2008年4月22日  総合交通・情報網整備促進特別委員会
新幹線対策について
         
堀江県議
 次に新幹線対策について、県民の疑問をもとに幾つか質問をしたいというふうに思います。
 まず、新幹線の定義です。

 本日の説明でも、地域振興部長は「新幹線」という言葉を5回発言をいたしました。1970年に制定をされた全国新幹線鉄道整備法に基づけば、「新幹線とは、主たる区間を列車が時速200キロ以上で走行できる幹線鉄道」となっています。

 県が発行しております「新幹線Q&A」では、「西九州ルートの整備計画は、スーパー特急によって博多―長崎間を結ぶようになっていますが、平成16年に政府・与党で申し合わせがあり、現在はスーパー特急ではなくフリーゲージトレインで運行する計画」と書かれています。

 新幹線といえば「のぞみ」「ひかり」「こだま」に代表されますが、九州新幹線西九州ルートは「のぞみ」や「ひかり」や「こだま」は走らないということですかね。まず、この点を確認させて下さい。

野嶋新幹線建設推進課参事
 まず、新幹線についての定義でございますけれども、西九州ルートにつきましては、平成16年12月の政府・与党申し合わせ以降でフリーゲージトレイン方式で整備されることとなっておりまして、フリーゲージトレインによる運行であっても全国新幹線鉄道整備法によって整備される新幹線でありまして、鉄道事業法等によって整備される在来線ではございません。いわゆる西九州ルートについても新幹線ということでございます。

堀江県議
 私は、「のぞみ」や「ひかり」や「こだま」という言葉を使いましたが、これは走らないのかという質問だったんですが、その点はどうですか、端的に。

野嶋新幹線建設推進課参事
 現状ではフリーゲージトレインで推進をするということでございます。

多門地域振興部政策監
 「のぞみ」「ひかり」「こだま」という名称については、いわゆる東海道新幹線、山陽新幹線における呼称でございまして、九州新幹線の場合は、基本的に運行主体がJR九州ということになります。ですから、そのJR九州の判断による分が一つあろうと。

 それから、将来的にフリーゲージトレインの性能が十分に山陽新幹線内に乗り入れることが可能となった時点では、当該車両が、JR西日本が運行する車両というのが九州の新幹線にも入ってくると。現実に鹿児島ルートではそういうことになっておるわけでございますが、その際にその呼称をどうするかというのは基本的にはJRの判断であるというふうに考えております。

堀江県議
 フリーゲージトレインも新幹線の定義に当てはまるので、これはだから新幹線が走るという意味ですね。言い換えれば、私が質問した「のぞみ」「ひかり」「こだま」が走りますかということでは、じゃ、走らないということを言ってるんだというふうに理解をいたします。違っていれば後で答弁をして下さい。

 2点目に、フリーゲージトレインは実験中で未完成ですよね。時速200キロ以上で安全に走れるかどうかは未知数なんですよ。しかも、長崎―諌早間と武雄―鳥栖間はJR在来線ですから時速130キロどまりですよね。

 そうしますと、時速200キロで走るのが新幹線。私の定義は1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法、これに基づいてどうなのかという質問をしているので、そのことに基づいて答弁をして下さい。
 その新幹線は、在来線と別ルートで新規に建設をした整備路線を走らなければならないというのが新幹線だというふうに私は理解をしています。そうしますと、フリーゲージトレインは在来線を走りますので、これは新幹線に当てはまるのかと。そうしますと、新幹線という定義を使うのは私は事実に反すると思うんですが、歴史的経緯もあるんですが、そこら辺の見解をお願いします。

