2010年9月県議会文教厚生委員会
主幹教諭・指導教諭の新たな配置について9/28
【堀江議員】
 教育長説明で、平成23年度から県立学校に「主幹教諭」、「指導教諭」を新たに配置とすると報告がありました。現場の先生方の話を聞かせていただけば、新たに設置する必要性について、私は疑問です。

 まず、主幹教諭、部主事の役割が主幹教諭と変わらないのではないか。

 指導教諭、パワーティーチャーと呼ばれる先生がいます。国語なら国語の授業で、ほかの先生が見てみたいと思う授業を行う先生です。指導、助言する立場で、既にパワーティーチャーが存在しているのに、なぜ指導教諭が必要なのか。

 答弁を求めます。

【田川高校教育課人事管理監】
 今、ご指摘のとおり、主幹教諭は部主事をもって充てる、部主事を主幹教諭とするとしております。

 特に、特別支援学校には、小学部、中学部、高等部の一貫した教育が求められておりますし、また、小学部、中学部、高等部の学部を超えた連携も必要です。特別支援学校においては、小学部、中学部、高等部の連携が学校運営上どうしても欠かせないものであります。

 これまでは部主事が教諭という立場で仕事をしておりました。その中では、小学部は小学部、中学部は中学部、高等部は高等部での仕事が多い中、それの連携を図りたいということもあります。

 そしてまた、もう一つは、分校と本校、あるいは分教室と本校との連携がさらに必要だと、分教室も、今、5校設置してあるところでありますし、そういったことでございます。

 それから、指導教諭につきましては、卓越した教科の指導力、今、パワーティーチャーのお話がありました。それから、生徒指導にたけた、いわゆるプロ中のプロとも言うべき指導力を持った教員がおります。そして、パワーティーチャーは、従来、普通科の教科にあったわけですけれども、専門高校と言われる工業、農業、水産、商業の資格指導やものづくりの指導者、そしてまた、芸術、体育、特別支援学校の肢体不自由児教育、盲・ろう・知的障害の各分野での指導者と、そして、上級学校へ進学するための学力をつけるノウハウを有する普通教科の指導者、そういった三本柱、そしてまた、生徒指導の分掌分野ということで、4つの柱の中で指導教諭を任命していきたいということでございます。

【堀江議員】
 主幹教諭と指導教諭の処遇についてですが、定例教育会で次のようなやりとりがあっています。「処遇はどうなるのか」という問いに、「教諭の給料級である2級と、教頭の給料級である3級との間に特2級を設けて対応する」と答弁をしています。

 つまり、給与体系が新たにつくられるということになります。今、主任教諭という立場があるんですが、この主任教諭は、その主任教諭の期間だけの給与です。ほかの学校に異動したら何もないということで、いわば民間の給与体系で言えば、主任手当となります。特2級は、いわゆる退職まで特2級になるわけです。今回の主幹教諭と指導教諭は、新たな給与体系を創設するということなのか、答弁を求めます。

【木下教職員課長】
 おっしゃった主任といいますのは、1日200円の主任手当の分でございますので、全く別の通常の教諭の方でございます。

 今回の主幹教諭及び指導教諭といいますのは、教諭とは異なる職務の内容でございますので、おっしゃられたとおり、これは人事委員会勧告を待たなければいけないんですが、特2級で処遇することが適当と考えております。

【堀江議員】
 主幹教諭と指導教諭は、もちろん人事院勧告が前提なんですけれども、新たな給与を創設すると答弁がありました。

 そこで、先生方の給料には国の補助がありますよね。この特2級の場合はどうなりますか。

【木下教職員課長】
 高等学校の場合は、補助といいますか、いわゆる普通交付税措置になります。これは、当然、人事院勧告を受けて、給与条例に基づく特2級を創設しますので、正式なこちらの人件費という形で対応して、国としての対応が可能になります。全体として、これまでの人件費の中に特2級というような人件費も含まれて交付税の中で算定されると考えております。

