「国は開門調査を」
島原市議会が意見書採択
どよめきわく 漁民の請願実る


 長崎県島原市議会は定例議会最終本会議の十一日、漁民が提出した「諌早湾干拓工事における排水門の中・長期開門調査にかかる意見書採択」を求める請願を、十三対九の賛成多数で可決しました。
 同議会は近く、農水省や衆参両院議長に意見書を送付します。県内での採択は昨年六月の有家町議会につぎ二番目。
 請願書は、漁船漁業を営む吉田訓啓さん(同市津町)ら有明海漁民有志が提出したもので、潮受け堤防によって諌早湾が閉め切られて以降の漁獲量の激減の実態を訴え。「有明海異変の原因が科学的に究明され、環境が改善されること、元の豊かな有明海に近づくことは、立場や主張の違いを超えて万人が希望している」とのべ開門調査を求めました。
 本会議で、日本共産党の上田泉議員は、島原沖における海水流速低下の研究結果や相次ぐ自殺など深刻な漁業者の実態も示し、「福岡高裁でさえ、開門調査は漁民に対する国の責務としている」と主張。無所属議員や社民党も「母親と心中をはかった漁民の悲しみ、苦しみがわかるか」「(漁民の実態に)胸が張り裂けるようだ」などと訴え採択を求めました。傍聴席では採択の瞬間、どよめきと大きな拍手につつまれました
 議会を傍聴した有明海訴訟を支援する長崎の会の高村暎事務局長は、「周辺三県と違い長崎県や諫早市が開門調査実施の足を引っ張るなか、島原市議会は漁民の訴えをまともに聞いた。その意味と影響は大きい」と感想を語りました。

「しんぶん赤旗」2005/7/14