6月県議会 文教厚生委員会
学校事務の共同化について
【堀江議員】
 2点目には、私は学校事務の共同化について質問いたします。学校事務の共同化につきましては、教育行政施策の概要によりますと、今年の予定では、実施率が100%の予定と計画がなっております。実際に、順次学校事務の共同化は進められているのですが、例えば長崎市などはまだはじまっておりませんで、年度途中から開始と聞いておりますが、この実質率100%、今年度の予定は、これは予定どおりなのか、まずこのことをお尋ねいたします。

【木下教職員課長】

 長崎市におきましては、細かく申し上げれば、実施室長という形でトップの方を決めるのですが、その辞令だけはまだ遅れております。ただ、実際の共同事務の作業というのは100%実施されております。

【堀江議員】
 そこで質問なんですが、私のところにこういう要望が寄せられました。まず、条件整備の問題で、共同実施室です。学校事務を行う共同実施室については、これは特定の学校に共同実施室を常備設置しているのではない、学校の空き教室、会議室などを共同実施を行う日に利用して、その日に電話、パソコン、関係書類を事務職員がそれぞれの学校から持ち寄って、共同実施室というのはそのときだけにつくられているという実態が私の方に寄せられたんですけれども、これは事実ですか。

【木下教職員課長】
 委員がおっしゃっているような事例もあると思います。ただ、私が数カ所回ったところでは、もう既にほとんど使われていないというような事務室、元教室ですが、そういうところを実質共同実施の常設といいますか、そういうことにして、今おっしゃったような手間といいますか、その都度の作業というのは余り必要ないというようなところもあります。ただ、当然、そういうところもまだ完全ではなかろうと思います。ただ、現在、学校の生徒数が減っておって、空き教室もだんだん出てきているというような現状もありますから、できる限り、事前の手間暇はかからないような形に持っていきたい、そのあたりは地元の市町教育委員会の方にもまた協議をしていきたいと思っております。

【堀江議員】

 つまり、常時共同実施室があるところもあるけれども、それは教職員課長が見た場所ですね、しかし、私が指摘したように、共同実施をする日にだけ一つの会議室や空き教室が実施室にかわるという事例もあるということですね。

そこで2番目です。個人情報の問題です。今までは、事務職員の方が1学校におりましたので、その学校の先生方の情報というのは、その事務職員だけが知り得る範囲でありました。しかし、共同事務というものは、そういう事務職員が集まって共同で事務処理を行いますので、そうしますと例えば、A先生が結婚した、B先生が離婚した、C先生が出産したとか、そういう個人情報が簡単に見られる。パソコン上で他校の職員の個人情報が簡単に見られ、手当の認定のために個人情報がファクスやインターネット、イントラネットで簡単に送られている、こういう実態があると言われますが、把握しておられますか。

【木下教職員課長】

 そのような問題があるというような具体的な報告は聞いていませんが、実態としては、要は、個々の学校の一事務職員が行っていた手続を5名なり6名なりの近辺の事務職員が一緒に、まさに共同して作業をするわけですから、実質的にそういうことにはなると思いますが、本来、我々公務員といいますのは大原則として守秘義務というのがございますから、おっしゃったような、いわゆる情報が漏れるといいますか、そういうことがあってはならないと考えております。

【堀江議員】

 具体的な報告は聞いていないという教職員課長の答弁がありましたが、こういう声も寄せられました。こうした他校の職員の個人情報が簡単に見られるというのは、これは個人情報保護法にも抵触するのではないか、だからプロテクトをかけるべきではないかという声も上げたと言われているのですが、では、こういうプロテクトをかけろという要求も聞いていないのですね。

【木下教職員課長】
 済みません、プロテクトをかけるという趣旨がよくわからないといいますか、事務処理、まさにおっしゃったようなそれぞれの認定手続に係るような事務をする場合は、その情報を確認した上で諸手当を支給するということになるわけですので、少なくとも、共同実施室を行う事務職員の方は、他校のそういう情報を確認するというのは、これはやむを得ないことと思います。その上で、繰り返しますが、守秘義務を厳守するというようなことになると思います。

【堀江議員】

 今の教職員課長の答弁は、他校の職員の個人情報が簡単に見られる、そのことは実質的には考えられるだろうし、やむを得ないと。しかし、プロテクトをかけるまではないけれども、これはいわゆる地方公務員法上の秘密保持で足りるんだという見解だと理解いたしました。そこは違うのであれば答えてください。

【木下教職員課長】

 プロテクトのシステムの私の理解不足かもしれませんが、関係の事務職員は当然確認するとして、それ以外は、ライン等に乗った場合に、ほかからは見られないようにするというようなことであれば、それは当然のことだと思います。