野嶋新幹線建設推進課参事
 まず、別路線で新幹線規格の路線という面につきましては、今回、武雄温泉から諌早まで新規路線ということで整備をされます。その意味では新幹線というのに間違いはないということであります。
 それから、先程からのお話の中で、スピードの話、それから「のぞみ」「こだま」という話があっておりますけれども、あくまでも私どもといたしましては、西九州ルートにつきましては政府・与党申しあわせ等、それから、新幹線の鉄道整備法等の経緯に基づきましてスパー特急、フリーゲージトレインというのは新幹線という位置づけであるということについて間違いないと。これはその旨、これまでも県民の皆様について説明をいたしてきておるものであります。

多門地域振興部政策監
 「のぞみ」「ひかり」「こだま」がという話がございました。我々としては単純に呼称の問題にこだわるというよりは、実際に山陽新幹線なり東海道新幹線で250キロ、あるいは最高速度270キロ程度出している車両が実際に乗り入れるかどうかというふうなところだというふうに思っております。

 おっしゃるとおり、今、フリーゲージトレインの技術開発というのが210キロ、220キロ、国内では実験をしている。あるいは海外での、プエボロでの実験事例では246キロまで達しておりまして、今、2次車両ではさらにその性能を高めるように、安定走行ができるようにということで開発しております。

 最終的には270キロというのを開発で目指しているというふうに私どもは国から聞いておりますので、それが実現した暁には、おっしゃるように今の「のぞみ」「ひかり」「こだま」に相当する性能の車両が大阪まで直通で行けるということを目指していくということは国とともに確認しているところでございます。

堀江県議
 私は、この新幹線という定義をどうとらえるかという問題で、1970年の全国新幹線鉄道整備法ということをひとつの根拠にして質問したんですが、そこに照らせば新幹線ということではないんだけれども、その後、いろんな歴史的経緯の中でスーパー特急もフリーゲージトレインも新幹線という概念に変わっているのでこれは新幹線なんだと、平たくいえばそういう回答だったというふうに思います。
 そこで、時間短縮について質問しますが、「26分」と現在言われているんですが、その時間短縮が26分と言われるのはどういうふうになるのかというのをちょっと具体的に、簡略でいいんですが、説明してもらえますか。

野嶋新幹線建設推進課参事
 今、「26分」と申しますのは、現在の「かもめ」の最短の時間が1時間45分でございます。それで、今、整備着工しております新幹線でフリーゲージトレインを使った場合の時間が1時間19分でございまして、その差が26分ということでございます。

堀江県議
 スーパー特急で現行最速、博多から長崎までが1時間45分で、フリーゲージトレインで博多から長崎まで途中3駅で1時間19分、したがって26分の時間短縮という説明だったんですが、3月30日の長崎新聞に次のような投書が掲載されました。

 「26分の時間短縮は水増しで、13分30秒の短縮ではないのか。現在の「特急かもめ」は途中停車駅は6駅です。フリーゲージトレインは途中停車3駅で計算をしていますから、停車駅数を3駅とすると、停車駅を1駅減らすと2分30秒の短縮、つまり合計7分30秒短縮になる。博多―鳥栖間は5分となれば、つまり計12分30秒の短縮は、フリーゲージトレインが長崎本線を走行しても可能だ。

 結局、実質的な時間短縮効果は26分ではなくて、その半分の13分30秒ではないのか」という投書なんですが、今日、おいでになっておりませんけれど、久村新幹線推進課長は、この間の新幹線に関する疑問に丁寧に新聞投書に答えておられますが、この投書への回答はいまだありません。県民の疑問に答えていただきたいと思いますので、回答をお願いいたします。

多門地域振興部政策監
 まず、1時間45分という数字がよく投書なりでもでてくるんですが、現実には1時間45分というのは最終便で、ほかのローカル列車が通っていない時間帯に博多の方に行く、あるいは博多から来る列車の1本のみでございます。通常、昼の時間帯でいいますと、平均1時間57分、2時間弱かかっているのが現実でございまして、これをベースにすると約40分弱の時間短縮になろうということになります。

