2008年2月13日
少子・高齢対策特別委員会での堀江県議の質疑
 
 地域ケア体制整備構想について


【堀江委員】
 次に、地域ケア体制整備構想について質問したいと思います。
 今、福祉保健部長が説明いたしました「地域ケア体制整備構想について」という中での療養病床の転換推進計画の問題です。具体的に療養病床、今あるベッド数をどれくらい削減をするのか、この具体的なことについてももう少し説明を求めたいと思います。

【橋口長寿社会課長】
 ご答弁申し上げます前に、地域ケア体制整備構想に関する資料につきましては、事前に各委員の方に送付をさせていただいております。お手元にご準備をしておりませんので、大変失礼いたしております。事前にご覧になっていただいたのではないかと思うんですけれども、地域ケア体制整備構想の中に転換計画も包含しておりますので、そこの中に詳しい中身はあるわけでございます。

 平成19年4月1日時点の療養病床をベースに転換計画をつくっております。療養病床がその時点で7,823床ございまして、転換計画で言えば平成23年度末ですので、平成24年3月末日になるわけですけれども、その時点までに転換を進めまして、残った療養病床数、これが3,739床でございます。
 この療養病床数の3,739は純然たる療養病床数で、療養病床数の中に回復期リハ病床というのが含まれるんですけれども、それを除いた病床数でございます。療養病床の中の回復期リハ病床を含めますと、4,581病床が残るという計画になっております。
 以上です。

【堀江委員】
 7,823床ある現在の療養病床を3,739床残すと、パーセントにいたしますと、47.8%を残すと。回復期リハの部分もありますので、いわば、今、長崎県内にある療養病床を、乱暴な言葉かもしれませんが、おおよその言葉で言えば、半分を減らすというふうな内容が、今回の福祉保健部長が説明された療養病床の転換推進計画だというふうに理解をいたします。

 そこで質問なんですが、現在、入院をされておられますよね。そうしますと、出ていかなければならない。この出て行った先、行く先、在宅あるいは特別養護老人ホーム、いろんな施設があるんですが、受け皿はあるんですか。
 県民の皆さんの一番の不安は、「病院を出たらどげんすっとか」という、行く先がないという問題なんです。
 自宅介護で見れるか、見れませんよ。これだけの核家族の中でどうやって見れますか。50%削減をする、その受け皿は本当に大丈夫なのか、こういう県民の皆さんの疑問にはどのようにお答えになりますか。答弁を求めます。

【橋口長寿社会課長
 受け皿のご質問でございますけれども、転換計画と申しますものは、単純に療養病床を削減すると、そういうことではございませんで、療養病床を転換していくと、つまり、介護施設等に転換していって、そこで受け止めるという計画でございます。

 ですから、当然、転換後に療養病床に入院されていた方が移るという仕組みでございますので、おっしゃるように、改修とか、施設をちょっとやり変える、一時的にその期間にどちらの方で療養するのかという問題は現実問題としてありますけれども、基本的にはご家庭に帰っていただくというようなことではございません。
 もちろん、我々としては、在宅で対応できる方は在宅の方で対応していただきたいと、当然そういう気持ちはございますけれども、考え方としては、転換して介護保険施設で受け止めるという性格のものでございますので、ご理解お願いいたします。

【堀江委員】
 療養病床の削減で、今県内でどういう問題が起こっているかといいますと、特別養護老人ホームの待機者が倍増しています。
 私が知っている市内の特別養護老人ホームでも、これまでの待機者に比べて2倍に増えている。なかなか入れないんですよ。これが実態なんです。
 確かに長寿社会課長が言われるように、それはみんながみんな自宅には戻りません。じゃ、特養に入れるか、2倍待つんですよ。入れないじゃないですか。そういう意味では、この計画は、本当に県民の皆さんの不安にこたえる計画かという疑問を持たざるを得ません。

 さらに、在宅になった場合、既に新聞報道であっておりますように、諫早市の社協が介護事業から撤退をすると、こうした報道もあっております。そういう意味では、これは在宅でも難しくなる。
 かといって、じゃ、施設を希望したときに、私は特別養護老人ホームだけを例に挙げましたけれども、特養もすぐに入れない。これまでもなかなか入れなかったのに、待機者が倍になっているんですから、入れないんですよ。
 そういう県民の皆さんの不安にこたえた計画と言えるのかというふうに私は非常に疑問に思うんですが、その点についてはどうですか。

