2009年12月議会 文教厚生委員会
「教育『格差』をなくし、子どもたちに
     ゆきとどいた教育を求めるための請願」

*堀江県議の趣旨説明と質疑*


【堀江議員】

 ただいま議題となりました請願第3号「教育「格差」をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めるための請願」、紹介議員の堀江ひとみです。

 本日は、県下で取り組まれたこの請願を出したときの1万686名に加えて373名分、合計1万1,059名の県民署名を添えて請願をいたしております。

 「学費の心配をせずに子どもが希望する、子どもにあった学校に入学させたい」との願いは親の実感です。ところが今、派遣切りなどの雇用破壊や、国内外の未曾有の経済危機の中で学費が払えなくなった、通学費がないので退学したなどの深刻な事態が広がっています。

 全国調査によれば、私立学校の授業料滞納者数は前年の3倍、2万4,490人に上ります。多数の若者が学費が払えず、高校を卒業できない、中退させられることになりかねません。また、学費が準備できず、高校進学をあきらめる生徒が増えることも心配です。

 首都圏の2,092人の全日制、定時制、通信制の高校へのアンケートでは、高校生の約8%が、高校の学費が高く、高校に通い続けられるか不安と感じています。アルバイトして授業料や経費などを支払う高校生は31%います。学費のことで家族に迷惑をかけて申しわけないと考えている高校生が26%と、4分の1に上ります。

 憲法は、「国民に等しく教育を受ける権利」を保障しています。経済的な理由で高校から排除される若者を出さないことは、だれもが否定できない政治の責任です。

 新しく政権についた民主党は、高校教育費無償化を政策のトップに掲げ、来年4月の実施に向けて準備を進めています。しかし、この制度が実現しても、公立高校は無償化となりますが、私立高校では、依然として高い学費負担が残ることになります。

 そうした中で、政府や文部科学省も改善策を練り、年収350万円未満の世帯では、私学も授業料無償化の方向ですが、私学の場合は、授業料のほかに、施設整備費などを含めた毎月の校納金はそれだけでは追いつきません。

 そこで、従来長崎県が実施してきた授業料減免制度を併用すれば、年収350万円未満の世帯では、実質的な「学費無償化」が実現することになります。年収500万円未満世帯でも、学費のかなりの部分が、年収610万円未満の世帯でも保護者の負担を大きく軽減することが可能になります。

 県内私立高校の初年度納付金の平均は57万5,391円、9月末現在での全国学費滞納状況によると、全国の学費滞納者の割合は1.7%でした。長崎では、調査校数が少ないので断言はできませんが、2%を超える値が報告されています。中には、1年生で既に6カ月の滞納者がいました。しかし、長崎県の2009年度の私学助成は、高校生1人当たり、単価が32万6,505円で、昨年度より6,500円増額したものの、全国ではまだ20位、全国平均32万3,523万円を辛うじて上回っている状態です。「お金がないと学校に行けない」、このようなことが起きないためにも、少なくとも公立高校における教育費の2分の1に近づけるように大幅な増額を求めたいと思っています。

 なお、本日は、請願団体よりタケムラさんが出席しておりますので、ぜひ直接請願の趣旨をお聞きいただきますように、重ねてお願いをいたしまして、私の請願紹介とさせていただきます。

 次に、討論を行います。

 討論はありませんか。

【山田(博)議員】 (改革21)
 今回の長崎の私学助成をすすめる会の皆さん方が1万数名の署名を集めてこられたと。なおかつ、先ほどお話があったように、1991年から草の根運動でここまで私学助成に関して運動をされてきたと、なおかつ、草の根運動でやってきたというのは高く評価をさせていただきたいと思っているわけでございまして、今後ともぜひ頑張っていただきたいなと思います。

 なおかつ、今回、先ほど民主党の政策を批判するみたいなお話がありましたけれども、それは別として子どもたちのことを思う、また、保護者が一生懸命なことを思って請願に上がっているわけでございますから、我が会派としては、こういった趣旨を踏まえて、ぜひとも請願に賛成していきたいなと思っているので、賛成討論ということでさせていただきたいと思います。

【馬込議員】 (自由民主党)
 私は、この請願に反対の立場で討論をさせていただきます。

 私立学校においては、それぞれの私学が目指すべき学校、校風、そういうものは経営者がしっかりマネジメントされているわけであります。これが公立と全く、根本的に違うところであります。経営者がどのようなマネジメントをしていくのか、定数がなぜそこに存在するのかということも含めまして、陳情の問題が後ほど出てきますけれども、経営者は経営者、保護者は保護者、それぞれの団体がよく協議して今回の陳情になっている。

 そうした場合に、2分の1の助成、あるいは全くセーフティネットがなされていないというのであればわかりますけれども、奨学金の問題、そして経済、雇用の問題はまた別途、政府が一生懸命しなければならない問題であります。

 長崎県としてやるべきことは、私は十分やっているというふうに思っておりますし、今急がなければならない教育環境の安全・安心、耐震化の問題等についても、相当な金を今後、助成していかなければならない。そういう方向性も出しているわけでございまして、私学教育に対して県は全く手を差し伸べていないというわけではありません。

 これからももっと、我々も私学団体とも協議をしておりますし、行政当局に対しても私学振興についてはしっかりと物を言っていくわけでございますので、これまで我々が取り組んできたことで十分で、また、それ以上のことを今後、我々も考えているわけでありまして、請願の趣旨ではなくて、私は、後ほどの陳情の趣旨に賛同するということで大体のみ込んでいけるのではないかというふうに思っておりますので、私は、今回の請願は部分的なものだけの抽出では非常に困る、反対であります。

【瀬川委員長】
 ほかに討論がないようですので、これをもって討論を終了いたします。

 第3号請願「教育「格差」をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めるための請願」を採択することに賛成の委員の起立を願います。

〔賛成者起立〕

【瀬川委員長】
 起立少数。
 よって、第3号請願は不採択とすべきものと決定されました。