 もう一つは、今の長崎本線で、今、停車駅を減らして直通でそのまますとんと走らせればいいじゃないかというお話でございますが、特に昼の時間帯においては、通常皆さんが利用される時間帯においては、長崎本線の場合、単線でございますので、ご承知のように湯江であるとか、ああいった途中の駅で待ち合わせをすると、鹿島ですれ違うために待ちの停車をするという運用にしておりまして、JR九州に私どもが問い合わせましたところでは、現実にあのようなご提案の運行というのはほとんどできないんじゃないかというふうな話も伺っておるところでございます。

 現実のダイヤ運用、そのために必要な施設の改修等を考えあわせますと、なかなか現実的には難しいご提案ではないかというふうに考えております。

堀江県議
 博多―長崎間を現行スーパー特急で1時間45分で走ると、これが現行でしょう。これを基本にしてフリーゲージトレインが走ったら幾らになるかというのが時間短縮で言っているじゃないですか。よくわからない。今の答弁。

多門地域振興部政策監
 私どもが申し上げているのは、基本的に時間短縮効果ということで一番短いもの同士を比べればそうなるということで出しているので、現実的な運用ということを考えると、やはり平均で考えた場合にそういった数字もあり得るということをお話しさせていただいただけでございます。

 ただ、我々からすると、例えば、夜間に1本走れるだけというところで、それを無理にそういう電車をつくったからといってどこまでの意味があるのかというのは正直ございます。JRの運用の問題もありますので、そこを総合的に考えるとなかなか難しいところはあるんじゃないかというふうな答弁をさせていただいたところでございます。

堀江県議
 県民の皆さんに、新幹線で時間短縮が26分と説明しているじゃないですか。じゃ、その時間短縮の26分は現実的運用じゃないというわけですか、答弁がわからないんですよ。

多門地域振興部政策監
 国の方で時間短縮効果というのをはかる際に最速同士を比べるということでやっておりますので、26分自体を私どもは否定するつもりは全くございません。
 ただ、私が申し上げているのは、それ以外に現実の運用という問題がございまして、そこを考えた場合に、仮におっしゃるようなご提案があったとしても問題点が若干あり得るということを申し上げただけでございます。

堀江県議
 実際に途中駅は6駅じゃなくてフリーゲージトレインが3駅ということになれば26分の短縮はもともとそうならないのではないかと、水増ししているんじゃないかという投書があっているわけですよ。そのことについて、ここで回答してほしいというふうに私は言っているので、今言った時間短縮が26分だと。しかし、最速同士で比べているんだけれども、これは現実的運用ではないとかという答弁は、そうすると県民が聞きますと、この新幹線の時間短縮効果26分というのは、じゃ違うのかというふうに思いますから、そこら辺を私がわかるように説明してもらえますか。

多門地域振興部政策監
 私が申し上げているのは、そこをさらに13分の短縮にするために残りの3駅以外をとばしてという運用が恒常的に昼の時間帯とかを含めてできるのかというところで申し上げただけでございまして、決して1時間45分とか、19分というのが非現実的というふうに申し上げているわけではございません。

 それから、久村新幹線建設推進課長が今日は入院加療のために欠席しているもんですから、個別に堀江県議とのやりとりがどういうことがあったかというのは詳細まで承知しておらないんですけれども、個別に新聞に出た投書については、すべて、私どもの方から長崎新聞社等に対しては、我々としての見解を載せさせてほしいという申し入れをしております。ただ、スペースの問題がございまして、幾つかの投書をまとめて載せてほしい、あるいはまとめた回答にしてほしい、あるいは字数についてもこれこれの制約でやってほしいという中でちょっと説明が足らなかったところがあったのかもしれません。それはちょっとわかりませんが、基本的には我々はすべてお答えするという姿勢で臨んでおります。

堀江県議
 私は、久村新幹線建設推進課長と何もやりとりはしておりません。長崎新聞で個々の投書に対して回答があっているので、この問題についてはまだ回答がないということに基づいて今日の質問をしております。

