前畑弾薬庫内火災で、赤嶺衆議院議員が質問主意書
 赤嶺政賢議員のホームページより

平成十八年十月二十五日提出
質問第百十八号

米海軍佐世保基地の弾薬補給所(前畑弾薬庫)で発生した火災の対応措置に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢

 10月21日の夕刻、米海軍佐世保基地の弾薬補給所内の木工作業所で火災が発生し、鎮火まで四時間半にわたり燃え続けた。同作業所は、弾薬保管庫群とは500メ−トルの距離にあり、しかも弾薬庫周辺は住宅地域が密集し、最も近い住宅は七十メ−トルしか離れていない。幸いにして延焼、爆発はなかったものの、火災の状況如何によっては大惨事になりかねない事故である。

 佐世保市消防局は、火災発生と同時に米側に対して、消防隊を待機するとともに、消化支援を申し入れたところ、米側は「必要がない」として、自力による消火を続けたとのことである。この米軍当局の姿勢は、住民の生命と安全を軽視するものであり、極めて重大である。

 佐世保市は、2004年7月28日、米原潜ラホ−ヤ火災事故についても、米側からの通報はなく、正式な連絡が8時間後にあったとして、米軍当局に厳重な抗議をしているが、こうした教訓が全く生かされていない。

 地方自治体をはじめ基地周辺の住民から批判と不安の声があがっている。

 政府は、火災原因とその全容、米軍の消防活動等の事実経緯を明らかにするとともに、今後の日米間の通報体制、消防活動の相互協力などの対応策を速やかに検討するように米側と協議すべきである。

 従って、以下の事項について質問する。

一、火災の原因と米軍当局の消火活動等の対応措置について

1、火災はいつどのような状況下で発生したのか、火災原因を含めて火災の全容を明らかにされたい。

2、米軍当局は、21日16時08分に出火を覚知したと述べているが、約300メ−トル離れた対岸で目撃していた住民らは、14時30分頃には白煙が上がっているのを見たと証言している。14時30分頃には出火していたというのが事実ではないのか。

3、火災が発生してから鎮火まで四時間半もかかったのは何故か。

4、米軍当局は、佐世保市長と米国海軍佐世保基地司令官との間で締結されている「消防相互援助協定」に基づき、佐世保市消防局に対して援助要請、火災通報をしなかったのはいかなる理由によるのか。

5、佐世保市消防局が、同「消防相互援助協定」に基づいて、数次にわたって消火活動の支援を申し入れたのに、米側は「必要ない」として断った理由は何か。

6、佐世保市消防局の消防活動の支援申し入れに対して米軍当局は、「延焼はない」と断ったというが、炎上中であるにもかかわらず、米側が、「延焼はない」との判断をした理由と根拠は何か。

7、全焼した木工作業所と直近の弾薬庫の距離は約60メ−トルメ−トルであるとのことであるが事実か、その弾薬庫はトンネル式弾薬庫のことか。

8、木工作業所の近くには航空機用の爆弾を加工する作業施設が存在するという指摘があるが事実か。この施設は、爆弾の加工・組み立てを行う作業場なのか明らかにされたい。

9、佐世保市消防局が「消防相互援助協定」に基づく消火活動ができなかったのは、佐世保弾薬補給所が米軍の管理下にあり、同協定第1条「援助要請」の規定に示されているように、基地周辺住民の生命と安全に関わる火災という重大事故であっても日本側の消防支援については、米側の判断に委ねられており許可がなければ、所要の消防活動ができないことになっているからだと思われるが、何故そのような規定振りになるのか。

10、米軍基地内の火災等については、日本の消防機関が速やかに消防・調査活動ができるように「消防相互援助協定」について見直すように米側と協議すべきある。政府の見解を伺いたい。

11、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)の下で、日米地位協定の運用改善の一環として、日米合同委員会において「在日米軍に関わる事件・事故通報体制の整備」(平成9年3月31日)について合意がなされ、そして「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続き」が策定されている。今回の火災で、米側がこの手続きに従って、外務省等の日本側関係当局に通報しなかった理由は何か。

二、日米地位協定第三条一項と消防法の関係について

1、日米地位協定第三条一項と消防法はどのような関係にあるのか、改めて伺いたい。

2、日本の消防機関と米軍との間で「相互消防援助協定」が締結されている施設を明らかにされたい。

 右質問する。