2012年2月県議会文教厚生委委員会
介護保険料のひき下げ  3月8日

【堀江議員】
 福祉保健部の横長資料の
47ページ、財政安定対策費221,9986,000円について質問します。

 この財政安定対策費が、前年と比べて218,6712,000円増えているんですけれども、どういうことなのか、まずその点からお尋ねします。

【田中長寿社会課長】
 財政安定化基金は、市町の介護保険財政の不足に対応するため、県に基金を設置いたしまして、不足する資金の貸付交付を行うものでございますが、平成
236月の介護保険法改正によりまして、平成24年度に限り、通常の貸付以外の目的で基金の一部を取り崩すことができるようになったことから、改正法の附則に則りまして、取り崩し額のうち市町拠出分については介護保険料の減免のために交付し、県の拠出分につきましては介護保険事業に要する経費に充てることとし、既存の基金に積み立て、今後急増する認知症の方への施策や介護予防等、喫緊の課題等に対する必要な事業の財源に充てるために基金に積み立てを行うものでございます。その額が22億円でございます。

【堀江議員】
 介護保険料の通常の取り崩し以外の目的で、平成
24年度だけに限って使っていいよと国の法律が変わりましたという説明がありました。

 介護保険は40歳以上の方が納めているんですけれど、とりわけ年金暮らしの方で、通常、月額15,000円以上の方は年金から引かれるというふうな状況になります。それだけに、介護保険料が高いから何とかしてほしいという要望があるというふうに私は思っております。

 長崎県の平均介護保険料、とりわけ最高、最低の自治体がわかっていると思いますので教えてください。

【田中長寿社会課長】
 第
4期、平成21年度から平成23年度までの県の平均基準保険料は4,721円でございます。保険者で一番高いところは時津町で5,696円、一番安いところは波佐見町で3,400円というふうになっております。

【堀江議員】
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日の学習説明会資料の39ページで、長崎県の平均基準額が4,721円ということで、全国平均が4,160円ですから、長崎県は全国で4番目に高い介護保険料ということです。資料にもあるように、保険料の推移は、第1期は3,041円だったんですけれども、第4期は4,721円となっています。

 そこで、基金の取り崩しについてという資料をいただいておりますが、3分の1ずつ国と県と市町で拠出をしていた分を分けるということですけれど、この資料でいうと平成23年度末の基金の残高の見込みが47億円、平成24年度に取り崩すのが22億円となるわけですが、3分の1ということであれば、これは73,461万円を市町に交付して、県は73,400万円を長崎県地域福祉基金に積むと。国へ納付するのが73,400万円です。

 この保険料は、市町の場合は73,400万円を今回の取り崩しでもらって、介護保険はそれぞれの自治体が主になりますので、介護保険の会計があるんですが、この長崎県が今回崩した73,400万円と、自治体の会計もあるんですか。

【田中長寿社会課長】
 委員がおっしゃっているのは、この介護保険料を減免するために県から市町へ交付する分と、そのほかに何か準備金等あるということでのご質問でございましょうか。(「はい」と呼ぶ者あり)

 基本的に市町の方では、剰余金を準備金ということで積み立てをされております。これは介護保険財政で生じた剰余金でございますので、平成21年度から平成23年度までの第4期末で、準備基金は県のトータルで約39億円が見込まれております。基金の適正規模を精査した上で、第5期の保険料の上昇を抑えるために積極的な取り崩しを市町にお願いしているところでございますが、その39億円のうち29億円の取り崩しを見込んでおりまして、これで保険料の減免が図られると思っております。

【堀江議員】
 今年度、長崎県が財政安定化基金を
22億円取り崩すと。そのうちの3分の1を、それぞれの県下の自治体の介護保険会計にやると。しかし、県下の自治体には準備金というのがあるので、この準備金とあわせて介護保険料の引き下げに充てると。この準備金が、今回295,800万円が取り崩しになるんですね。そうしますと、あわせて今回の引き下げに充てることによって、第5期、新たな介護保険料の予想の保険料はどうなるのか。そして、今回の引き下げに充てることによってアップをどれぐらい抑えることができるのか、そこら辺の予想の額を教えてください。

【田中長寿社会課長】
 第
5期の県平均の基準保険料の見込みということでございますが、第4期が4,721円でございましたけれども、県から市町へ交付する額7億円と準備金を取り崩す額29億円をあわせまして、約300円の減免効果がございますので、それをあわせますと、第5期の保険料は約5,400円になる見込みでございます。

【堀江議員】
 取り崩さなかったら、どれぐらいアップになるんですか。

【田中長寿社会課長】
 交付金による保険料の減免額が約
60円、準備金の取り崩しで保険料の減免の効果が240円、トータル300円でございますので、5,400円プラス300円で5,700円、取り崩さなければ5,700円の保険料となる見込みでございます。