 このフリーゲージトレインで途中3駅というのは、何も県民が言っていることではなくて県が言っていることなので、そのことは指摘しておきたいというふうに思っております。

 そこで、次の質問にいきたいんですが、事業費についてなんです。今回着工となります武雄温泉―諫早間の建設費が2,600億円、ゴールを長崎までとして、さらに1,100億円とも言われています。今日の地域振興部長の説明でも、「新幹線建設にめどが立ったことによって、まちづくり計画がより現実的に描けるようになった」と説明をされて、県政だよりの3月号では、「さまざまな整備事業が計画されている」と伝えています。

 現在、明らかになっている事業はどういうものがあるのか、資料の一覧提出を求めたいと思います。

山口(初)委員長
 何か資料は用意できていますか。

野嶋新幹線建設推進課参事
 委員ご要望の資料でございますが、ちょっと今準備をしておりませんので、至急準備をいたしたいと思います。

多門地域振興部政策監
 その資料の件に関しては、いわゆる新幹線整備に関連する事業ということの範囲がどこまでかというところがございます。

 例えば、長崎駅の場合でいうと、私どもが直接内容について密接に関連することでお話し合いをしたり、検討の場に参加させていただいているのは、例えば、駅前の土地区画整理事業の話でございますとか、連続立体交差事業、これはもう新幹線がそこの線を当面使う可能性もあるので、かなり綿密に情報交換というか、打ち合わせをさせていただいて、実際の会議にも出席させていただいていると。

 ただ、例えば、県庁舎の整備でございますとか、浦上川線の道路の整備なんかについては、直接は私どもはその内容について調整するという立場にはございませんので、そこの範囲というのがどの程度なのかなというところは、ちょっと不明なところがございます。

堀江県議
 新幹線建設にかかわってまちづくり事業にめどが立つというふうに報告をしておりますので、県が把握している範囲で結構です。一覧表で提出をお願いします。

堀江県議
 資料をありがとうございました。そこで、質問をさせていただきたいと思います。
 私がこの資料を求めたのは、2つの意味があります。一つは、事業として新幹線の事業がおおよそ、県の負担は別としても、どれくらいの事業があるのかというのが一つですね。
 これには、まちづくり事業というふうにありますけれども、新幹線を組むに当たってということで、今、参事が説明されましたけれども、新幹線を整備するということでまちづくりを進めるということの事業だと思うので、そういった事業がどうなのかというのを見るのが一つと、言われるように、地元負担がどうなのかということを知りたくて、そういう質問をしたくて、この事業の概略といいますか、わかった範囲で出してほしいというふうに言ったんですが、そうしますと、「まちづくり事業」というふうに書いてありますが、これは新幹線整備に伴って予想されるまちづくり事業ということで認識をしていいのかというのが、質問の第1です。

 それから2点目は、九州新幹線の西九州ルート2,600億円の中には、午前中も論議されたような新大村駅、諫早駅の改修を含むということは言われました。そのとおりなんですが、それとは別に、これは事業になるのかどうかわかりませんが、三者合意の中で、鉄道施設購入費の14億円がありますね。そういった14億円とか、それから開業20年間の施設維持管理費とか、そういうのは事業費としては見ないんですか。これは2,600億円の中に入るんですか。
 その2点、まずお尋ねします。

野嶋新幹線建設推進課参事
  まず、このまちづくり関係の事業が新幹線の事業かどうかというご質問かと思いますけれども、まず、新幹線の事業というのは、あくまでもここの@の分、2,600億円と1,100億円でございます。連続立体交差事業とか、土地区画整理事業については、新幹線の事業とは区別をすべきものだと考えております。