【堀江議員】
 そうしますと、特2級は、いわゆる普通交付税措置の対象にするわけですか。

【木下教職員課長】
 なります。

【堀江議員】
 現在、教員職給料表は1級から2級、2級から3級、3級から4級と、昇給はすべて選考試験をするのが原則と私は聞いております。主幹教諭及び指導教諭の設置要綱案に基づくと、これは任用するということになっておりますから、いわゆる選考試験はない。そうなると、現在の昇給制度とこれは矛盾するのではないかと私は思いますが、この点はどうですか。

【木下教職員課長】
 選考試験という意味では、4級の校長、あるいは3級の副校長、教頭は選考試験があると思いますが、今回の特2級は、いわゆる副校長等と違いまして、基本的には管理職ではございません。というようなことで、いわゆる通常の勤務成績などの資料を総合して、最終的には辞令をもって処するということになると思います。

【堀江議員】
 管理職という認識がないから、選考試験はないということになるの。でも、主幹教諭は、普通の教諭の上に置くわけじゃないですか。そうしたら、私は管理職というとらえ方をしますよ、普通の先生たちよりも上に置いて管理するわけでしょう。指導、助言を含めてやるわけでしょう。そのことだけをもって、管理職じゃないから選考試験はしないというふうにはならないと思うんですけれども。

 要は、任用の仕方で、昇給で上がっていくのに、原則、試験をするじゃないのと、それなのに特2級だけ任用というのは、これは、今行っている昇給制度と矛盾をしないのかと私は思うんですけれど、その点は、課長どうですか。

【田川高校教育課人事管理監】
 特別支援学校の部主事には高い専門性と経験が必要であるという観点から、これまでも校長推薦等による任用をしてまいりました。それから、指導教諭の対象者については、授業や分掌、部活動に懸命に取り組み成果を上げていると。また、管理職を含めた教職員が日々の業務を観察して、適正な評価をすることもできるというところで、すぐれた指導方法、技能・技術の伝承を目的としており、高い専門性も求められるということで、したがって、日々の教育実践の活動状況に重点を置いて任用したいということで、今回、選考試験は実施をしないということにしておるところであります。

【堀江議員】
 選考試験はしないんでしょう。だから、「現在の昇給制度と矛盾をしていませんか」と、私は思うんだけれども、その点は、認識はありませんか。

【田川高校教育課人事管理監】

 先ほど教職員課長からありましたように、特2級という新しい給与制度というか、人事委員会の方からの勧告が出ればということですけれども、そういった中で、やはり私どもとしましては、主幹教諭、指導教諭をどういうふうに任用していくか、どういうふうな仕事をしてもらうかということを考えた上で、今回、こういう制度を設けたところであります。

 したがいまして、選考試験となると、やはりそれに見合う人がなかなか受験をしてくれないという懸念もありまして、そういったことで、任用という形でやっていこうということで今回スタートというか、こういうことでやろうと考えているところです。

【堀江議員】
 「今の昇給制度と矛盾をしないのか」という質問に対して明確な答弁はなかったんですが、今回の主幹教諭と指導教諭を新設するということについて、一つ問題だと私が思うのは、関係団体との協議が整っていないことです。

 長崎県高等学校教職員組合が、長崎県教育委員会と人事委員会に対し、設置要綱の施行を凍結すること、特2級の新しい級をつくらないこと、特2級等の新設を勧告しないよう求めています。要望書によれば、教育長も協議の場でもっと早めに時間をとって協議を進めるべきだったと、教育委員会の2日前となって大変申しわけないと、こういうふうに問題があったことを認めるという発言をしたと、要望書の中で述べられています。こうした関係団体との協議をきちんと踏まえた上で、新たな制度はつくられるべきではないかと思うんですが、その点、教育長の見解を求めます。

【寺田教育長】
 確かに、教員団体にお話をする、そのタイミングが遅くなったと。それは私の的確な指示ができていなかったということで、そういう説明をしたところでございます。

 今度は給与、処遇の問題になりますが、これにつきましては、人事委員会の勧告が出ましたら、職員団体の方とも、これは勤務条件にかかわることでございますので、十分協議をしてまいりたいと考えております。

【堀江議員】
 主幹教諭、指導教諭の導入につきましては、やめてほしいという声が私のところにも届けられました。

 現在の学校現場においては、さまざまな教育困難に対して、教職員が個々ばらばらではなく、力を合わせて共同の取り組みを進めていくことが重要です。特2級等の新たな級をつくって処遇に差をつけることは、これまで同等の立場で協力し合ってきた教職員集団を分断し、共同の取り組みに困難をもたらすものとなります。

