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【堀江議員】
第65号議案「県立高等学校等条例の一部を改正する条例」について質問いたします。
「県央地区併設型中高一貫教育校の概要について」という資料。この中で通学区域は長崎県全域、そして適性検査と作文をするとなっておりますが、適性検査、作文はどういうことなのか。これはいわゆる入試となるのですか。
【吉川県立学校改革推進室長】
適性検査とは、学校での生活や家庭での身の回りのことなどをテーマとして学習指導要領に沿った問題発見、解決能力、思考力、判断力及び表現力等、小学校教育において身につけた総合的な力を見るというものでございます。
県立中学校への入試は、学力検査を行うことができないとされております。
【堀江議員】
総合的な力を見ると言われました。義務教育だから、いわゆる入試はできないんですが、「平成17年度県立中学校入学者選抜適性検査問題集」を私は持ってまいりました。この中で「注意があります。初めの合図で書き始めます。それまでこの問題用紙を開いてはいけません。『始め』の合図があったら、まず回答用紙の左端の受検番号の欄に受検番号を書いてください。検査時間は60分です」ということで、小学校6年生の生徒が適性検査の問題用紙を目の前にして「始め」の合図でいわゆる試験を受けることになります。それが適性検査問題となるんですが、ここにはちゃんと算数、理科、国語の問題が出てまいります。例えば、算数ですと、「4月の終わりにミニトマトの種をまいた後、収穫する8月の登校日までの平日72日間の水やり当番について計画を立てます。班ごとの当番日数がすべて同じになるように班の数を決め、クラス34人全員を4人組または5人組に分けることにします。当番日数はどのようになりますか」、あるいは国語の問題では、いろいろ文章が書いてあって、どういう言葉が入るかというのを括弧書きでしなさいという設問であったり、あるいは理科の問題では、「お母さんの実家に着きひと休みしてから、たかしさんはおじいさんと下のような図で空気鉄砲をつくって遊びました。空気鉄砲の玉は湿らせた紙です。どうやったらこの……たかしさんの空気鉄砲の玉が飛び出さなかったのはなぜでしょうか」ということで、問題途中で切りましたけれども、これは保護者の皆さんからすると、入試になります。
どうしてかといいますと、現在、長崎市内の塾では受検クラスが設けられています。東中受検クラス適性対策、東中受検クラスの適性検査作文対策で、実際には小学校6年生から受検を受けるという体制を保護者はとっているのが実態なんです。そういう認識はありませんか。
【吉川県立学校改革推進室長】
平成16年に長崎東中学校、それから佐世保北中学校がはじまりまして、一番最初の入試の倍率がそれぞれ7倍と4倍程度だったと思います。それ以降、少しずつ下がってきてはおりますけれども、いずれにいたしましても、かなり高い倍率で保護者とか生徒たちの期待の高さをうかがわせます。したがいまして、何らかの手段で選抜を行わなければならないということでございます。
問題につきましてご指摘がありましたけれども、内容によっては数学とか国語の問題のように感じられると思いますけれども、これは各教科の学習の内容を直接問うというものではなくて、やはり小学校で勉強したことを真面目に取り組んでおれば、それがそのまま反映されるというふうな個人の適性を問うつくりになっておりますので、そのような問題で選抜をしておるということでございます。
【堀江議員】
結局は、こういう併設校、中高一貫教育校に入るには小学校6年生の時から対応をとらないと入れないんですよ。実際に、現在、東中学校に在校している生徒をお持ちの保護者の皆さんからこういうお話をお聞きすることができました。
そのお子さんは、小学校6年生の9月からいわゆる塾へ通うようになります。その時は東中学校という希望はありませんでしたけれども、6年生ぐらいからみんなが塾に行くというので、その子も塾に行くようになったんですが、そこで知り合ったお友達と仲よくなるうちに、本人から東中学を受検したいという希望がありまして、先ほど私が読み上げましたように、塾に受検対策コースというのがありますから、それを勉強するようになります。そして、東中学校受検の適性検査は、算数、国語、作文、面接、そして、塾では東中学校適性検査の過去の問題があって、それを使って勉強していたとお話を伺いしました。
その中で、その生徒さんは、小学校の時、作文が非常に得意で賞を取ったりしていたんですけれども、「親が見ても素敵な作文だ」とその母親が言ったんですが、しかし、塾で作文の受検勉強をする中で今までの作文とは全然違う作文を書くようになって、本人も作文が嫌いになって、あんなに好きだった作文を今は書きたくないというのが今の子どもさんの思いだとお聞きをいたしました。
そういう意味では、私は、受検競争に拍車をかける、低年齢化する、そういう認識をぬぐえないんですが、どのような見解をお持ちでしょうか。
【吉川県立学校改革推進室長】
一般の小学生であれば、その地区、地区にあります公立の中学校に進学をすることになります。一方で、より進んだといいますか、中学校、高校の6年間を見通した計画的・継続的なカリキュラムを組みますし、先ほど申したように、高い倍率で入ってまいりますので、それなりにすぐれたといいますか、学力的にも高い生徒が集まる傾向にもございます。
それから、中学校から高校に上がる段階で入試がありませんので、その間、部活動とか中学校3年生の3月にも授業を継続して隙間なく続けることができます。
もう一つは、中学と高校の6学年の異年齢集団の中で社会性とか協調性を磨くことができますので、そういったカリキュラムに引かれて、自分の力をさらに伸ばしたいと思う小学生もおると思うわけです。
したがって、そういうチャレンジ精神といいますか、そういう子どもたちの要求にも応えていく必要があるのではないかということで設置しようとするものであります。
【堀江議員】
今の答弁を私が復唱しますと、より進んだ生徒、すぐれた生徒が集まる傾向があるというのが、この併設型中高一貫教育と私は理解をいたしました。
通常ですと義務教育ですから通学区域が決まっているにもかかわらず、併設の中高一貫教育の中学校に入学をするとなれば全県が対象ですから、県下からいわばエリートを集めて育てる教育をすると私は思うんですけれども、その点についてはどう考えますか。
【吉川県立学校改革推進室長】
先ほども申し上げましたけれども、6年間を見通した効率的なカリキュラムで基礎学力の定着を行うということですので、確かに学力的に高い生徒を育てようということをねらっていることは間違いはございません。しかし、それだけではありませんで、異年齢集団の中で人間性や社会性を培うというふうなこともございますので、人間形成という面にも十分力点を置いているわけでございます。
したがいまして、いわゆる受検エリート校というものを目指しているわけではありません。
以上です。 |