 それから、2点目の14億円と2億3,000万円の件でございますが、それにつきましては、新幹線の建設事業の中には含まれない、別のものでございます。
 以上です。

堀江県議
 そうしたら、最後のところから質問しますが、そうなると、地元負担というのはどういうふうにとらえたらいいんですか。
 結局、先ほど私が言った14億円、施設維持管理費は事業費とは言わないんだよというふうに言われました。しかし、新幹線を導入するということで、事業として見るときに幾らかかるかと、地元負担ということが取りざたされていますけれども、だから、地元負担はどういうふうに見たらいいんですか。
 じゃ、角度を変えて、地元負担がどうなのかということで質問します。
 @の2,600億円の中でどうなのかということ、これは法的根拠に基づいて言われている数だと思うんですが、そうしたら、言われるように14億円、それから、もう一つ、施設維持管理費、地元負担ということではどうなんですか。総事業費ということでは、@しか事業費とは言わないんだよという答弁でしたけど、地元負担のことを教えてください。

野嶋新幹線建設推進課参事
 新幹線に関する地元負担ということでございますので、それにつきましては、この2,600億円と1,100億円の実質負担といいますと、約18.3%でございますけれども、大体300億円、もしくは1,100億円で言いますと、大体500億円が地元負担といいますか、実質の県負担というものになります。ですから、新幹線にかかる事業の地元負担についてはどうなのかというご質問につきましては、あくまでも全体の18.3%、それから2,600億円でいきますと、約300億円ということになります。

堀江県議
 それは、事業本体は18.3%ということで、2,600億円の300億円、1,100億円の分の500億円という数字だと思うんですが、県民の目から見たときに、新幹線の地元負担はそれで終わらないでしょう。終わらないじゃないですか。
 だって、言われるように、今回の三者合意で上下分離方式となって、鉄道施設購入費の14億円があるんでしょう。これも地元負担じゃないですか。そして、開業20年間の施設維持管理費というのも、これも地元負担がつくんでしょう。それを事業費と呼ばないのであれば、新幹線にかかわる地元負担ということでは、同じではないんですか。だから、地元負担ということで、具体的にどうなのかというのをもう少し明らかにしてください。

多門地域振興部政策監
 地元負担ということのとらえ方だというふうに思っております。いわゆる新幹線の地元負担という場合には、通常、国の今の制度なりを前提にすれば、本線建設事業費、それに対して3分の1、さらには交付税の措置が講じられている部分を考慮して、18.3%で通常はできまして、我々も、まず諫早までの事業で言えば、大体300億円弱ぐらい、その先の長崎までで言うと、大体200億円ぐらいというような数字を公表しているところでございます。

 ただ、他方、おっしゃるとおり、新幹線をきっかけとして、並行在来線の運行を維持するということで三者合意がなされておりますので、それに関しては、現在、まだ負担比率というのは定めておりませんが、佐賀県と協議の上、おっしゃるとおり、鉄道施設の購入費14億円、ただ、これについては、算定のいろいろなやり方があるので、一概には言えませんが、JRの簿価からすると、相当にディスカウントされた額でありまして、これが直ちに費用と言えるかどうかというのは一つ議論がありますが、これが14億円、それに対して毎年の施設の維持管理費用の見通し、これは、今後またさらに、合理的な維持管理をすることによって下げることは可能でございますが、当面、JR側の協力も得て、年2.3億円という数字を出させていただいているところでございます。

堀江県議
 地元負担という言葉が嫌だということであれば、今、政策監が使いました並行在来線の運行を維持する費用、じゃ、これを長崎県がどれくらい負担をするのかということで質問をします。
 その点については、午前中の質問の中で、検討中という言葉を使っていたのではないかというふうに理解をしています。上下分離となった14億円と、それから、開業20年間の施設維持管理の長崎県の負担はどういうふうになるのかということでは、協議中ということでは、方向性としては、佐賀県の分も負担をするということで協議中なんですね。そういう理解でいいんですか。

