◆堀江委員
日本共産党の堀江ひとみです。
1、防災対策ついて。
今議会に、原子力災害対策整備事業費が予算化されています。内容について、説明を求めます。
◎坂谷危機管理監
原子力災害対策整備事業ですが、長崎県地域防災計画に基づき、原子力災害に備えるため、必要な防災資機材の整備や放射線監視システムの運用経費などであり、この予算については、全額、国からの交付金で措置されております。
平成23年度当初予算は、防護服など必要な資機材の整備のほか、放射線監視テレメーターシステムの保守点検費用など1億600万円を計上しております。
また、今議会で審議をお願いしている11月補正予算につきましては、現在、避難対象範囲を10キロメートルから30キロメートルに拡大した県地域防災計画の見直しに着手していることから、防災資機材を整備されていない関係機関へ緊急に配備しようとするものであります。
以上です。
◆堀江委員
先日の原子力防災訓練を通じて、原発方向に避難をするとか、ラッシュになるとか、船の確保が難しいなど、さまざまな問題が明らかになりました。改めて、原発事故は絶対にあってはならないと私は認識をいたしました。
福島第一原発事故から約9箇月、福島県の佐藤知事は、11月30日の記者会見で、県内の原発全10基の廃炉を要求する考えを初めて表明しました。
福島県内には、東京電力第一原発に6基、第二原発に4基あります。福島県議会では、既に9月定例会で、市民団体が提出した全基廃炉要求の請願が全会一致で採択されています。
佐藤知事は、「今回の事故で、国、事業者が主張してきた原発の安全神話が根底から覆されたと指摘。原発を立地して財政的に恩恵を受けてきた以上に、事故は自然、社会、教育にも大きな影響を及ぼしている。県復興ビジョンに沿って、基本理念の『原子力に依存しない社会づくり』という考え方を明確にするため、さまざまな角度から議論を重ねてきた」と述べました。
そして、「県民を守り、若者や子どもたちが安心して暮らせる福島県の復興のため、原発がない県を目指し、原発事業者と国に県内原発を全基廃炉にすることを求めると復興計画に明記することにした」と語りました。
日本の総発電量に占める原子力発電の割合は25%です。例えば5年、10年の間に電力消費量を10%程度削減し、そして、現在の総発電量の9%程度の自然エネルギーによる電力を2.5倍程度に引き上げることができるなら、原発による発電量をカバーすることができます。
中村知事、安全な原発はあり得ません。福島県知事の思いに心を寄せるべきだと思います。
九州電力玄海原発1号機は、今月1日から定期検査に入りました。さらに4号機が、25日から定期検査に入ります。現時点で、日本にある54の原発のうち45基が運転を停止しています。玄海4号機が定期検査に入ると、運転中の原発は8基だけとなります。
夏場の電力消費のピークの時も、国民の節電への取組で乗り切ることができました。「原発がなければ停電する」との話は、電力会社のごまかしです。原発からの撤退は無理な課題ではありません。
そこで、知事に質問します。原子力に依存しない社会づくりの考えに立ち、九電に対し、原発を再稼働するなと求める考えはないか、見解を求めます。
◎中村知事
福島県にあって、今なお原子力災害が進行をし、多くの方々が避難生活を余儀なくされている状況の中で、先般、福島県知事が、県内の原発はすべて廃炉とするという方向で復興計画の基本理念の中で明らかにされたというのは承知しているところであります。
ただ、私は、エネルギーの需給計画というのは、国の責任のもとでしっかりした対応策を講じ、説明責任を果たしていただくべき事項であろうと考えておりまして、国においては、原子力安全対策を徹底するという姿勢のもとで、安全性が確認された原子力発電所の再起動を進めるというような基本的な考え方のもと、現在、ストレステスト等を行っておられるところであり、この結果に基づいて原子力安全保安院が評価し、さらにまた、原子力安全委員会が確認した上で総合的な判断を行うということになっているものと理解をいたしております。
確かに、既に相当の原発が定期点検に入って、稼動中の発電所が少なくなる中で、節電等についての協力要請がなされているところでありますけれども、国の方で具体的に今後どういった手順を踏んで進められるのか、重大な関心を持って見守ってまいりたいと考えております。
◆堀江委員
エネルギー政策は国の基本でもあるし、国の方針でもあるし、重大な関心を持って見守りたいということですが、私が質問をした、九電に対し再稼働をするなと求める考えはないかということについては、考えはないというふうに言われたんだと理解をいたしました。
私は、その答弁が福島県民の思いに心を寄せているかということを改めて問いたいというふうに思います。
「原発事故は、福島県民の暮らしのすべてを一変させました。原発立地地区では、津波に遭っても生き残ったであろう方を見殺しにしなければなりませんでした。ふるさとに帰れない多くの県民を生み出しました。土にこだわって農業を生業にしていた人も、おいしいアンコウなど、魚を捕って暮らしていた人も、田舎に遊びに来た人にキノコを売って生活の糧にしていた人も、みんなできなくなりました。福島県は、今後、いつ果てるともない除染が始まりました。あらゆる実害と風評被害を乗り越えなければならない事態に陥っています。」
ここは、さきの福島県議会で、全基廃炉要求の請願で賛成討論をされたところの一部です。
原発事故は、ほかの事故には見られない、異質の危険があります。ひとたび事故が発生をし放射性物質が外部に放出されれば、もはやそれを抑える手立てはありません。被害は空間的にどこまでも広がり、そして時間的にも将来にわたって危害を及ぼし、地域社会の存在さえ危うくいたします。
