基地の視察を同行取材しました。
 (長崎県 田中康記者)
  
  強風と黄砂に見舞われたこの日の佐世保。視察には春名比例候補のほか、渕瀬栄子参院長崎選挙区候補、石川悟党北部地区委員長が参加、山下千秋佐世保市議が案内しました。

 午後一時、佐世保港と九十九島を同時に見渡せる弓張岳。地図を広げ、一等地を占拠する米軍基地の範囲や自衛隊基地、「原潜の接岸場所は?」「LCAC新基地はどこ?」などと、眼下の位置を確認します。一年前この展望所内に自衛隊が無許可で車両を搬入、他の基地との通信訓練を実施していたと聞き、「沖縄と岩国、佐世保は一体ですね」との声があがりました。

 統制指揮と病院の機能を合わせ持つ「強襲揚陸艦」配備のための施設「船越医療用倉庫」では、建設当時の住民運動の高まりや、日本共産党とともに県道の改良拡幅要求を実現させたこと。佐世保重工(SSK)を見下ろす高台では、第三ドックの米軍優先使用をめぐって労働者の長期の座り込みがあった|など、基地強化の動きのたびに地元住民のたたかいがあったことを学びました。

 「日米政府間で決定・実行されていても、住民レベルでは住環境と平和のたたかいがあることを知り、たたかう闘志がわいてきた」と春名氏。
 「佐世保には米軍専用岸壁の官製談合と、もう一つの防衛庁談合がある」と説明する山下市議。その舞台が二百億円をかけた海上自衛隊「倉島岸壁」です。周辺には灰色の艦船がズラリ、「ああ軍港そのものですね」の声が飛び交いました。

 民家との距離がわずか七十bの「前畑弾薬庫」。海岸沿いの広大な敷地に等間隔に避雷針が立っています。「落雷での弾薬爆発を想定しているんですね」「これまでに核兵器が格納された可能性もありますよ」|。背筋が寒くなるような会話が現実の危険として迫ってきました。

 公営住宅の二倍の広さの「一般兵士用米軍住宅」(四百八十八戸)。使用される一カ月の水光熱費月は一世帯平均三万七千円(山下市議調べ)、すべて「思いやり」予算です。光ケーブルで米国本土のテレビもO・Kといいます。「国民として許せませんね。ここはどこの国だ」との声が相次ぎました。
 この住宅敷地そばに「釜霊園」があります。先の大戦で遺体のまま帰っってきた軍人や、引き上げ直後死亡した日本人数百人を民間人の手で荼毘(だび)に付した場所です。米軍とくらべ「政府に冷たく扱われてきた戦後日本の歴史の矛盾」がここにもありました。

 十カ所を視察した春名氏は、「佐世保が、補給基地だけでなく直接出撃基地、日米共同作戦基地になっていることを、現場の施設を見て実感した。基地再編強化反対だけでなく、戦争の機能そのものをなくすためがんばりたい」と決意を語りました。

「しんぶん赤旗」2006/3/30