多門地域振興部政策監
 ご答弁としては、午前中申し上げたのと全く一緒でございまして、基本的には、やはり県民に合理的な説明がつく、議会に対してもそうですけれども、そういうことを基本にして、双方で負担割合を今後定めていくということでございます。はなから相手のものを全部かぶるとか、あるいは数字を決めて、もうこれで決めるとか、そういう議論の仕方はしていないと承知しております。

堀江県議
 そうしますと、はなから佐賀県の負担をするということで話は進めていないというふうなご答弁だったんですが、知事はこれまで、午前中も出ましたように、議会の中で、あるいは定例記者会見の中で、佐賀県の分も負担をするということを明らかにしています。そうしますと、知事の意向がそうであれば、午前中も、これは知事同士の話次第というふうな趣旨の答弁もあったかと私は記憶しているんですけど、そうしますと、これは全く同等にあろうという話ではないと。知事が佐賀県の分も負担をしようという意向があるわけですから、これは佐賀県の分も負担をするということで話を進めているんじゃないですか。

多門地域振興部政策監
 ちょっと言葉に誤解があるようで申しわけないんですが、佐賀県の分をすべてかぶるとか、そういう非常に粗い議論はしていないということでございまして、我々としては、やはり議会の方のご理解も得て、今後、実際10年後なり、開業を控えた段階では予算化もいただくというものでございますので、やはりある程度合理的に説明がつき、県民感情からしても納得がいくものでなければならないと、そういうつもりで申し上げたところでございます。

堀江県議
 それで、今言われた、ある程度合理的なというふうな話ですけれども、私は、いわゆる佐賀県の分を負担する、何もすべてかぶるというふうな話は一言も言ってませんよ。長崎県が佐賀県の分を負担するという意向があるのであれば、知事はそういうふうに言ってるんですよ。具体的にどういう協議をしているのか、それは今言えないということであれば、法的根拠はどこにあるんですか。佐賀県の分を負担をしたいと知事が言っている、その知事の発言の法的根拠はどこにあるんですか。

 例えば、九州新幹線長崎ルートの@ですね、事業費の2,600億円、1,100億円というのは、これまで午前中も出た18.3%という数字の根拠があるんですよ、法的根拠がありますでしょう。そうなりますと、じゃ、それ以外に、今出されている並行在来線の運行を維持する費用の法的根拠は何になるんですか。そこを教えてください。そうしますと、そういう法的根拠はないのか。

多門地域振興部政策監
 法的根拠というか、制度的な問題でありまして、実は新幹線の負担割合も、別に法律で事細かに18.3%と定めておるわけではございません。

 実際は、財政措置なりの運用、予算なりの運用の中で、あるいは政府・与党が定めたルールの中でそうなっているということでございまして、ただ、並行在来線を両県がどういう形で運行し、その費用をどういうふうに分担するかというのは、ほかの先例というのも、先例がそう多くないという事情もございますし、今回、西九州ルートの特殊な経緯、あるいは事情というのもございますので、それを踏まえて、我々としては、単に何も理由がないけど金を出すという形では、やはり県民の理解も得られない。当然、予算としては議会の方にもお諮りをして、十分なご審議をいただいてご了解いただく話でありますので、そこはできるだけ納得のいくものとしたいと、そういうことでございます。

堀江県議
 そうしますと、納得のいくものということでは、私が言うような法的な根拠はないので、それは制度的根拠と言ってもいいのか。だから、私が言うように、@については18.3%というのがあるじゃないですか、地元負担ということではね。それに基づいて事業費の負担割合をするんでしょう。そうであれば、並行在来線を運行、維持する費用については、これは話し合いの上でないと決まらないということなのですね。言いかえれば、法的根拠というものはないわけでしょう。あくまでも話し合いの上で決まるという、そういうことなんですか。

多門地域振興部政策監
 最終的な根拠ということで申し上げますと、やはり県民の貴重な税金、あるいは財政的なラテがあって、そこから出すということになりますので、やはり県議会の方で、それは最終的に予算という、個々に毎年度出すものがあれば、そういう形でご了解いただくというのが根拠になってこようかと思っております。