【橋口長寿社会課長】
 待機者のお話でございます。
 確かに、県内特別養護老人ホームの待機者は、全体で3,000名を若干超えている待機者がいらっしゃいます。
 その中で我々が特に重視しているのは、在宅で待ってらっしゃる方、この方が県全体で約1,000名ほどいらっしゃるわけですけれども、あとの2,000名近くの待機者というのは、既に、例えば介護老人保健施設に入所されている、あるいは療養病床にいらっしゃって特別養護老人ホームを待っていると、別の介護保健施設を利用しながら待っているという方も、実はかなりいらっしゃるわけです。
 そういう意味で、在宅で待っている1,000名強の待機者をどうするかというお話は当然ずっと、これまでも議論してきた、我々も内部で検討してきたことなんです。
 恐らく全国どこでも特養の待機者というのはおりまして、その待機者の割合と申すのが、本県が突出しているんだろうか、どうなのかということになるわけですけれども、それは65歳以上の人口に対する特養の定員がどういう水準になるのかということにも関係してまいりますので、そういう面からいきますと、本県の特養の65歳以上に対する整備水準というのは、全国的にも高い部類に入るわけです。
 
 そういう水準は別として、待機者がなくなるようにすればいいじゃないかという議論も片一方であるわけですけれども、それは今度は、特養も含めた介護保険施設等を整備を進めますと、介護費用が当然出てまいりまして、高齢者の負担という部分にも直結する問題でございますので、そこは受益と負担のバランスというものを十分に考えながら私どもも検討せざるを得ないと。
 現実的には、保険者であります市町のご意見を十分に踏まえながら、特別養護老人ホーム等の整備は進めていくというふうな形でこれまでやってきております。
 具体的には、介護事業支援計画というのを3年に1回、計画をつくっておりまして、その中で、今委員がおっしゃるような特養の整備水準、そういったものを十分に検討させていただいております。

 ですから、確かに特養の待機者という問題はあるんですけれども、今回の転換計画とは直接、さらに待機者が増えるというような、そういう関係には一義的にはないということでございます。それは別個の問題として、次期の介護事業支援計画を来年度検討してまいりますので、待機者の問題につきましては、再度、そこでも議論を深めていきたいというふうに考えております。
 以上です。

【堀江委員】
  私は、療養病床の削減の問題点を最後に指摘をしたいと思うんですが、確かに多くの患者の皆さんは在宅で帰りたいというふうに願っております。
 しかし、24時間の介護でありますとか、あるいは核家族であるという家庭の状況でありますとか、そういうことの中でこれはなかなか困難です。
 ですから、自宅に帰れない、いわゆる社会的入院、こういう方も多いんですね。しかし、そういう人たちが病院から閉め出される、私の言葉で言いますと、病院から追い出されるのが、今回の療養病床の削減計画だというふうに私は認識しております。

 医療費を削減するという目的で療養病床を削減していくということは、国はこれまで、2000年4月の介護保険のときには、いわゆる老人病院だったところを療養病床に転換をいたしました。
 しかし、今回はまた逆に、こんなふうに療養病床を削減するというふうに、国の方針が二転、三転しているのではないかと私は思います。
 そういう意味では、離島を抱える長崎県、ここが本当にどこにいても同じように介護が受けられる、あるいは入院ができるという体制をつくるときに、この療養病床の削減計画については、私は長崎県も国に対し、国の方針を二転、三転せずに、きちんと方針をとるべきだということも含めて意見を言うべきだと私は思うんです。

 そういうことも含めて、今回の療養病床の削減計画というのは、私は非常に問題があるということを指摘したいというふうに思っていますが、そういった観点での見解というのはないんですか。

【橋口長寿社会課長
 ご質問の前段でありました、在宅で24時間対応できるようなサービスが整っていないというご指摘でございまして、現状ではそういう状況にあると私どもも考えております。

 そういうこともありまして、この地域ケア体制整備構想の中におきましては、将来を見据えて24時間サポートできるような医療、あるいは介護のサービス体制を今後つくっていきましょうと、そういう方向性を明確に示しております。それが一つ、この地域ケア体制整備構想の大きな目的でもございます。

 それと療養病床の削減の県としての考え方、意見というお話でございましたけれども、この構想を策定する段階におきましては、有識者の皆様に何回もご意見をいただいて策定しておりまして、その検討会議の中でも、今委員がおっしゃったような、制度が短期間で変わっていくということについてのお話も出てまいりました。
 そういうこともありまして、そういったご意見を踏まえて、例えば全国の衛生部長会議の中で厚生労働省の方と直接意見を交わす場もございましたので、そういった各委員等から出ました意見につきましては、県としても意見として述べていったというような状況はございます。

 あと、具体的には転換数でございますけれども、おっしゃるように地域の実情というのが当然ございますので、私どもとしても、国からある程度の基本的な考え方は示されて、それに基づいてはじくやり方もあったんですけれども、結果的には、我々は本県の状況を考えて、特に離島部等の状況も考えまして、国が示した算式によりはじいたベッド数よりも多く残すという形になっております。
 そこは、有識者会議における各委員の意見も踏まえて、あるいは医療機関の意向も踏まえて、国の参酌値よりも多い療養病床を残したという形の転換計画になっております。
 以上です。