【堀江議員】

 ほかから見られないようにするのがプロテクトをかけるということなんですよ。だから、どっちにしても、そうした個人情報が、今まで、学校に事務先生が1人いて、その先生しか知り得なかった情報が、学校事務の共同化によって、ほかの事務職員も知り得る状況にあるということを指摘したかったので言ったのです。

 そこで、次の質問なんですけれども、では、学校事務の共同化はそもそも何なのかと。今年100%の予定で、必ず実施をするという方向だと言われました。でも、はじまって2年ぐらいのこの間に、私としては、問題が出ていると思うんですよ。今、私が指摘しましたように、例えば、共同実施室というところだって、教職員課長が視察をした場所は、きちんと常設をしているところだったかもしれません。でも、実態としては、常設ではなくて、今日は事務の共同実施の日だというときに、その先生たちがパソコンを持って、電話を持って、書類を持って、空き教室をにわかの共同実施室にして、そのために移動時間が往復30分から1時間かかって、これはロスになるという指摘もあるんです。さらには、今言われたように、個人情報がファクスやインターネットで流れる。確かに見た方は地方公務員上の秘密保持というふうにそれはしなければいけないと思いますよ。しかし、これだけインターネットでいろんな情報が流れる時代にあって、学校の先生方の個人情報がどこまで守られるかというのは、私は問題だと思うんです。
 
 これまで、学校事務の共同化は何なのかということで、昨年の当時の文教委員会で私が指摘をしたときに、当時の教職員課長はこんなふうに言いました。学校事務の共同化というのは、同じ事務を処理するんだと。組織化することによって分担をする。例えば、旅費の分担、何とかの担当ということで、学校事務そのものを組織化して、分担化して効率化させるのが学校事務の共同実施の目的であるとそのとき言われました。しかし、今、はじまったばかりのこの時点でも、ロスが出て、効率化とは言えない、現場でも、これだけ個人情報保護法にも抵触するんじゃないかという指摘もある。そういう中では、私は学校事務の共同化というのは最初から疑問を持っておりましたけれども、まだ実施をされて100%になっていないこの時点でも私は非常に疑問に思うのですが、それでも学校事務共同化を進める理由は何なのか、改めて質問したいと思います。

【木下教職員課長】

 結論から申し上げれば、学校事務の共同化は必要なことだと認識しております。ご承知のとおり、義務小中学校におきましては、基本的に事務の職員は1人でございます。1人で全教職員のいろんな給与、諸手当、また学校管理等をやっているわけでございまして、そういう中において、ここ4〜5年前から共同実施が試行的に行われてきたわけですけれども、近隣校で5〜6名の事務の方が集まって認定の手続の事前チェックをやる、あるいは新任の事務職員が来れば、その方の指導をやる、またベテランの方は自分のノウハウをその他の方に教える等々、非常に有効な手段だと思っております。また、共同実施をしたことによって、教職員課の方に上がってきます学校事務のいわばエラーといいますか、そういうものもだんだん少なくなってきているという現状もございます。ということで、この共同事務というのは積極的に取り組んでいくべきだと私は思っております。その中において、今、委員がおっしゃったような問題については、これは解決できる問題でございますので、このあたりはこれからも地元の市町教育委員会とも一緒になって解決していきたいと思っております。

【堀江議員】

 学校事務の共同化は必要なことだと、特にベテランの先生が新任の先生に事務のノウハウを教えるというのは必要なことだと言われましたけれども、そういうふうに業務のノウハウを伝えるどうこうは、共同事務をしなくても、今までやってきたことなんです。むしろ、今、特色ある学校とか、学校のあり方そのものが問われているときに、学校事務にかかわるベテランの先生が、その学校はどういう学校であるべきかということを一緒になって考える、そういう仕事ができるような事務職の先生が私は求められていると思うんですね。

 そこで、質問は最後にいたしますけれども、最後に教職員課長が、問題があるのであれば改善をしたいと言われました。少なくとも、共同実施室がいわゆる常設でなくて特設でされるような事態はなくしていただきたい。また、他校の職員の個人情報が簡単に見られる、このことについても改善を図っていただきたいと思っております。そういう意味では、これからまだ随時行われていくこの学校事務の共同化の問題ですが、私は今後もこの問題点については指摘をしていきたいと思っておりますので、改善するべきところは改善したいと教職員課長は言ったので、私は今回2点指摘をいたしました。そのことについては現場の先生方の意見を十分聞いて改善するということで理解をしていいですか。最後に答弁を求めます。

【木下教職員課長】

 先ほど申し上げましたとおりでございまして、これから努力してまいります。
以上でございます。