堀江県議
 つまり、法的根拠はないんですよ。県議会が了承したら、どれでもいいわけでしょう。5対5でも、6対4でも、7対3でも。そういうことを言ってるわけでしょう。だから、私が言ってるのは地元の負担、その言葉が嫌だというので、並行在来線の運行を維持する費用と言いますけど、それを長崎県と佐賀県がどう負担するかということについては、県議会の承認があればいいということでは、法的根拠は何もないということなんですね。

多門地域振興部政策監
 あえて申し上げると、私の方で逆に理解しづらいのは、例えば県議会に予算について十分なご審議をいただいて、それでご了承いただくということが、何か根拠にならないというふうにおっしゃられることが、私にとっては若干理解しがたい。
 十分にお互いの県同士、それぞれそうですけれども、やはり自分のところの身を切って金を出していくという部分でありますから、それは十分な審議が行われ、その結果として議決なり、ご了承がいただけるというのが基本でありますので、それを我々としては十分におもんぱかって説明できる形でやっていきたいということがおかしいのかどうかということだと思います。

堀江県議
 私の質問は、県議会の了承がよしか、悪しかという質問じゃないんですよ。地元負担という言葉が嫌であるという、並行在来線の運行を維持する費用が佐賀県と長崎県でどういう負担割合なのかと。そこには、いわゆる制度的根拠でもいいでしょう、法的根拠でもいいでしょう、それがあるのかというのを聞いているんですよ。
 結果としてはそれがないから、最終的には県議会が認めたのであれば、それはどういう数でもいいんだということを言ってるんじゃないでしょうか。

 そこで、私がそれにこだわるのは、佐賀県側は、私の聞き取りの範囲ではございますけれども、6対4という言葉がありますが、7対3というふうな言葉もあるわけですよ。佐賀県としては、長崎県にもっと負担をしてほしいと、そういう意向や動きもあるというふうに私は仄聞しているものですから、私がこの問題を取り上げるわけです。

 そういう意味では、地元負担という言葉がお嫌いでしょうけれども、県民は地元負担ととっていますよ。この問題については、私は決まってからどうこうという問題ではなく、午前中も言われましたように、常任委員会、あるいは特別委員会の中で十分納得がいく説明をするようにしてほしいということ、これは、答弁としては並行ですので、要望しておきたいというふうに思っています。

 そこで、もう一つ、事業としての問題ですが、私が提出を求めた資料の中で新幹線の事業は、あくまでも@だと。武雄―諫早間、諫早―長崎間ですね。確かにおっしゃるとおりだと思うんですが、しかし、午前中もそうでしたけれども、新幹線は、単に新幹線を通せばいいという問題じゃないと。

 それをどう活用するかが新幹線の効果であり、効能であり、PRするところだというふうに言われたでしょう。そうであれば、私が欲しかったのは、新幹線を通すことによって、どういうまちづくりを進めるのかと。それが現時点でどこまでわかっているのか、明らかにできるのか、これを知りたかったんですよ。

 そういう意味では、もちろんいろんな制約もあるでしょう。相手があることだし、制約もあると思うんですが、JRの立体交差でありますとか、さらには、長崎駅周辺のことでありますとか、そういったことも含めて、新幹線を組むに当たってのまちづくり事業ということでは、今明らかにできるのはこの程度しかないということですか。

野嶋新幹線建設推進課参事
 現状では、明確に事業としては、ここにお示ししている部分であります。
 つけ加えて言いますと、新幹線の事業と調整を必要としている事業というのが、あとA、Bの事業ということでございます。

