2012年2月県議会文教厚生委委員会
長崎県高校生修学支援基金@  3月6日

【堀江議員】
 この第
15号議案、さっき私が予算審議の時に指摘をしたんですが、まず、これは事業が3年間延長されたということについては、それはよしとするんですが、私が問題にしているのは、この条例改正が単なる延長だけかということですね。実施要領の改正があったと思うんですが、その点をまず説明をしてください。(「休憩をお願いします」と呼ぶ者あり)

【浅田委員長】
 休憩します。

【矢島学事振興室長】
 修学支援基金制度につきまして、今、平成
26年度まで期間が延長されたところでございますけれども、高校の奨学金事業におきましては、貸与者の増、それから低所得者世帯とか、特定扶養控除の見直しにより負担増となるような世帯に対する貸与額の増額、あと減免制度の導入に係る費用がその基金の取り崩しの対象になったところでございます。ただし、この基金を取り崩すためには、平成24年度以降に期限を設けない返還猶予の制度を導入することが一つの条件になっているというところでございます。

【堀江議員】
 その返還猶予ですね。要するに、無利子の奨学金を借りた場合に、これは大学生が導入されたんですけれど、卒業の時点で例えば所得が
300万円以下であったら、返還する際に期限はつけませんよというのを大学生については補正予算の中で国は認めたんですよ。しかし、高校生は認めていないんです、国としては。国としては認めていないんだけれども、この高校生修学支援基金でこれも導入するということを、それぞれの都道府県で判断してもいいですよというふうになったんですよ。

 だから、私がさっきから言っているのは、単に期間の延長だけじゃなくて、そういう実施要項が変わったんです。それを長崎県としては含めたのかどうかというのを聞きたくて、基金の歳入のことから言っているんですけど、この点について導入しないんですか。いわゆる返還猶予制度、返還するのをちょっと待ちますよと、これは長崎県としては導入しないのですか。

【矢島学事振興室長】
 長崎県としてどうなのかということでのお尋ねなんですけども、この奨学金の関係の事業につきましては、これまた所管の話をすると申し訳ないんですが、教育委員会の教育環境整備課の方が奨学金の担当をしております。そういうところで、今、教育委員会の考え方としましては、貸与額の増額とか減免制度の導入については多額の財源負担が伴うということで、基金が
3箇年延長はされましたが、その後の平成27年度以降における財源の見通しが立たないということで、制度の導入は難しいんではないかというふうに今お聞きしているところであります。

【堀江議員】
 この
15号議案は、所管は学事振興室でしょう。確かに、さっきも言ったように基金から繰り入れしても、学事振興室が使い、こども政策局が使い、教育委員会が使うんだけど、この条例にかかわってはここが責任者でしょう。そうであれば、3年間延長しますと、だから、この条例改正をするんですというそういう中身だけじゃなくて、やはり返還猶予の部分というのをもう少し教育委員会が財源確保が難しいからというだけじゃなくて、私はこの部分についてはもうちょっと協議してほしいというふうに思っているんですよ。

 少なくとも、国は返還猶予という制度を新たに導入しても構いませんという、事に当たっての国の取り方が違うようにまた変わってきているじゃないですか。全部国に返還せんばいかんとか、そうではないという仕組みに変わってきているんでしょう、違うんですか。

 だから、そうであれば、単にこの15号議案の条例改正を、期間が延長しましたと、そういう提案だけじゃなくて、私としては、実施要項の中身の改正も踏み込んでもっと条例の提案をしてほしいというふうに思うんですよ。

 そこで、質問を変えます。じゃ、長崎県高校生修学支援基金、今幾らあるんですか。

【矢島学事振興室長】
 基金の今年度の残高でございますけども、
43,3186,000円の見込みでございます。

【堀江議員】
 それは平成
23331日の段階で私は65,600万円というふうに思っているんですが、4億円というのはこれは新年度の予算を活用した上での話ですか。

【矢島学事振興室長】
 平成
21年度の末で65,500万円の基金の残高でございました。これに平成23年度までの執行分、この取り崩し分を差し引きまして、平成23年度の末ということで43,300万円というふうな形になります。

【堀江議員】
 
財政課の資料によると、平成23331日段階で65,600万円になるけど、間違いないですか。

【浅田委員長】
 暫時休憩します。

【浅田委員長】
 再開します。

【矢島学事振興室長】
 3
31日時点で切りますと、ちょっと取り崩しの時期がずれているというところもございまして、43,300万円というのは平成24年の5月の部分という形で、その取り崩しの部分が年度を越えた形でやりますので、その残高の部分が少しずれが生じるという形になろうかと思うんですけれども、基本的には平成23年度分の取り崩しを含めると、先ほど堀江議員が言われました65,500万円が43,300万円になっていくというふうな状況でございます。

