2010年9月県議会文教厚生委員会
国保の広域化について9/30
【堀江議員】 
 国保の広域化の問題です。長崎県は国保の広域化を進める立場にありますけれども、国保運営を都道府県単位による広域化へと進めていくことについて、現段階、長崎県のスケジュールがわかれば明らかにしていただきたい。

【辻国保・健康増進課長】
 国保の広域化のお話でございますけれども、委員ご存じのとおり、市町村国保の運営というのは、所得が低い被保険者が多いということで財源の確保が困難であったり、被保険者の平均年齢が高いことによりまして医療費の支出が高額になるなど、構造的な課題がございます。単に都道府県単位で広域化すれば解決する問題ではないと考えております。

 国民皆保険の最後の砦でございます国保のあり方につきましては、制度設計を担う国の責任、財政責任を特に明確にしていただきまして慎重に議論される課題であるという認識でおります。

 本県としましては、国の進める都道府県単位以下の環境整備としての広域化については、もっと議論を深めていく問題であると考えているところでございますので、特に今、市や町のご意見を議論を聞きながら進めていきたいと考えております。

【堀江議員】
 長崎市が長崎県に対する要望の中で、平成22年12月までに策定した場合は、普通調整交付金の減額措置の適用を除外とすることとしているので、長崎県に対し、進めてほしいと要望があっていますよね。

 今の辻課長の答弁は、広域化すれば、いわゆる財政上の問題を含めて解決すると思ってはいないので、現段階、長崎県としては、これは静観ですか、動きはないという理解でいいですか。

【辻国保・健康増進課長】
 今、お話のございました国保の広域化等支援方針というものがございまして、今年5月の法の改正で策定ができることになりました。

 先ほどお話しましたように、国が進めます広域化の前提としてではなく、国保財政運営上のメリットもあると、今おっしゃいましたように減額措置の解除といいますか、そういうこともございますので、市町の意見も十分聞きまして、こういうこと、当面できるようなことから具体的に検討していきたいというのが県の方針でございます。

【堀江議員】
 普通調整交付金の減額措置の適用除外というのは、要するに、国が進めていくための一つのあめの施策だ思っております。課長が言われたように、今、本当に国保の財源が厳しい状況があります。しかし、県内の自治体では5割の住民が加入している自治体もありますけれども、国保は県民の約4割が加入する公的保険制度の根幹をなす制度だと思っております。

 これまで市町は住民の命を守るという立場で国保会計への一般会計からの繰り入れとか、あるいはさまざまな条例減免を実施しています。そういうことができるのは市町に権限があるからできるんだと私は思っています。

 現在、市町ごとに保険料算定のベースとなる所得のとらえ方、保険料の計算方法、一般会計からの繰り入れ、こうしたやり方が違っている中で、広域化を強引に進めれば県内の高い保険料への統一による保険料の引き上げ、それから一般会計からの繰り入れが困難ということになって、結果としては保険料の滞納、保険証の取上げということで住民の命を守ることができなくなると私は思っています。

 今回は見解を述べるにとどめますが、私は、国保の広域化というのは、もともと国が出すべき国庫負担金を、一番最高時で58%、現在、24%ですから、国が出すべき負担を出さずにして広域化をすれば解決をするとは思っておりません。その点では今の課長の答弁も同じだと思っておりますので、ぜひ広域化ということを進めることではなくて、国に対し、国庫負担を増やせという立場で県下の自治体と一緒に国に要望してほしいと思っています。この点について見解を聞きたいと思っています。

【辻国保・健康増進課長】
 先ほど委員がおっしゃったように、個々についてはさまざまな問題、課題がございますので、こういったことについては慎重に、市町のいろんな意見も聞きながら課題を検討していきたいと考えております。

 後段の部分でございまして、国庫負担率の引き上げの問題でございます。これは昭和59年に制度改革がございまして、退職者医療制度が導入された関係で、従前、その前が国庫負担率45%であったものが38.5%になったということがございまして、今、決算ベースで見ますと大体25%程度になっているという実態がございます。

 ただ、決算ベースにおける保険料の割合を見てみますと、その制度導入前の昭和58年が30.1%、平成20年で見ますと30.2%ということでほぼ変わっていないということでございますので、保険料、被保険者の負担のところから考えれば余り変わりはないということでございます。あとは国庫で出すのか、例えばほかの保険者からの支援でもっていくかという組成の違いはございますが、私どもが関心がございます保険料について言えば、その割合は変わらないという実態でございます。

【堀江議員】
 私は、国保広域化等支援方針の速やかな制定については、進める方向ではなくてやめていただきたいし、国庫負担の割合を引き上げてほしいということを市町と一緒になって国に要望していただきたいということをこの場では申し入れておきたいと思います。