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日本共産党の堀江ひとみです。
ただいま議題となりました 請願8号 国営諫早湾干拓事業潮受堤防排水門の開門を断固阻止する為の決議等を求める請願書については、以下の理由で反対いたします。
請願が提出された根底に、さまざまな誤解があると思います。
1、いきなり排水門を全開するような開門方法は、誰も望んでいません。
開門に不安を抱いている方々は、高裁判決によって、いきなり排水門が全開されるのではないかと、考えていらっしゃるのではないでしょうか。
開門を求める裁判に関わる方々や県民が求める開門方法は、調整池水位をマイナス1〜1.2メートルの範囲内とした上で、海水導入量と排水量をゆるやかに増やしていく、安全・安心の段階的開門です。しかも、そうした段階的開門は、関係者による開門協議のうえですすめられるべきです。
まずは2002年短期開門調査の水準で調整池に海水を導入すれば、汚濁水は劇的に改善され、湾内漁業の再生が始まります。大雨の時も、汚濁水の大量排出による被害の心配はなくなります。
2、開門すると、調整池に海水が入りますが、対策をとれば農業は十分に可能です。
海水のしみこみによる塩害のおそれはありません。
佐賀県、福岡県の筑後・佐賀平野は、農地の標高が低い点では、佐賀県下の干拓地と諫早湾干拓農家と条件は変わりません。そして、有明海沿岸に多くの干拓地を有する佐賀県下において、干拓地で海水浸透による塩害の被害は発生していません。
諫早湾干拓営農地では、内部堤防内側に遊水池の役目を果たす排水路が張り巡らされているので、心配ありません。実際に、短期開門調査時においても、調整池全域が塩水化されていたにもかかわらず、塩害は生じていないのですから、開門の規模をさらに拡大したとしても、海水のしみこみによる塩害のおそれはありません。
3、防災対策
潮受け堤防締め切り前の15年間で、かん水被害は7回だったのに対し、堤防閉め切り後の11年間でかん水被害は17回と増加しています。締め切りの有無に関係なく、真に有効な防災のためには、本明川の河川改修をすすめて、低平地に排水ポンプを増設し、高潮が予想されるときは水門を閉めて対応すれば、開門しても大丈夫なのです。
4、誤った情報を提供している国と、長崎県の姿勢が、厳しく問われています。
開門による漁場環境改善効果があるか否か、開門すべきか否かはすでに昨年12月6日の福岡高裁開門判決が確定したことによって、決着がついています。
2013年12月20日までに潮受堤防南部排水門、北部排水門を開放することは国の義務であり、内閣が代わろうと、政権党が代わろうと、これをくつがえすことはできません。
それなのに国は、開門義務を真摯に果たそうとする姿勢が、まったく見えない開門アセスを公表しました。開門方法ひとつをとっても、裁判の内外において、段階的開門が一番の方策と提起されているにもかかわらず、全開門と同列に扱っています。いたずらに開門を遅らせるものに他なりません。
さらに、長崎県は県民の税金を使い、「開門すれば大変だ」との誤った情報を、県民に振りまいています。
国と長崎県がすすめた公共事業が、漁業を基盤とする地域経済、それを前提としてなりたってきた地域の歴史的文化も崩壊しようとしている現実。多額の借金をかかえ、ついに自らの命を絶った20数名をはじめ、被害に苦しんでいる漁民の現実を、正しく情報として伝えるべきです。
営農も漁業も、防災も、成り立つ方向が提案されているわけですから、長崎県はきちんと伝えるべきです。営農者も漁業者も、同じ長崎県民との立場で、対応すべきです。
本請願は、国と長崎県の誤った情報により、不安をかかえておられるみなさんの率直な思いであり、誤解は必ず解けていただけるものと、思います。請願採択前に、誤解を解くための手立てが強く求められています。
議員各位のご賛同を、よろしくおねがいいたします。
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