【堀江議員】
 
いつの時点で幾ら基金があるかというのをなぜ私が確認したかというと、この条例は平成24年度新年度から3年間延長しますよという条例改正ですよね。でも、延長しなかったら、これは国に返さなきゃいけないでしょう。だから、幾ら国に返すのかということを考えた時に、私が言った平成23331日で65,600万円あるんだと。そしたら、これが全部国に返るんですかという質問をしたくて、基金がいつの時点で幾らあるかという質問をしたんですよ。

 そうしますと、私が言う平成23331日で65,600万円あるとすると、基金の延長がなければ、この分を返すということになるんですか。その考えでいいのかどうか。

【矢島学事振興室長】
 延長は
3年間ということで平成26年度の末までという形での延長でございますけれども、最終的にはこの取り崩しとか、いろんな形の精算とかのいろんな事務的なものが発生しますので、平成27年度の630日までに返還をするという形での事務的な形の猶予期間といいますか、そういうものが3箇月設けられておるところでございます。

【堀江議員】
 室長、今回の改正は平成
24年から3年間の話なんだけど、私は先のことを言っていないのよ。今の時点で、今回の延長がなければ、じゃ幾ら基金は返さなきゃいけなかったんですかと、ここからまず確認しているんですよ。それを教えてください。

【矢島学事振興室長】
 延長されなかった場合の予定額としては
43,3186,000円を返還するという形になります。

【堀江議員】
 そしたら、それは今年のいわゆる
6月時点ですね。5月で数字が出されましたけれども、要するにいろいろ事務手続をして、今年の6月時点で4億円余り、今の基金がありますと。今回は条例改正で新年度から3年間延長ですが、これが延長されなかったら、長崎県としては4億円余りを返すことになるんですという話ですね。

 そうしますと、今回また3年間延長することになるんですが、そういう仕組みは同じですか。それはさっき言ったように平成27年度の6月の時点で判断をするということで、その仕組みは一緒だということで、まず理解していいですか。

【矢島学事振興室長】
 同じような取扱いになります。

【堀江議員】
 だから、そうなると、結局基金をある意味どう使うかということをやっぱり論議しなきゃいけないというふうに思うんです。

 それで、私がさっき言った、今回の改正は単なる期間を3年間延長しますというだけじゃないんだと。返済猶予という制度も都道府県でつくってくださいというのがあるから、これも長崎県として導入したらどうですかと。そして、ここの基金を使って、国に返さなくていいように、それはできないんですかという、それが私の条例改正の質問の趣旨なんです。

 そういう検討を単に「教育委員会が、財源があるからできません」という答弁じゃなくて、してくださいよ。これ、学事振興室の責任でしょうが。そういう実施要項まで含めて、私はこの条例改正の提案をしてほしいというふうに思っているので。そこ、わかりますかね。答弁を求めます。

【浅田委員長】
 今の質問の意味を踏まえた上でのご答弁をお願いします。(「明快な質問だよ」と呼ぶ者あり)

【矢島学事振興室長】
 この期限を
3年間延長するに当たりまして、今後その制度を運用していく上での執行の部分について、国の方からは必要な事業について調査がございまして、それについて、今の我々のところで言えば、高校生の授業料軽減補助金の部分について、3年間の延長部分の財源の確保という形で申請をしているところでございます。それに合わせて、それぞれの所管課の方も合わせた形で予算の要求を国の方に対してやっているところでございますけれども、基本的には国の方は3年間延長しますが、長崎県から、各県そうなんですが、要求した部分についてはかなりの額というか、半分ぐらいに今減額をされているところでございまして、基本的に3年間今の状況が続くと、なかなかその執行状況が今の状況でできないと、不足が生じるというふうな事態になっておりますので、我々としてもここ3年間延長されて、きちっと3年間の財源が確保できるように、今後の問題でございますけれども、国の方には改めてまた要望をしていかないといけない、そういうふうな状況になっているところでございます。

【池松総務部長】
 補足で説明をさせていただきますが、堀江議員の今のご質問の背景は、基金が余るぐらいなら猶予して拡充したらどうかというのが根本にあると思うんですが、まず、その猶予の問題につきましては、先ほど学事振興室長が答弁したとおり、基金が平成
26年度までしかございませんので、その後、仮に猶予することになりますと、返還がずっと遅れてきますから、その間、奨学金自身をどうして回すかということになると、一般財源をつぎ込まなきゃいけないというような問題もあって、教育委員会として、まだそこまで踏み込んでないと。

