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【押渕委員長】
委員会を再開いたします。
これより、請願の審査を行います。
第13号請願「教育『格差』をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めるための請願」を議題といたします。
紹介議員からご説明をお願いいたします。
【堀江紹介議員】
ただいま議題となりました請願第13号「教育『格差』をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めるための請願」、紹介議員の堀江ひとみです。県下で取り組まれた2万2,893筆の県民署名を添えての請願です。
県下の私立高校生の初年度納付金は、2007年度は前年度から値上げし57万6,013円です。公立高校の4倍以上となる高額な納付金の原因は、国や県が支出している公立高校生1人当たりの額に比べ私立高校生に対する支出額が3分の1でしかないからです。
厳しい経済状況のもとで、家業の倒産や保護者の勤務先の倒産、リストラなど経済的な理由で私立中・高校での学費の滞納率が高い水準で推移しています。経済状況の変化によって今後の悪化が懸念されていますが、長崎県の2008年の私学助成は、昨年より4,000円増額したものの全国ではまだ22位、全国平均32万1,665円を下回っています。「お金がないと学校に行けない」、このようなことが起きないためにも、少なくとも公立高校における教育費の2分の1に近づけるよう大幅な増額を求めます。
高校の通学費の問題も深刻です。この間の高校の統廃合により、地元の高校がなくなり、遠くの高校まで通学しなければならない子どもたちや、「希望する高校は自宅から遠いため通学費が払えず、希望校ではないが、自宅近くの高校を選んだ」、「学校が遠いため、授業料よりも通学費の方が高い」という声も聞いています。
このような子どもたちにとって、通学費補助基準の改善、通学費補助額の大幅な増は大きな救いとなります。現在の補助制度ではわずかであり、子どもたちの学ぶ権利を保障するためにも大幅な見直しが必要です。
ご覧のとおり、請願内容は、去る10月27日、長崎県私学振興大会で決議された内容でもあります。県民の強い要望であるこれらの内容は、あらゆる機会に求めていくべきだと考えます。
当日は、各文教委員が所属する各会派も同席し、ともに決議を上げました。本請願も採択の上、県に対し、さらに要望していただきますようお願いいたします。
なお、本日は、請願団体より塩塚オサムさんが出席しておりますので、ぜひ直接請願の趣旨をお聞きくださいますよう重ねてお願いして、私の請願紹介といたします。
【押渕委員長】
この際、お諮りいたします。
請願人から、趣旨説明を行いたい旨の申し出があっておりますが、これを許可することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
【押渕委員長】
ご異議なしと認めます。
よって、請願人の趣旨説明を許可いたします。
なお、請願人に申し上げますが、趣旨説明は簡明に5分以内でお願いいたします。
しばらく休憩いたします。
【押渕委員長】
委員会を再開いたします。
これより、質疑・討論を行います。
ご質問、ご意見はありませんか。
【黒田委員】
まず、請願人に3つお尋ねします。
今回、請願人は2つの団体の名前が挙がっているんですが、きょうご出席の請願人はどちらの団体に所属なのかが、まず1つ。
2つ目は、署名数が1万8,785人となっているんですね。そこにある署名の数の訂正があるんですが、これは訂正する必要があるのか、ないのかですね。
3つ目は、請願人の団体名を見る限りにおいて、「記」の中に8項目あるんですが、私学助成を進める政策と豊かな高校教育を目指す目的以外の項目もあるんですが、なぜそのような項目が、ここに書かれてあるのか、3つお願いします。
【押渕委員長】
休憩いたします。
【押渕委員長】
再開いたします。
【黒田委員】
それぞれの請願人の団体が、いわゆる請願項目として挙げた項目以外の、例えばすべての小・中・高校となると、小学校、中学校で30人以下の学級を実現してくださいということは、私学助成をすすめる会の目的なのか、高校教育をめざす会といっても目的外の請願項目が挙がってませんかという、項目がそれぞれの会の目的を逸脱してはいないかということです。それでないと何でこんなところまでお願いしているのかがわからない。そこを知りたいために、その整合性をお尋ねしております。
【押渕委員長】
休憩いたします。
【押渕委員長】
再開いたします。
【黒田委員】
そしたら理事者にそれぞれお尋ねするんですが、本県の私学振興についてのお話は、たしか前の委員会か、前の前の委員会で私はお尋ねした記憶があるんですよね。結構その実績も九州で2番目にいいとかという話もあるんです。だからそれを引き続きやっていただきたいんだけれども、今後、こういった請願に対して答えられる部分があるのか、その辺の状況を少しお話ししてもらえればと思います。
【百岳学事文書課長】
私立学校に対する助成の関係でございます。
例えば私立高等学校の経常費補助につきまして、生徒1人当たりの単価は、全国都道府県レベルで公表されますけれども、平成9年には全国で46位、九州で7位だったのを、平成20年度の当初予算では全国21位、九州2位というところまで、徐々にではございますが単価アップをしてきております。今後も、この姿勢で私どもは頑張りたいというふうに思っております。
また、ほかにも少子化で、確かに私学の経営というのは厳しいところがございますけれども、私学の自主性、独自性を尊重しながら、自助努力を促す私学助成の支援というものも一生懸命やっていきたいと。例えば長崎私学活性化事業等々については、やはり私学の自主性を尊重しながら、その活性化に対して支援をするということでございます。
また、授業料減免につきましても、平成19年度、昨年度から公立高校の授業料の減免制度の改定に伴い、私学の方もそれに準じて拡大をいたしまして、一定の要件の場合には、それをいわゆる減免の対象にするというようなことで予算額等も増えてきております。
