2010年9月県議会
「見通しのないフリーゲージトレインによる
長崎『新幹線』建設の中止を求める請願書」
に対する賛成討論
 日本共産党の堀江ひとみです。

 ただいま議題となりました、請願第2号、見通しのないフリーゲージトレインによる長崎「新幹線」建設の中止を求める請願書につきまして、 

 委員長報告に反対し、請願賛成の立場で意見を申し上げます。   

 本請願は、完成の見通しもたっていないフリーゲージトレインによる、名ばかりの九州新幹線西九州ルート(長崎「新幹線」)の建設中止を表明していただきたいと要望しています。

 請願理由にものべられていますが、交通手段としての安全性に関わる問題です。国交省の技術評価委員会の報告書で、「台車の改良だけでは目標達成は難しい」と指摘している点が、重大です。2007年に完成予定のものが、現在も完成も実用化の見通しもたっていません。こうした状況を各新聞は一面トップで「カーブ走行開業時期に影響か」(長崎新聞9/8付)や「開業に遅れる恐れ」(西日本8/20)などと報道し、安全性への懸念を指摘しています。
 フリーゲージトレインが実用化されている国の線路の幅は、日本のJRの1.4〜1.5倍も広いのです。JRのような狭い軌道を高速で走るフリーゲージトレインは技術的にむずかしく、世界のどこにも実現していません。

 開発を続けるとなっていますが、見通しはありません。また、お金と時間をかければ採算性が問題になります。フリーゲージトレイン導入の全国各地の計画は、事実上立ち消えで、長崎だけといわれています。

 もし、完成しなければ、今年までの開発費約260億円は、税金の壮大なムダづかいになります。仮に完成してもフリーゲージの単価は、新幹線の約10倍になるといわれているうえに、線路までが特別あつらえの線路で、メンテナンスの経費も高くなれば、JRが導入できるかが問題です。9月8日付日経新聞は、採算性からJRがフリーゲージトレインを導入するかどうかの懸念にふれて報道しているほどです。

安全が第一である交通機関・長崎新幹線の建設を、完成の見通しもないまま、フリーゲージトレイン導入を前提にすすめていることは大問題。今、多くの県民の声です。

 私は、新幹線そのものを否定するのではありません。日本の新幹線は、高い技術水準があります。しかし、長崎「新幹線」は、工事費が整備新幹線予算から出てはいますが、出来上がるものは新幹線ではありません。国交省は「全国新幹線整備法に基づく新幹線は時速200`以上という定義になっている。したがってフル規格のものを前提にしている」と述べています。長崎「新幹線」は新幹線ではないのです。ここが他の新幹線と根本的に違います。

 昨年来、計画を推進してきた民主党や自民党の国会議員から、今の計画では「役に立たない」、「全線フル規格」にすべきだという声があがっていますが、名ばかり新幹線であることを、裏付けるものではないでしょうか。

県民の多くが交通問題で望んでいるのは「新幹線」建設よりも、JR在来線やバス路線の利便
化・充実です。新幹線のトンネル工事がはじまっているから、新幹線計画は中止できないとする意見があります。そんなことはありません。工事が始まったから止められないことこそ、重大問題です。 長崎県の財政状況は厳しいのですから、みのたけにあった事業をすべきです。

 今日、長崎県民の暮らしや営業、就職の厳しさ、介護、医療の負担の重さは深刻です。地方自治法にあるように、地方自治体は住民の福祉や安全に力を入れ、税金はそのために優先的に使うべきです。

 長崎「新幹線」の建設中止を表明していただくよう強く要望し、請願賛成討論と致します。