
諫早湾干拓事業
[1]諫早湾干拓は完全に破綻している
1.余っている農地
多額の税金を投入して干拓による農地造成をしなくても県下に農地は余っている。水田は三割が減反で、谷津前農林水産大臣も「減反の時代に、水田をつくるなんて有り得ることではない」(昨年12月7日 毎日新聞)といっている。
畑は、2000年農業センサス調査で、県下の耕作されていない遊休農地が5981fあることがわかった。これは干拓見直し案で造成される西工区と小江工区の農地面積
700fの8・5倍に相当する。
県は「遊休農地は、急傾斜で狭く生産条件が悪い。干拓農地は大規模平坦で優良」と言いわけをするが、遊休農地の最も条件の良い部分を再生活用すれば良いことで、塩分を含んで水面下の低平地である干拓農地は決して優良農地とはいえない。
2.土地改良法の法律要件を満たさない「法律違反」の事業
諫早湾干拓事業の根拠になっている土地改良法は、その第八条および施行令第二条で、事業が成り立つ要件として「事業のすべての効用がすべての費用をつぐなうこと」を求めている。
着工時、農水省の都合のよい計算でも費用対効果が1・03とかろうじて効果がうわまわっていたが、その後の費用の増額で今では1・01になっていた。今回農水省の見直し案で事業費は2490億円から2460億円とほとんど減らないのに、造成農地面積が1400fから
700fに半減するため、当然、作物生産効果などが半減し、費用対効果は0・82となって、費用が効果をうわまわり土地改良法の要件を失う。12月県議会で県農林部長は「見直し案の費用対効果については国から聞いておりません。いずれ国から説明があるものと考えております」と答えたが、国も県もまともに説明できない状況になっている。
3.「諫早湾干拓は有明海の環境に影響を与えている」と水門開放調査を提言〜農水省ノリ不作等調査委員会が見解
昨年12月19日農水省の有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(ノリ第三者委員会)は、9か月に及ぶ調査検討の結果として、[諫早湾干拓地排水門の開門調査に関する見解]を発表した。このなかで「諫早湾干拓事業は重要な環境要因である流動(潮流のこと)および負荷(排水門からでる汚濁のこと)を変化させ、諫早湾のみならず有明海全体の環境に影響を与えていると想定される」と干拓事業が有明海環境悪化の原因であることを初めて公式に認定した。
そのうえで「開門調査はその影響の検証に役立つと考えられる」として「現実的な第一段階として2か月程度、つぎの段階として半年程度、さらにそれらの結果の検討をふまえて数年の開門調査が望まれる。調査に当たっては、開門はできるだけ長く、大きいことが望ましい。洪水・灌漑期以外は水位管理の条件をゆるめ、できるだけ毎日の水位変動を大きくし、できる干潟面積を増やすことが望ましい」と水門開放を求めている。
委員会を設置した当時、谷津農林水産大臣は「委員会の結論は尊重する」と言明しており、国も県も、この見解に基づいて諫早湾干拓が有明海漁業被害の原因であることを認め、水門を開放した調査を進めるべきである。その結果が明らかになるまで当然、干拓工事は一切中止すべきである。
4.防災は佐賀県のように、旧堤防の整備や排水ポンプの増設で十分できる。
全国どこでも河川や海岸の低平地は、そのやり方で高潮や浸水対策をおこなっており、潮受け堤防・調整池方式は例がない。
[2]あくまで事業推進に固執する長崎県 明らかになった政官業の癒着構造
県は、あくまで諫早湾干拓事業を推進する立場をとり、「諫早湾干拓が有明海漁業被害の原因であることを認めない」「干拓 工事の即時再開」「水門の開放は絶対反対」という態度で国に迫っている。これほど破綻が明らかになった事業に、農水省や県 が固執する大きな要因のひとつに農水省、県知事受注業者ゼネコンの癒着がある。
これは、1月11日日本共産党政策委員長の筆坂参議院議員が、長崎県庁での記者会見で明らかにしたもので、
(1) 諫早湾干拓の受注企業から知事に多額の企業献金が行われている。知事の資金管理団体「明日の長崎県を創る会」(代表者 金子原二郎)に、96年は受注企業8社から
149万円。 97年7社から 144万円。98年26社から 596万円。99年25社から 690万円。この4年間で受注企業33社から1579万円。2000年からは、献金が会社役員の個人名になっている。受注企業16社の代表者17人から
658万円が献金されている。
合計すると、この5年間で受注企業および受注企業代表者33社から2237万円の献金が知事にわたっている。
(2) 受注企業への農水省官僚の天下りは取締役以上について、判明しているだけで33人。この中には直接、干拓事業を推進している「九州農政局諫早湾干拓事務所長」二人、「九州農政局長」「構造改善局建設部長」などの名前がある。
[3]民主県政をつくる会の政策
諫早湾干拓を中止し、干潟と有明海を再生します。干拓に注ぎ込まれる多額の税金を県民の くらしに活かして使います。周辺の防災対策は佐賀県のように旧堤防の強化、排水ポンプの増設で万全を期します。
民主長崎県政をつくる会・政策資料−1