 今回の条例改正につきましては、条文にあるとおり、仮に返還猶予をするにしても条例でうたう必要はないと思っております。条例の第1条で「高校奨学金制度を充実し」ということでありますから、その充実の内容については要項なり要領で一定やっていけばいいと思います。

 それで、現実問題として、基金の残高について申し上げますと、先ほど平成24年度予算では19,400万円を支出するようにしておりますが、同様に平成25年度も支出すると、この時点で既に基金の残高がマイナスになります。今の予定では基金が足りなくなるという状況でございますので、堀江議員がご指摘の、余るぐらいならという前提も全然立たないと。もう平成25年度から、既に基金が不足する状況を見込んでおるということでございますので、(発言する者あり)そういった基金の状況でございますので、先ほど申し上げた返還猶予云々というような財源手当が明確でない部分なものですから、一般財源をつぎ込むというところまでまだ検討をしていないと。言えば、非常に消極というのは、そういう財源の問題があるということでございますので、ご理解いただきたいと思います。(「わかりました」と呼ぶ者あり)

【堀江議員】
 3
31日が6億円あるということから、私は出発しているので、そうであれば、基金残高の見通しといいますか、そこを私が聞くべきだったと思うんですが、そういう質問をできなかった私の力不足だというふうに思っておりますが、理解をいたしました。

 ですが、やっぱり私の資料でも授業料を3箇月以上滞納している私学の生徒は、昨年の9月の4校の調査なんですが、2,522人の中で滞納者が68人、うち1人は退学ということで、やっぱり全体の2.7%が滞納をしているという状況があるんですよ。そういう意味では、この高校生修学支援基金をいろんな形で活用してほしいという思いがあるものですから、この条例についての、条例の改正ではないんですけれども、条例に伴うその要項の部分を改めて質問したところです。

 条例そのものについては、当然賛成の立場です。

 以上です。(「大体わかった」と呼ぶ者あり)

 

 

長崎県高校生修学支援基金A 3月7日

【堀江議員】
 教育環境整備課にお尋ねしたいんですが、高校生修学支援基金です。

 この問題は、昨日、総務部の中で条例改正の時に議論をしたんですけれど、今回、平成24年度事業開始の基金の残額が43,3186,000円ですが、総務部で基金から一般財源に一括繰り入れをして、その配分を学事振興室、教育環境整備課、こども未来課、義務教育課と配分するわけですが、今回、高校生修学支援基金を教育環境整備課が交付金として活用しているのが2,4132,000円ですが、これは歳出の部分の事業でどこになるのか、この部分をまず教えてください。

【尼ア教育環境整備課長】
 歳出につきましては、横長資料の
25ページ、高等学校等進学促進費の中に長崎県育英会助成費99832,000円とございますけれども、その中に2,400万円が事業としては入っております。

【堀江議員】
 そこでお尋ねしますが、この高校生修学支援基金の今回の改正は、これまで
3年間だった猶予期間をさらに3年間延長するという改正なんです。

 そこで私が昨日、総務部の中で論議をしたのは、実施要綱にも改正がありますね。つまり、大学生の場合は、これまで返済期間5年間を上限にしましょうと。ですが、年収300万円未満の方については、300万円を超えるまで、その5年間の返済期間を撤廃しましょうという国の制度が大学生には導入されました。しかし、高校生には導入されませんでした。

 しかし、この制度は、都道府県の判断で、長崎県育英会の奨学金基金として実施要綱の改正をしても構いませんよと改正になりました。

 そこで、昨日織田委員も触れましたが、今現在、この実施要綱の改正で、年収に応じて5年間の期限を撤廃するという制度を導入した都道府県の状況がわかりますか。

【尼ア教育環境整備課長】
 返還猶予制度につきましては、導入予定というところが
9県でございます。そして、実施するかどうかを検討中が26都道府県、実施に向けた検討が12県という状況で、検討中というところが、12県と26県を合わせますと38都道府県という状況でございます。

【堀江議員】
 長崎県は、この中でどこに入るんですか。導入予定が
9県ですね。検討中が26県、12県と、ここに長崎県が入るんですか。

【尼ア教育環境整備課長】
 今、本県では、実施に向けて検討中ということで、今は進めております。

【堀江議員】
 昨日の総務部の答弁は、「教育委員会は、今回の実施要綱の改正については、基金の財源がないからしない」というふうに明言をいたしましたが、そうではなくて、これは検討しているということですか。そこら辺をもう少しはっきり教えてください。

