◆堀江議員
日本共産党の堀江ひとみです。
1、再生可能エネルギー導入にむけた長崎県のとりくみについて、質問いたします。
今議会に、再生可能エネルギー事業化調査事業費が予算化されています。メガソーラーを県内どこに設置できるか調査するための予算であることが、これまでの質疑で明らかになりました。
そこで、質問ですが、太陽光発電の導入促進に向けた長崎県のこれまでの取組について、答弁を求めます。
◎徳永環境部長
まず、一般住宅用太陽光発電設備につきましては、県が補助を行いました2,492件を含めますと、平成22年度末で約1万5,000件が設置されております。一戸建て住宅に対する普及率は3.89%、全国第6位となっております。
今年度は、東日本大震災を契機とします自然エネルギー活用への関心の高まりもありまして、9月16日現在で、昨年を大幅に上回る995件の申請があってございます。
それから、民間事業所の太陽光発電設備につきましては、平成21年度から県の補助制度を設けまして、昨年度までに10件の補助を行い、今年度においては現在6件の申請があっております。
なお、民間の調査によりますと、平成21年度末における非住宅用太陽光発電システムは、156件が導入されております。
以上でございます。
◆堀江議員
今、答弁されたのは環境部ですが、次に、これまでの風力発電の導入促進に向けた取組について、答弁を求めます。
◎徳永環境部長
風力発電につきましては、国の助成制度の活用などにより県内に20カ所、74基が設置されておりまして、総出力は9万7,160キロワット、一般家庭約4万7,000世帯分の年間使用電力に相当する量が導入されております。
これは、設置基数で全国第5位、導入量では全国第6位の水準となっております。
また、環境省におきましては、全国で初めてとなる海上に浮かぶ浮体式の2メガワット級の洋上風力発電設備の実証
事業が五島市沖で進められておりまして、来年度には小規模試験機の設置も予定されております。
以上でございます。
◆堀江議員
再生可能エネルギーを地域の活性化と結びつけて導入を進めている自治体が、注目をされています。
例えば、高知県の梼原町、四国山地に大型風力発電機を2基設置をしまして、四国電力への発電売上げは年間4,000万円。これを環境基金にして、木質ペレット製造工場を設置し木質ペレットを生産、町内の特養ホーム、身障者施設などの燃料として使用します。
さらに、先ほどの環境基金をもとに、個人住宅への太陽光パネル設置補助金を、町独自で20万円を補助する。
また、学校の敷地造成のために河川の付け替え工事を行い、落差8メートルの高さを利用し、小型の水力発電を設置。つくられる電力は、昼間は学校に、夜間は町中の街灯に使われます。人口4,000人の町で、実にエネルギー自給率は3割までになっています。
私は一つの事例を紹介しましたが、長崎県において、再生可能エネルギーを地域の活性化に活かす取組について、答弁を求めます。
◎徳永環境部長
長崎県におきましては、ナガサキ・グリーンニューディールの主要プロジェクトの一つとしまして、地域において環境産業の振興や環境負荷削減、あるいは技術導入などに取り組みます環境実践モデル都市、これについて、現在は対馬市と西海市を選定してございます。
対馬市では、企業や大学とも連携をしながら、豊富な森林資源を活用し温浴施設や製塩工場における熱利用から木質バイオマスの高効率利用につなげる取組、あるいはメガソーラー等の導入によります漁業、漁港の省エネルギー化など、地域の資源を活かし地域産業の振興につながるエネルギーの自給の島づくり、これを目指した取組を進めることとしております。
また、西海市におきましては、地域の廃棄物バイオマスの石炭火力発電所での混焼、あるいは、地場の大規模事業所等と連携しました環境産業の振興などに取り組みまして、地域の経済成長と環境保全が共存するモデル都市づくりを目指すこととしております。
以上でございます。
◆堀江議員
産業労働部長、産業労働部の管轄の中に、この再生可能エネルギーにかかわる課はないんですか。太陽光発電をとっても全部、環境部が答弁をした、それから、再生可能エネルギーを使っての地域の再生という問題でも環境部が答弁をいたしましたが、産業労働部の中では、この担当はないんですか。
◎上村産業労働部長
私ども産業労働部の中では、産業技術課というものがございます。ここでは、ベンチャー企業、新規産業の振興をやってございますが、私ども、産業振興ビジョンの中でも明記をさせていただいておりますけれども、新規産業の一つとして環境・新エネルギー産業と入れてございます。そうした意味で、この産業技術課で再生エネルギーの関連についても担当している部分がございます。
例えばスクール・ニューディール構想というのがございまして、これは、小・中学校等の屋根等に太陽電池を普及させていくという話でありまして、たしか20校ぐらいだったと思いますけれども、これをCDMという形でクレジットにして、大企業等に販売することによって一定のモデルとしてやっていく。こういうことも、グリーンニューディールという取組の中で掲げているところでございます。
◆堀江議員
今、私が求めて産業労働部長が答弁をいたしましたが、太陽光発電一つをとりましても、企業にかかわる部分は産業労働部、そして個人住宅については環境部と対応窓口が違います。私が今回この質問をしましたのは、再生可能エネルギーという時に、こんなふうに部、課がまたがっていいのかというのが私の率直な疑問でありまして、この質問をさせていただきました。
私は、再生可能エネルギーを爆発的に普及させる長崎県の体制づくりが必要だと思っております。ですから、その立場で今回、再生可能エネルギーを爆発的に普及させる長崎県の体制づくりをぜひ提案をしたいというふうに思っています。
3・11以降、「脱原発」、「さようなら原発」の世論が広がっています。私は、期限を決めての原発の撤廃を求めています。再生可能エネルギー導入のために調査、研究が不可欠です。
環境省の導入ポテンシャル。例えば太陽光発電の場合、長崎県は524万キロワットが見込まれていますが、こうした推計も具体化しなくてはエネルギーになりません。
