長崎県では十一局の集配業務が廃止に、民営化後はさらに大規模か
日本郵政公社が二〇〇七年十月の民営化むけて、郵便物の収集・区分と配達業務を行っている集配郵便局の再編案を検討していることが明らかになり不安が広がっています。(写真は配集業務の廃止が検討されている長崎市の長浦郵便局)
長崎県では百十六の集約局のうち、島原半島や西海市などの十一局が集配業務廃止の対象にあがっています。
この一月島原市に編入合併された旧有明町の有明郵便局もその一つ、再編案では島原郵便局に集約されることになっています。有明局の大野豊局長は、「サービス低下はないと思う」といいながらも「(再編案は)公社は発表していない。何も聞いていないし…」と不安気です。局の窓口で用事をすませた住民(男性)は、「なぜ民営化するのか今でも分からん。わざわざ島原に運んでから配達すれば当然遅くなる」といいます。
同町に住む日本共産党の島田一徳市議は、「十人前後の配集職員がどうなるのか、また委託契約を結び直すことになる簡易郵便局がどうなるのかが心配」といいます。合併後に旧役場職員が減るだけでも重大問題なのに、郵便の仕分け機械が導入されたりして「職員が減れば、町内の若者が減り、地域のイベントもできなくなる」(同)のです。民営化のしわ寄せは町民へのサービス低下につながり、地域の格差拡大と過疎化の進行は避けられません。
公社は、民営化後さらに、集配業務や貯金・簡保の外務も合わせて近隣局の統廃合を計画しています。長崎県の場合、この計画が実行されれば、「統括センター」と呼ばれる十二の郵便局(10.34%)しか残らないほどの大幅削減です。とりわけ、五島、壱岐、対馬、平戸などの離島では、「離島は慎重に取り扱う」(国会答弁)とはいうものの、福江局と平戸局をのぞくほとんどの郵便局が集約の対象となっています。
先の総選挙で小泉純一郎首相は、「過疎地でも郵便局は無くさない。無くすなんてとんでもない」(〇五年九月二日長崎市浜町)と大見得を切りました。しかし、これに逆行することが計画されているのです。「公約守れ」「地域の郵便局を守れ」「地域間格差を広げるな」の声をひろげ、計画をはね返す運動が求められています。
郵政産業労働組合長崎支部・中野博行支部長の話
分社化がすすみ集配業務が一つの局に集約されれば、サービス残業など勤務がたいへんになります。さらに、もうからない特定局はどんどん減らされ、住民サービス低下につながることは明らか。いま労働組合が声をあげるときです。
「しんぶん赤旗」2006/3/2