【堀江議員】
 そうすると、取り崩さなければ
5,700円、今は4,721円ですから1,000円アップと、取り崩さなければですね。それを今回、7億円と29億円という自治体の準備金を出すことによって700円のアップということになる、300円抑えることができるんですね。

 そこで、長崎県が取り崩す22億円のうち、国に7億円やる、市町に7億円やる、県に7億円ありますね、長崎県地域福祉基金、これを自治体に7億円できないのかというふうに私自身は思うんです。

 その根拠は、全国の担当者会議の説明会の時に、厚生労働省が次のような見解を示しています。「基金の取り崩しによって都道府県が受ける返還金の使途として、保険料軽減のために市町村に対する交付金とすることは可能か」というと、「お見込みのとおり取り扱っても差し支えない」ということです。つまり、本来であれば長崎県が出した分なので長崎県が受けることになるんだけれども、その7億円を市町に渡しても、それは差し支えないというふうな見解を示しているんですが、こういう見解での検討はされたんでしょうか。

【田中長寿社会課長】
 委員がおっしゃるとおり、全国の担当課長会議の質疑応答で、県の取り崩し分を市町の保険料の減免に充てていいという一つの考え方が示されましたけれども、基本的には県の拠出金は一般財源を使っておりまして、使途は県に任されているというふうに考えております。介護保険料で確かに
60円、3年間減免になりますので、これは確かに被保険者の皆さんにとってはありがたいことかもしれませんけれども、3年間という限定的な措置でございます。それよりも喫緊の課題でございます介護予防とか、認知症対策とか、そういう将来の介護保険事業の財源に充てることが重要ではないかということで、県の取り崩し分につきましては既存の福祉基金に積み立てをいたしまして、そういう喫緊の課題に充てて実施していきたいというふうに考えております。

【堀江議員】
 例えば九州各県はどういう状況で対応していますか。

【田中長寿社会課長】
 九州各県では、既存の基金へ繰り入れて介護保険事業の財源に充てるところと、すべて一般財源化されまして一般会計に繰り入れをするところもございます。

【堀江議員】
 介護保険料が高いと、高いから何とか引き下げてほしいという県民の、国民の要望がある中で、厚生労働省が
1年限り財政安定化基金を使っていいですよと言って崩すんだけど、結局、長崎県が7億円崩したとしても、長崎県内の介護保険料の対象の人たちで160円しか下がらないということですか。

【田中長寿社会課長】
 委員のおっしゃるとおり、県の
7億円を交付いたしましても、3年間で1人当たり60円の減免ということでございます。

【堀江議員】
 国がやっていることは、介護保険料を下げるという期待に応えていないんじゃないの。

 課長に言うことではないかもしれませんが、ましてや国は、県の分については、県は自分のところにもらわないで県下の自治体にやってもいいですよと言う。しかし、国の分はしっかり国に返せと言う。そのやり方も、私としてはいかがなものかというふうに思うんですよね。介護保険料を本当に下げるということであれば、国の分も県下の自治体に、それこそ保険料減額のために財源として充てるべきだというふうに思うんですが、その点の見解を求めたいと思います。

【田中長寿社会課長】
 基本的に現在の介護保険制度では、サービスが増加すれば保険料にはね返ってきます。

 この制度の抜本的な組み替えをしない限り、なかなか事態の解決にはならないということで、基本的に私どもとしては、政府施策要望として、保険給付に要する国庫負担割合の引き上げなど抜本的な見直しによる保険料負担の軽減を国に要望しているところでございますし、今回の見直しでも、全国知事会を通じて、介護保険制度が将来にわたり持続可能で安定的な制度となるよう、保険料と公費の負担の在り方の見直し等の検討を要望しているところでございますが、残念ながら今回の改正ではそれが取り入れられませんでしたので、今後も引き続き要望してまいりたいと思っております。

【堀江議員】
 介護保険制度の仕組みとして、課長が言うように、サービスが広がれば広がるほど保険者にはね返っていくということで介護保険料が上がっていく。
1期で始まった保険料が、今はもう5,000円を超えようとしている。

 年金暮らしの人などは、年金からこれが差し引かれるわけですから、本当に老後の生活が成り立たないと思うんです。

 介護保険というのは、かつて、親の介護が必要になった時に、娘や嫁が会社を、仕事をやめて、あるいは転居して親を見ると、そういう人たちをなくそうということで、社会的に介護保険制度が始まったんですけれども、なかなかいろんな問題があるというふう私は思っておりますので、今回の1年限り、介護保険料引き下げのために使っていいという財源がこんなにお粗末かということを私としては言わざるを得ないというふうに思っております。

 答弁としては、今後、介護保険制度の改善点については国にその都度要望していくという答弁でしたので、それで了といたしますけれども、やはりそういう介護保険制度のさまざまな問題をぜひ改善していただくように、お願いをしたいというふうに思っております。