【尼ア教育環境整備課長】
 財源の見通しが今、全く立っておりません。基金の事業というのは
3カ年、平成24年度、平成25年度、平成26年度の事業でございまして、財源の見通しが立たない中で所得連動型の返還猶予制度を導入するには、さまざまな課題がございます。大きい課題というのは、今申し上げました財源の見通しが立たないということでございます。

 しかし、その中でも可能性につきましてはやはり検討する必要があると考えておりまして、そういう点で非常に厳しい状況でございますけれども、慎重に検討していきたいというふうに考えております。

【堀江議員】
 3
2日に明らかになったんですが、鹿児島で、公立高校3年生がPTA会費を納めていなかったと、このPTA会費を滞納していた県立高校3年生の生徒保護者に学校側が、納入を卒業の条件として早急に納めるように催促をしたということが鹿児島で今、大きな問題になっておりまして、この問題について鹿児島の高校教育課は、卒業の条件ではないと、不適切な指導であり二度とあってはならないと、こういうことが、本県ではありませんが実際に起こっております。

 確かに公立高校は授業料が無償化になりました。しかし、PTA会費をはじめいろいろ納めなければいけないものがございます。それだけに、今回大学生では実施をされた返還期間を猶予するという制度につきましては、現場では期待の声があります。高校生修学支援基金をそういうふうに活用してほしいという現場の強い要望も私に寄せられております。

 今、教育環境整備課長の答弁では、財源の見通しを言われました。

 私が調べたところによれば、国の方としては、例えば、取り崩し見込みのない基金の余剰額が明らかに見込まれる場合には、都道府県に対し、年度途中であっても国庫に納付させることができるというふうな通知も届いていると思います。

 つまり、私が理解をするに、現在、高校生修学支援基金の取り崩し状況に都道府県によって大きなばらつきが生じている。3年間延長したにもかかわらず基金事業を積極的に実施しない都道府県に対しては、年度途中であっても国に返還させるということですから、今回の制度改正を積極的にやりなさいという強い指導とも受け取れるというふうに私は思っています。だから、各都道府県は基金が足りないぐらいに実施するように求めたいというふうに思うんです。

 そこで、言われるように、総務部が私に持ってきました資料では、平成24年度基金を取り崩した後の残額が23,900万円、そして平成25年度の取り崩し残が4,482万円ということで、平成26年にはマイナス14,900万円になるんだと。だから総務部としても、これは基金残額が不足になるということで、教育委員会としては、高校生修学支援基金の実施要綱についてはもう考えていないという答弁だったと思うんですが、教育環境整備課長は検討したいと、長崎県としても検討したいというふうなお話がありました。もちろん検討するというのは財源の見通しをどうするかということだと思うんですが。

 国の通知を読む中で、例えば今回、制度改正になるでしょう。でも、この奨学金のいわゆる原資については、毎年交付されるんでしょう。それはどうですか。

【尼ア教育環境整備課長】
 高校奨学金事業につきましては、平成
17年度に旧日本育英会から都道府県事業として移管された時から、国の方から交付金というものが交付されております。来年度は、今のところでは8億円程度交付されるというふうに見込んでおりますけれども、それもずっとという保障はございません。数年後には減少し、打ち切られるというようなことになっておりますので、そういった点で非常に奨学金の財源が厳しい中での新しい猶予となれば、返還を猶予すれば、猶予する期間、次の貸付けの原資となる資金が不足するというのが大きい問題でございますので、このあたり本当に非常に難しい問題でございまして、そこを含めて慎重に検討したいと考えております。

【堀江議員】
 そこの認識は私と違うところです。私は、高校生に対する奨学金事業の原資については従来どおり、国の額で毎年
200億円前後が文部科学省から交付されていく。

 それとは別に、向こう3年間の制度改正のために約400億円が基金として取り崩せるようになっていくというふうに私は考えておりますので、3年後のことは文部科学省が考えるわけですから、その文部科学省が、基金から取り崩せる制度改正をいわば行えと言っているわけですから、私は、所得の低い高校生が奨学金を借りることができるという返済期間の猶予の部分は、ぜひ検討してほしいと思っています。

 少なくとも現在、予定という県が9つあります。そこの県がどうやって財源を賄っていこうとしているのか、そこも調査して検討していただきたいと思っております。

 そうしますと、高校生修学支援基金の返済猶予の部分については、長崎県としては検討していくという理解でいいですか。

【尼ア教育環境整備課長】
 可能性について検討していきたいと考えております。

【堀江議員】
 昨日の総務部の答弁では、非常に私はがっかりしましたけれども、今日の教育環境整備課長の答弁に期待をいたしまして、少なくとも実施をしようという県があるわけですから、そこの県の状況把握もしていただいた上で、少なくともどういう形でできるかということをぜひ研究、検討してほしいと思っています。