2012年2月県議会文教厚生委委員会
国保・特定健診ペナルティ問題  3月8日

【堀江議員】
 次に、横長資料の
42ページ、国保健康保険指導監査費の中の国保財政安定対策費1315,866万円です。

 予算資料で131億円予算を使いますと、これを認めてくだいさいと言われて、国保の予算ですから反対の立場ではありませんけれど、じゃあ、131億円を何に使うのかと率直な思いがありますので、まずは、主な内容でいいので、国保財政安定対策費の131億円の中身を教えてくれませんか。

【庄野国保・健康増進課長】
 県の方で、定率国庫負担分から県に調整交付金という形に変更になっております県財政調整交付金が大体
769,000万円、保険基盤安定負担金、これは軽減をした方の分の県の負担分として423,400万円、高額医療費共同事業、これは80万円以上の医療費、レセプトが出た分の超過した分の2分の1を国と県で持つ、要するに4分の1ずつを負担しますけれども、その分が92,760万円、それから特定健康診査を実施しておりますけれども、その3分の1ずつを県、国、市町で持っておりまして、その分が3272万円と、大まかにはそういう内容でございます。

【堀江議員】
ほとんどが県下の自治体の国保財政に支出をする額だというふうに、平たく言えばですね、理解をしました。

 そこで、この特定健康診査負担金に該当するんだと思うんですが、特定健診の部分はここに該当するということですか。特定健診の問題は議案外で部長説明に書かれてあるんですけど、平成20年度から特定健診の受診率を向上させようということで、平成24年度は最終年になるんですけれど、問題はペナルティー制度がありますよね。つまり、目標に決めた特定健診の受診率にならなかったら、後期高齢者医療制度への支援金を10%カットするということですが、平成24年度は最後の年になりますので、県下の自治体のそれぞれの目標と取組み状況についてはどうなんですか。

【庄野国保・健康増進課長】
 委員ご指摘のとおり、平成
24年度が最終の参酌標準の年度となっております。目標は65%ということになっておりますけれども、実質的には国保内部での取り合いと申しますか、高いところはメリットが生じて、低いところは逆に加算をされるという形になる可能性が非常に高いと思っております。

 それで、県としましても、市町の努力というのは、非常に頑張っておられるというのは認めております。県として何とかお手伝いができないかということで、まず横並びに、少なくともみんな頑張れるようにということで410日に現知事が、いわゆる健診をする人たちの医療保健者に集まっていただいて、医師会長なども参加していただいて、みんなで頑張ろうという意味の共同宣言とか、そういうものをまずやって意識を高めていただいて、強化月間というものも9月に設定をさせていただいて、健診受診率をとにかく上げたい。そして、ペナルティではなくてメリットに変えていきたいと。

 端的に申しますと、例えば長崎市でいきますと、ペナルティで今の予算で考えますと大体57,000万円ぐらいの負担増になるおそれがあると。それをメリットに変えますと、支出が減りますので、逆に57,000万円の補助金をもらったような状況になります。それを保険税の率に直しますと大体6%相当ということになりますので、これはぜひとも頑張ってやっていきたいと思っております。

【堀江議員】
 数字は言わなかったんですけど、これは
65%をみんな目指しているんですか。実態としては、例えば私が手元に持っているのは西海市の受診状況ですけど、西海市は29%ですが、65%の目標に対して、大体みんなどれぐらいの状況にあるんですか。一番高いところと低いところと、65%を達成できますか。

【庄野国保・健康増進課長】
 
詳細には後ほどご説明いたしますけれども、平成22年度の長崎県の市町の平均の健診受診率が33.8%でございます。それに対して全国が今32.0%ということで、全国平均からまいりますと上位の方へ今は入っております。ですから、先ほど申しましたけれども、競争と申しますか、そういう意味合いで高いところはメリットになる可能性が高い。低いところは、その分を加算される可能性が高いと思っております。だから、65%という目標は、私はそうおかしくはないと思っておりますので、65%という目標で頑張っていきたいと思っております。

 それから、高いところ、低いところということで、確かに差は今、現実にございます。ただ、県下の状況でいきますと50%を超えているところもございますし、やり方次第で、未受診者に対していかような対応で取り組むかということによって、これは基本的に変わってくる。その一番大きなところが、医療機関に受診していらっしゃる方が健診の必要性を感じていらっしゃらないというところが一番の原因だと思っております。ですから、今回も医師会長にも入っていただいて、健診の必要性を各医療機関からも言っていただくというような形をお願いしていければと思っております。

