2008年7月県議会 堀江県議の一般質問B 再質問とやりとり 一般質問を3つに分けて掲載しています。以下をクリックしてご覧下さい。 |
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@壇上からの質問 A県当局の一回目の答弁 | |
〇1番(堀江ひとみ君) 一通り答弁をいただきましたので、再質問をいたします。 諫早湾開拓事業の問題について、再質問したいと思います。 知事は、私が、農業も漁業もともに栄える道をと言ったことに対しまして、私も同じだと言いました。同じ立場でありながら、私は開門しなさいと言う、知事は開門するなと言う。 そこで、なぜそこまで開門するなということに固執するのか、この点を再度質問したいと思います。 今回の佐賀地裁の判決を常識的と支持する声が政府・与党内にもあるのは、ご存じだと思います。かつて農水大臣をされた谷津義男自民党総合農政調査会会長代行です。今月3日付のマスコミインタビューに、次のように答えています。 判決について驚きはしない。私が農水相のとき、短期間は開門させて調査させたから、ようやく司法が私と同じ判断をしたとの思いだ。干拓と漁業不振の因果関係を不明なままにしておくのは問題だ。2001年に私が設けた有明海のノリ不作の原因を探る第三者委員会でも、中長期の開門調査が提言された。国は、判決に従い、因果関係の有無の立証に乗り出すべきだ。まず開門して結果を見る、その後、対策を打つ、それが常識だろう。 有明海で農・漁業が両立する方策を構ずべき時に来ており、いつかは開門調査しなければならない。まず開門をして、結果を見る、その後、対策を打つ、これが常識だというわけです。 もう一人、今度は宮入興一愛知大教授の今月11日付新聞に掲載をされたコメントです。 有明海の異変の原因について、漁民の実感からも、科学者からも、諫早湾干拓事業が限りなく黒に近いという指摘は以前からあった。 いつまでも限りなく黒に近い灰色のままより、白黒つけた方が農林水産省のためだ。 開門調査をやらないのは、やると黒になってしまう懸念があるのではないかと思われても仕方がない。 開門するなと、なぜそこまで固執をするのか、知事の答弁を求めます。 〇知事(金子原二郎君) 開門して結果を見るというんですが、結果を見る前に、農業はもうだめになってしまいますよ。 入植地の干拓地の農業というのは、ようやく10年たって塩抜きができているわけなんですよ。それがまた塩を入れて5年間、3年間でも置いたら、すべてもとへ戻ってしまうということになるんですよ。 だから、農業をやっている人、特に入植者の皆さん方、そういう方々は、ほとんど農業というか、今、投資したものが、すべて無駄な投資になることになると思いますよ。だから、そういう現地の状況を知らない方がそういうふうに言っていると。 いろいろな方が、いろいろな話をするんだけれども、現地の事情を知った上で言っているのか。そういうことについてはどういうふうにお考えか、こっちが質問するわけにはいかないんでしょうけれども、そういうふうないろいろなことがあると。 〇1番(堀江ひとみ君) 知事は、農業も漁業も両方成り立つ立場に立つと言われました。 でも、今、知事が答弁したことは、いろいろ言いましたが、平たく言えば、営農、防災のことを言ったというふうに思っております。 そこで、開門すると、営農、防災の影響を強く主張されますが、では、開門しないことへの漁業被害をどう見ているのか、この点を質問したいと思います。 私が先ほど反対討論で述べましたように、司法の判断は、一貫して開門調査を求めています。 2005年の5月、福岡高裁決定は、佐賀地裁仮処分命令を取り消したものの、諫早湾開拓工事と有明海の漁業環境悪化との関連性は否定できないとしました。 さらに踏み込んで、ノリの生産額に限って見ても、大不作の平成12年と平成16年との差は、実に176億円に上る。 これに対し、諫早湾干拓による計画農業粗生産額は、事業費総額約2,460億円という巨費の2%にも満たない45億円である。費用対効果という面からも、調査の必要性は大きい。漁業被害は、この当時から、もっと深刻です。もはや抜き差しならないところまで来ている。 諫早市小長井町の漁民の皆さんは、排水門をあけろ、ついに裁判を起こしました。私が質問をしているこの時間、同じ時刻、長崎地方裁判所で第1回の審理が行われています。 開門調査をしないことでの漁業被害をどう見ているのか、知事の答弁を求めます。 〇知事(金子原二郎君) ノリの被害は、平成12年度以外は、すべて順調ですよ。あけたらどうなるかわかりませんよ。 ほかの漁業の状況というのは、あれは締め切る前からずっと海面漁業は厳しくなっていっているんですよ。 あの干拓をスタートするときには、環境影響調査をして、それから被害も想定して、いろいろと漁業補償したんでしょう。 そういう前提の中でやったわけであって、何にもしないでやったわけじゃないんですよ。 そういったことは全く抜きにして、今の話だけをしていたら、いかにも外から聞いている人は、ああ、そうかなと思うかもしれないけれども、そういう過程を置いて今日があるわけですから。 締切堤防ができた時点で、ある意味では、あそこはもう完成したんですよ。