堀江県議
 日本政策投資銀行の参事という方が、新聞にこういう投書を載せています。
 「新幹線が来れば地域が活性化するという考えは事実に基づいていない。博多―長崎間は日帰りがより容易になる。福岡市に本社や出先を持つ企業は、長崎市に支店や営業所を置く必要がなくなる。観光への打撃も心配だ。東京や大阪からの観光客は福岡市に入り、長崎観光は福岡からの日帰りで済ますようになるのではないか。

 中華料理を食べて、稲佐山からの夜景を楽しんでも十分福岡には戻れる。長野新幹線の開通で、長野市は東京からの日帰り圏内になり、出張や観光での宿泊者が減った。すべて新幹線頼みという発想は間違っている。熊本の黒川温泉や大分の別府温泉などは、新幹線や高速道路に頼ることなく、地道な努力を進めてきた。こうした取り組みを手本にするべきではないか」というふうな投書が、載っています。

 そういう意味では、いろんなご苦労があって、長年の苦労のもとに新幹線が着工するというふうなことは報道がされても、じゃ、その新幹線によってどういうまちづくりをするのかというところまできちんと示さないと、やはり合意、納得という面では、私は非常に難しいというふうに思うんですよ。
 今からであっても、着工はもう何日か後じゃないでしょうか。そういう意味であれば、私は、このまちづくり事業、例えば新幹線を組むに当たってまちづくりを進めるということについては、いいじゃないですか、今の段階で事業がわかるということであっても、事業の予算を示さなくても、こういう事業があるんですよということでは。そういう説明はないんですか。

清田地域振興部長
 まず、その新聞記事にちょっと反論させていただきたいと思いますけれども、非常に偏見に満ちた文章だと思うんですよ。

 第1に、長崎県として新幹線が来れば町は活性化すると、そういうふうに言った記憶はございません。午前中もお話しましたように、新幹線が来ることによって魅力あるまちづくりをどうしていくか、それが大事なんだという話をずっと続けているわけです。

 第2に、午前中もたった26分という話があったわけですよ。そのたった26分縮まったら、長崎に来る観光客が日帰りになるとか、支店が全部福岡に行くとか、そういう議論が出るわけないじゃないですか。そういう矛盾したような議論は、個人名は言いませんけど、その方が言われているのは、非常に納得できません。

 それから、まちづくりの話は、今からだと思うんですよ。特に諫早、大村というのは、具体的に新幹線が着工するんだという話が出てきて、さあ、大村新駅、あるいは諫早駅に新幹線が来ることによってどういうまちづくり、駅周辺を中心にしていこうかと、今から議論していくわけです。

 長崎だって、ハード事業はこういう事業というのが、今具体的に構想として挙がっていますけれども、それだけではなくて、新幹線で来たお客さん方を浜町までどうやって引っ張っていくか、どういう動線をつくっていくかというのは今からの議論だと思っています。
 そういう意味では、今の時点でまちづくり事業としてお答えできるのは、この段階だということでご理解いただきたいと思います。

山口(初)委員長
 堀江県議、年に6回ありますから、その辺も加味して、今日、言ってしまわなくてもいいんですから。

堀江県議
 この日本政策投資銀行の参事の方に反論したいという意向はわかりましたけど、私が承ってもお伝えすることはできませんので、それは了承していただきたいというふうに思います。

 それで、まちづくりの話は今からというふうなご回答がありました。そうだと思うんですが、しかし、県民には、やはり県民に税金を負担していただくということになれば、新幹線が通るということでどうなのかというそこら辺のビジョン、あるいは県民に対する新幹線の効能なり効果なりというのは、やっぱり一定示さないと、それは「着工しました」と、「いやぁー、まちづくりはこれからなんですよ」と、「でも、県民の負担はお願いします」ということでは、「はい、そうですか」とはならないというふうに私は思うんですね。
 そういう意味では、まちづくりの事業という意味では、県民の皆さんにわかりやすく、広く説明をしていただきたいということを要望しておきたいというふうに思っております。
 とりあえず私の質問を終わります。