今後とも、私学の振興のために私学を所管する立場として努力をしていきたいというふうに思っております。
【黒田委員】
それと我々文教委員会の議論する大前提でもあり、また、教育行政が抱える大きな悩みといったらいけないけれども、1つは少子化だと思うんですね。これだけの下降線が実数としてわかるわけであって、教育行政をたくましく、充実したものにとは思うんだけれども、その辺で請願の項目にある教職員を正規採用に全部するということは、将来の見通しは一体どうなのかというのを含めて、これに対する見解をお聞きしたいと思います。
【石橋教職員課長】
教職員の定数につきましては、いわゆる義務教育標準法、または高校標準法というものに定められておりまして、本県では、これらの法律に基づいて算定された必要な教員数というものを配置しているわけでございます。
今後、中・長期的に見た場合、やはり児童生徒数の減少により学級数の減少というものが予想されるわけでございます。したがいまして、教員の配置数というのも当然減少していくわけでございますので、その時点において、欠員をすべてなくして正規職員で全員採用するということになってしまうと、当然それ以降については過員を生じる、こういう問題が生じるわけです。人事管理上にも、これは避けるべき必要があるということでございます。
なお、正規職員の採用数というものは、一定標準化をし、職員の年齢、バランスでありますとか、毎年安定的な採用数を確保する必要があるというふうにも考えております。
このためにも、結果的に臨時的任用職員も一定数必要になってくる部分はあろうというふうに考えております。
以上でございます。
【山田(博)委員】
請願人にお尋ねします。
この2つの団体ですね、「長崎の私学をすすめる会」と「長崎のゆたかな高校教育をめざす会」とありますけれども、まず、日ごろの活動というのはどういった活動をされているのか、お聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。
【押渕委員長】
休憩いたします。
【押渕委員長】
委員会を再開します。
【山田(博)委員】
個人的というか、書かれていることはわからんでもないなと思います。長崎県も財政が豊かであったら、こういったものは全部やってほしいなと、国に対してもいろいろやってほしいなと思うんですけれども、この請願は私学と公立からもきているんですね。ですからこの請願の文書を見て、教育長と総務部長のご見解をお聞かせ願いたいと思うんですね。ひとつよろしくお願いいたします。
【寺田教育長】
思いはわかりますけれども、県財政を考えた時に、例えば30人学級をすべての学年、小・中・高で一気にというのは無理があるというふうに思っております。
それから、また、いわゆる通学の便が悪い小規模校に関して30人学級にしたらというお話につきまして、30人学級というのを県単独でやっていくというのは非常に苦しい面がございます。
ただ、私たちはこういう学校に対して何とかできないかということで、今回、第二期高校改革基本方針においてキャンパス校なり、中高一貫教育なりという形で、可能な限り検討しようというような方向を提案したところでございます。
ということで、この請願全般に関しまして、そのとおりに持っていきましょうということについては無理があるというのが、私どもの感想でございます。
【中村総務部長】
私学振興のため、私どもの立場でも非常に厳しい環境にある私学の経営の安定並びに父兄負担の軽減を図るために、さまざまな支援措置の拡充に努めてまいっております。
先ほど担当課長からもお答えをいたしましたように、この間、九州は相対的な位置でありますけれども、やはり厳しい財源の中で相当拡充に努めてきているのは事実であります。
ただ、一挙に、例えば公私間格差を2分の1まで縮減するというようなことになると、これは相当のやっぱり財政負担が生じてくるということでありますので、姿勢としては、変わらずそういう努力は重ねてまいりたいと考えておりますが、直ちに実現するということはなかなか難しい面があるというのはご理解いただきたいと思います。
【山田(博)委員】
教育長、また総務部長、どうもありがとうございました。確かにこういうような思いというのはやっぱりわからんでもないんですけれども、問題は県の教育環境でもあらゆる諸問題を抱えていまして、私も地元から、五島に養護学校をつくってほしいと、松田委員と黒田委員の地元の北松にも養護学校をつくってほしいというたくさんの要望があって、これもしてほしい、あれもしてほしいというのだったら、欲張り過ぎて何を言っているかわからなくなってしまいますので、私も請願人の団体に対しての思いが十分伝わってくるわけでございますが、ちょっと苦しい決断をしないといけないと思っております。
以上で、私の方は終わらせていただきます。
【押渕委員長】
ほかにご質問はありませんか。
【黒田委員】
私も、それぞれの項目を理解できないこともないんです。ただ、国に対する義務教育費国庫負担制度の堅持、しかも、数値も2分の1と書いている意見書に対しても、以前ここで審議したと思うんですよ。やっぱり三位一体改革の流れの中で、それをまた、全国知事会も今の流れを是として受け入れているし、それを受けて我々もいろいろな財政構造改革を見直しながらやってきている流れもありますので、これとか、今、山田(博)委員もおっしゃったように、全部やろうとすれば財政負担がかなりあるし、将来、少子化という課題に対して、また、どこを切り詰めていくのかとかとなって、政策の方向性として矛盾も出てきたりするので、請願全体としては問題があると考えますね。
【押渕委員長】
ほかにご質問はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
【押渕委員長】
ほかにご質問等がないようですので、これをもって第13号請願に対する質疑・討論を終了し、採決いたします。
休憩します。
【押渕委員長】
委員会を再開いたします。
第13号請願「教育『格差』をなくし、子どもたちにゆきとどいた教育を求めるための請願」を採択することに賛成の委員の起立を願います。
〔賛成者起立〕
【押渕委員長】
起立少数。
よって、第13号請願は不採択とすべきものと決定されました。
しばらく休憩いたします。 |