 すみません、個別な資料が間に合いません。

【堀江議員】
 個別な資料はいいです。

 要は私が言いたかったのは、65%の受診率を達成しないと、後期高齢者医療制度に対しての国からの支援金を10%上乗せする、カットする、どういう言葉になりますか。私としてはペナルティになると思っているんですよ。年1回、特定健診を受けましょうというのはいいんですが、それを達成しないと、なんでペナルティが課されるのかと。

 そこが、例えば西海市の資料によると、西海市の国民健康保険が65%の目標を達成できなかった場合は4,700万円を追加して負担しなければならないという見込みがあるので、西海市としては今、29.1%だから、町民挙げて頑張ろうというふうになるんですよね。

 受診率を上げるという一方で、ここまで達成しないとペナルティを課すよというやり方は、私はこれはいかがなものかと思うんですが、その点の見解があれば示してください。

【庄野国保・健康増進課長】
 今回行われております医療制度改革の一番の肝の部分が、この特定健診と特定保健指導という組み合わせでございます。

 特定健診をした方で特定保健指導、要するに生活習慣病になるメタボと通常言われておりますけれども、そういう方々、もしくは予備軍の方々に保健指導を実施して、そういう予備軍の方々を減らすことによって将来の医療費の増を抑制していくんだと、医療費の適正化を図っていくんだと、健康づくりをやっていこうというのがこの制度の肝でございます。

 ですから、特定健診を65%という結構高い目標がございますけれども、そこまで実際目標としてやって、それに伴って引っかかった人たちに特定保健指導をしていくんだと。そうしたらば生活習慣病は発生してこない、もしくは人工透析の方とか、そういう方々も出てこない、減っていく、右肩上がりを少しでも抑制できる、そういう効果があるではないかということが一番の制度理由です。そのために、頑張るためのいわゆるインセンティブと申しますか、ペナルティといいますか、そういうものがある。

 ただ、私の方から指導として西海市の方にも、65%というのは目標ですよというふうに申しております。それを目標にやっぱりしないといけない。ただ、50%でも大丈夫かもしれないよというのは言えません。だから65%を目標に皆さん頑張っていただきたいという意味で、県の方としては、各市町にそのような指導をしている次第でございます。それをペナルティと言うか、加算と言うかというのは、言葉の問題だと思っておりますけれども。

【堀江議員】
 私としては、本当に思うんだけれども、福祉行政というのは、国の制度がどう変わるかによって予算配分、要するに財産内訳も収入内訳も、財源内訳も変わってくるし、本当に福祉保健部、こども政策局の仕事というのは、国の制度がどうあるかによって変わっていくというふうに思うんです。

 ですが、そうであっても、国の言うとおりのことをやっていいのかというのが私の考えです。

 だから今回のことにしても、受診率を上げる、それはいいでしょう。年に1回健康診断を受けて家族が健康で長生きできるように、それはいいことです。早期発見、早期治療が医療費を抑えるわけですから。

 でも、そのことと抱き合わせて、目標に達成しなかったらペナルティを課すというやり方については、逆に意見を申し上げるぐらい、国に対して意見を言うぐらいであってほしいというふうに私は思っているんですよ。

 だから、この審議をやっていくと、国の制度はこうなのだからこうしかなりませんと、そうしかならないでしょう。予算審議は何も意味がないんですよ。

 ペナルティを課すことによってどれだけ自治体が大変かと、その声を言えるのも県の行政でしょう。だから、そこはやっぱり県が、ペナルティがあるからそういうふうにするというんじゃなくて、一方ではそういう努力も大事だけれども、国に対しても言うべきことはちゃんと言う。そうでないと、福祉の行政はできないですよ。予算審議もできない。

 そういう意味で、ペナルティを課すということについては、このとおりです、この仕組みですじゃなくて、国に対して物を言うという姿勢を私は持ってほしいと思うんですが、部長の見解を求めます。

【岩本福祉保健部長】
 医療、福祉等を通じまして、いわゆる社会保障制度については、国の方でさまざまな税制の問題も含めて議論をされています。こういった中で国民健康保険制度の問題もあるわけですけれども、全体として右肩上がりでずっと高齢者は増えていく、その中で何とか抑制していかなければならないというのは、私どもも含めたところの全体的な認識であろうかと思います。

 その中でどうやってこれを低減させていくのか。私どもとしては、先ほど言いました特定健診についてはどうしても進めていかなければいけない。その中でペナルティといいますか、頑張ったところ、そうでもないところに一定の差をつけていくということにつきましては、全体的なものを抑制する中においては、その努力を評価するという意味においては一定やむを得ないのではないかという気が私としてはいたしております。

【堀江議員】
 ちょっと私は、部長の見解とは違います。ですが、これ以上論議してということではないので、了とはしませんということだけ言っておきたいと思います。