だからこそ福島県の佐藤知事は、県民の暮らしを守り、若者や子どもたちが安心して暮らせる福島県の復興のために、原発の全基廃炉をと表明したのだというふうに思います。
今回の被災地の支援で長崎県は、福島県を支援しています。今日の質問にも冒頭からありましたように、さまざまな努力をされて、復興のためにということで、民間、そして行政も挙げて福島県の支援をしています。やはりそういう支援という時に、一番の思いは、この原発があってはもう県民の暮らしも命も守れないんだという、そこにどう立てるかということも一つ必要なのではないかというふうに私は思います。
知事が言われるように、確かにエネルギー政策は国の問題です。しかし、私は、被爆県長崎の知事としても、こうした原発に依存しない社会づくりへの発信をしていただきたいと思っています。「原発ノー」の世論をつくるのは国民の声であり、県民の声です。しかし、トップである知事がどう発言するかということも、世論をつくる大きな役割だと私は思っています。
そういう意味で私は、エネルギー政策は国の問題ではあるけれども、そういう国の問題をもってどうこうということではなく、被爆県の知事として、福島県の被災をされた原発の被害を受けておられる、こうした皆さんの思いに心を寄せて、再稼働を求めないという考えもあっていいと思いまして、今回の質問をさせていただきました。
改めて、発信をする考えはないかということを、知事の見解を求めたいというふうに思います。
◎中村知事
確かに、議員ご指摘のとおり、原子力発電所の事故が一旦発生をいたしますと、相当に深刻な、しかも大きな被害が及ぶというのは、今回の事故で国民が受け止めたところでありますけれども、他方、すべて原子力発電所が稼動を停止してしまうということになりますと、相当分野を担っている発電がなくなってしまうわけでありまして、これにかわるものとして、既存の火力発電所その他のエネルギーを確保する必要が出てくるわけであります。コスト面での影響、あるいはさまざまな産業、生活上の影響等も考慮して、総合的に判断されるべき性格であろうと考えているところであります。
そういった意味で、確かに被爆県として福島県民の方々に寄せる思いはありますけれども、直ちに今回のことをもって廃炉を求めるというところまで考えていないところであります。
◆堀江委員
私のこの主張ですね、再稼働するなという考え、これはもちろん県民の要望に基づいて私は質問いたしております。そういう考えもあるということを認識の上で検討していただきたいと思うんです。
今、知事が言われたように、原発の事故は、一旦発生すると深刻な被害が及ぶと、これはもう国民が理解をしたんだと、知事のおっしゃるとおりです。エネルギーを確保する必要がある、もちろんそうです。
だからといって、国のエネルギー政策を待つという立場ではなく、私は、知事にもっと発信をしていただきたい。そういうことを思っているんです。国のエネルギー政策の発信を待つということではなく、そこはほかの県ではない、被爆地長崎の知事の役割ではないかというふうに思うんですよ。今すぐ言えないということであっても、確かに今日質問をした、そのことには答えることはできないでしょう。しかし、検討していただきたいと思うんです。そういうふうな姿勢というか、お考えには立ちませんか。
◎中村知事
原子力発電所の問題については、これまでも議会の中でもご議論をいただいてきたところでありまして、先ほど申し上げたように、国民生活に極めて密接なエネルギーとしての一定のシェアを担う原子力発電所でありますので、これが直ちに廃炉ということになってしまうと、さまざまな分野での影響が懸念されるところではなかろうかと考えているところであります。
そこら辺を総合的に判断され、まずはやはり安全対策をいかに徹底していただくのか、そしてまた、現状等を踏まえた上で、どういった対策のもと再稼働をしていくべきであるのか、現在、国で議論をされているわけでありますので、その議論を待ちたいと考えているところであります。
◆堀江委員
私が言わんとするところは、現在国で論議をしている、その議論を待ちたい、その待ちの姿勢ではなく、知事として発信をしてほしいということです。県民のトップとして、県民の暮らしを守り、命を守る、一番大事なのはそこです。このことが、原発の事故があったらこれは守れないんだと、これが現実なんです。
そうであれば、これを起こさないためにどうするかというところで、国の施策を待つということではなく、もっと踏み込んで、もっと発信をしてほしいというふうに私は思うんですが、そういう考えをお持ちになるということにはなりませんか。同じような質問で申しわけありませんが、再度、この機会にお聞きしておきたいと思います。
◎中村知事
先ほどお答えを申し上げたとおりであります。
◆堀江委員
同じことを聞いているんですから、確かに同じ答弁でしょう。(笑声)ですが、知事、私が言っている意味はわかりますか。私が言わんとする、国の施策を待ってという、その姿勢を見直していただきたいというふうに私は言っているんですよ。そういう姿勢を見直す考えはありませんか。
◎中村知事
確かに、そうした意見があるのは私も承知をいたしておりますが、ただ、足元に県民生活、あるいは切実な問題があるわけでありますので、そうした面についてもしっかりと大切に考えていくべき課題であろうと思っております。
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