 指導教諭は卓越した技を持つ教職員を任用することになっていますが、ベテラン教職員はだれでもそれぞれの技を持っています。新しい給料表までつくって、特定の教職員の処遇だけ優遇することになれば、教職員間に無用な不協和音を生み出すことは明らかです。加えて、特2級等の新たな級をつくることは、中間管理職的な新たな階層をつくることになります。

 実際、新しい級の適用を受ける指導教諭が導入されている県では、中間管理職的な意識で、強圧的な指導をしている事例が報告をされています。

 新たな級の創設が新しい階層意識を生み出すことにつながり、学校現場に息苦しさを生み出しています。若い教職員は多くの先輩教職員のさまざまな実践を見たり、助言を受けながら成長します。新たな階層までつくって、特定の教員に特別の地位を与えることは、教職員集団として若い教職員に助言や援助をする職場の取り組みを阻害することにもなります。

 こうした現場の皆さんからの要望が私に届けられました。私は、現場が必要としている先生を配置してほしいと思います。学校司書、養護の先生こうした現場の皆さんの声を私は真摯に聞いて、主幹教諭、指導教諭の導入については、私は考え直してほしいと思っておりますが、見解を求めます。

【田川高校教育課人事管理監】
 今、委員ご指摘のとおり、信頼関係といいますか、そういったものが一番大事だと。そしてまた、若い教員が年輩の教員から技を盗むということも、私もずっと言われ続けてまいりました。そういった中で、学校教育法が改正になったということもありまして、この2つの職を設置することにしたわけですけれども、特に学校現場では、信頼関係を最も重視して活動しているところであります。

 指導教諭については、他の教諭等への教育指導の改善、充実のために必要な指導、助言をすることが主な職務でありますので、指示、命令をするような職務ではないと考えておりますし、この2つの職が児童生徒のために本当によかったと、職場の信頼関係を損なうことのないように、そういったことで、年度当初の4月には、指導教諭を集めまして、県の教育委員会からの思いといったものも伝えながら、強圧的な指導とか、そういったことがないように取り組んでまいりたい。そしてまた、管理職にもそのことをしっかり伝えて指導もしていただきたいということで考えておるところであります。

【木下教職員課長】
 給与面の方から追加しますけれども、数年前から、めり張りのある給与体系ということを推進しておりまして、やる気、あるいは能力がある方については、それなりの処遇をもって処するということの中において、今回、主幹教諭、指導教諭を設置した場合はそういう処遇をすると。

 先ほどの追加でございますが、特2級と申しますのが、いわゆる特別の2級ということで、いわば準3級というのではなくて、特別の2級ということで、あくまでも一般の教諭の中で考えております。

 以上です。

【堀江議員】
 今の教職員課長の「あくまでも一般の教諭」と言いましたけれど、最初に私が言ったように、主任手当がついて、そこの学校で主任じゃなくなったらその主任手当はなくなるとか、そういうものじゃないでしょう。結局は、主幹教諭、指導教諭になって特2級になったら、退職するまでその給与でしょう。だから、あくまで一緒とはならないんですよ。その額がどうかは別としても、場合によっては、月2万円上がる、あるいは月1万円上がると、そういう額まで実際あっているわけでしょう。だから、一般の教諭と同じとならないですよ、ならない。

 それから、指導教諭はあくまでも指導、助言をすると言いましたけれど、全国で導入されている主幹教諭、主任教諭ですね。そこでは、例えば夏休みの課題を指導教諭が作成して、これをしなさいと実際やっているじゃないですか。それから、指示、命令はしないと言いながらも、指導、助言をするだけと言いながらも、実際は命令となっているのが実態なんですよ。だから、今は長崎県は指導、命令をしないようにさせますと、それは言いますよ。だって、これから実施なんだから。だけど、既に数県で全国で行われている、そこでそういう実態があるからこそ見直してほしいという現場の先生たちの声があるわけですから、私は、これは見直してほしいということを、この機会に強く求めていきたいというふうに思います。