体制づくりについての知事の見解を求めたいと思います。
◎中村知事
総合計画の横断プロジェクトの一つとして、このグリーンニューディールを推進するために「ナガサキ・グリーンニューディール推進室」という組織を新たに設けたところであります。
これは、産業振興や雇用創出に併せて低炭素化、グリーン化を目指すというプロジェクトの推進に努めているところでありますけれども、今後も、こうした各横断的な取組を取りまとめる課として、ナガサキ・グリーンニューディール推進室の力を発揮しながら、実現に向けて力を注いでいきたいと思っております。
◆堀江議員
高知県は、この1月に「新エネルギー推進ビジョン」を策定しまして、4月に新エネルギー推進課を設置しました。
福島原発事故後、尾崎知事は、「段階的に原発から脱却、安全な新エネルギーを目指す」と発言をしています。
高知県の「新エネルギー推進ビジョン」は、その意義と目標について、「県民みんなが主役となって地域資源から得られる新エネルギーを活用してエネルギーへ、地産地消、地産外商を進めるとともに持続可能な低炭素社会を構築することにより、将来にわたって活気あふれる元気な高知県となることを目指します」と、その方向を定めています。
私は、知事に被爆県長崎の知事として脱原発の立場に立っていただきたいと思いますが、しかし、知事はこれまで、一般質問を含めまして、そうした立場でないことを表明いたしております。
しかし、少なくとも再生可能エネルギーを増やす、この点では知事も私も同じ立場だと思いますが、まず知事に、この私の認識でいいですか、確認を求めます。
◎中村知事
このグリーンニューディールの中でもグリーンニューディール推進方針というのを決定いたしておりまして、その中の大きな柱として、再生可能エネルギーの利用拡大、活用推進という項目を掲げ、実現を目指しているところであります。
◆堀江議員
そうしますと、今、私が言いました例えば太陽光発電をとっても、産業労働部と環境部にまたがっていると。じゃ、一つにしたらいいんじゃないか。
そうしますと、今、知事が言うのは、このナガサキ・グリーンニューディールがすべてそれを網羅しますよと、そういうことですか。
◎中村知事
この再生可能エネルギーに対する取組も、さまざまな段階があると思います。例えば水力、地熱、風力、太陽光、波力、それに加えてバイオマスなどもあります。
このバイオマスの活用等については、農林部の方でさまざまな取組を進めてきた経過もございます。
要は、そうした各部局の取組を横断的に取りまとめて、一つの方向性に沿って推進していくという取りまとめの組織として、ナガサキ・グリーンニューディール推進室を設けたところでありますので、当面はこうした体制のもと積極的に推進してまいりたいと考えております。
◆堀江議員
取りまとめの室を私は求めているんじゃないんですよ。農林部も含めて、環境部も含めて、産業労働部も含めて、再生可能エネルギーを長崎県でどれぐらい、どんなふうにつくるのか、そのために県民にどんなふうに協力をしていただくのか、そういうふうな計画を立て具体化する、そういう部をつくっていただきたいということを私は申し上げているんです。
ナガサキ・グリーンニューディール推進室がもちろん横断的に、各課の中心になって進めているということは私も理解をいたしております。
今後、再生可能エネルギーを増やしたいと、知事も質問に答えて言っているじゃないですか。そうであれば、果たして取りまとめの課があるよと、それだけでいいのかというのが私の質問なんです。もっと再生可能エネルギーを増やすという立場で、取りまとめということではなく、そこがきちんとビジョンを持ち具体化をする、そういう課が必要ではないかと私は思うんです。
知事の答弁を求めます。
◎中村知事
先ほどからお答えをしているように、一つの全体としてプロジェクトで取り組もうとしているわけでありまして、取りまとめと申しますのは、各部局に任せて資料だけ取りまとめるという立場では決してございません。それは各部局、積極的な意見交換を重ね、戦略を練って、一つの方向性に基づいて力を合わせて取り組んでいこうというのが取りまとめの姿勢でありますので、そういう体制で推進してまいりたいとお答えをしたところであります。
◆堀江議員
長崎県は、昨年まで「長崎県地域新エネルギービジョン」というものをつくっておりました。その中で、導入促進に向けた推進体制ということで、導入促進を先導していく体制整備に努めますということで、それに基づいて、このナガサキ・グリーンニューディールなんですが、私が言いたいのは、やはりこれだけ脱原発の世論と運動が大きく広がって、原発に頼らない再生可能エネルギーをどうつくるのか、そういうふうに世論と運動、これは長崎県も同じです。県民の中にそうした運動が広がっています。
知事は脱原発ではない、私は脱原発、そうであっても、今、再生可能エネルギーをさらに増やそうということでは同じ立場ではありませんか。そうであれば、今、長崎県がやっているように取りまとめをしているから終わりということではなくて、さらに進めて、例えば高知県の事例を出しましたが、高知県のようにビジョンを持ち具体化をする、そういう課をつくっていただきたいと私は申し上げているんです。
再度、知事の答弁を求めたいと思います。
◎中村知事
先ほどもお答えをしたように、推進方針というのを定めて、それに沿って具体的な施策を進めていこうとしているわけでありますので、ビジョンなくして単なる取りまとめというご理解は改めていただければと考えております。
◆堀江議員
やはり高知県は、脱原発、この立場に立って、安全な原発などあり得ないと、だから再生可能エネルギーをどうつくるか、そのために一つの課をもって、県民の協力も仰ぎながらやると、その立場に立っています。
やはり知事は脱原発の立場に立っていない分、そういう意味では再生可能エネルギーの問題については、私は、消極的であるということを指摘をし、質問を終わります。
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