そこをよく考えていただいて、後戻りするということになったら、莫大な費用がかかるということはご存じでしょう。それをやってもやるわけ。 裁判所の判断は判断として、我々も受けとめなければならないけれども、そういった実情、実態があるということもまた我々はこれから訴えて、それからもう一つは、国が、例の短期、中期、長期の開門調査をしていたときに、結果的には、短期だけで1カ月やって、中長期は国としてはやる必要がないと判断したんですよ。 やっても、結果、原因はわからないということをはっきり言った国が、そういう結論を出して、結果的には中長期はやっていないんですから。 それをまたもとに戻るんですか。 我々地元からすると、そういうふうな中で今日の干拓は完成したから、これからは環境型に、優しい農業をやっていこう、地域の皆さん方も、これで安心して生活ができると。 さっき、お金の話ばかりしたけれども、じゃ、生活権というか、そういう生命、財産に対する金の評価というのはどういうふうに考えていらっしゃるの。そういった問題もいろいろ考えなければいけないでしょう。 それは答弁だけといったって、こっちもある程度は意見は言わなければいけないでしょう。 〇1番(堀江ひとみ君) 国が控訴したことに対しまして、古川佐賀県知事は、マスコミのインタビューに、次のように答えました。 控訴は残念で、開門調査を明言してほしかった。 営農、防災と漁業が両立できる調査を今後も国に提案していくと話しています。知事は先ほど、諫早湾干拓事業の問題について、最初の答弁の際に、漁業も農業も、この立場は同じだと言われました。 しかし、この2回の再質問の中で、知事は、防災と、そして営農だけしか言っていない。漁業の被害については、これは前からあったんだとか、ノリはあのときだけだとか、そういう答弁で、私は、漁民の皆さんの思いを知事が酌んでいるとはとても思えません。 私は、今の知事の姿勢では、漁民に死ねと言っているのだと同じだと思います。水産県長崎の知事が漁民を見殺しにするのか。もう少し、水産県長崎の知事であれば、漁民を守る立場でやっていただきたい。 それがあなたが最初に言った、農業も漁業もともに栄える道をということではないんですか。そのためには、まず開門するべきです。知事の見解を求めます。 〇知事(金子原二郎君) 私は漁業者を大事に思っていますよ。 あのノリのときは、それは私たちも本当に必死だったですよ。 あれだけの狭い区域の中で、年間500〜600億円の漁獲高といったら、今、これだけ温暖化で、漁業の養殖を含めて、一般の海面漁業が厳しくなった中で、これは大変貴重なものと思う。 そういった中で、有明の特措法という新しい法律をつくって、そして福岡県は覆砂をしたり、長崎県もいろいろな漁業の対策をしながら、漁業者のそういった環境整備に努めてきていますよ。 だから、一方でできないものについて、開門でできない、そこは漁民の皆さん方も大変だというので、できることは、いろいろな施策をやってきているわけですから、何にもやってきていないみたいな、そんな言い方をして。 私は、漁業者の気持ちはよくわかる。そういう中で、こういうふうな形にならざるを得ないということについて、ご理解をいただきたいと思いますね。 〇1番(堀江ひとみ君) この佐賀地裁の判決については、さまざまな方たちがコメントされていますが、その中で7月10日、マスコミに、経塚雄策九州大教授が次のようなコメントをしています。 中長期の開門によって干潟を再生し、潮流を回復させれば、干拓事業が漁場環境に与えた影響がはっきりすると思われる、干拓地での営農と諫早湾や有明海での漁業がともに持続的に成り立つ両立を目指すことが、この地域にとっても最も望ましい姿であり、開門調査はその一歩になるはずだ、こういうコメントを出しています。 私は、専門家の方のコメントとして、納得をしたわけですけれども、知事は、私と同じように、漁業も農業もともに栄える道を選びたいと言いました。 そうであるならば、その一歩として、開門調査をするべきだ。そこから出発しない限り、開門調査を求めて、そのことに対するときに、防災や営農に対する不安だけをあおるような、そういうことでは私はいけないというふうに思います。 もう一度、知事の答弁を求めます。 〇知事(金子原二郎君) 責任がない方はいろいろ言えますわ、正直言って。 私なんかは、地域の皆さん方の生命、財産を守りながら闘っているんですよ。そういう方と、いろいろな方のコメントと一緒にしてもらっては困る。 それは正直言って、皆さん方のいろいろなそういったご意見もよくわかりますけれども、私どもとしては、そういう地域の実情、実態、地域の声、そして現状を見た上で判断をしておりますので、ご理解いただきたいと思います。 〇1番(堀江ひとみ君) 古川佐賀県知事は、営農と防災と漁業が両立できる調査を今後も国に提案をしていくという話をされています。 古川知事だって責任ある立場ではないですか。 どちらも成り立つことを国に提案していくと言っているでしょう。 そういう立場に立ってほしいというふうに私は求めているんです。 このことをぜひ強く申し上げておきたいというふうに思います。 次の質問に移りたいと思いますが、原油価格の高騰対策について、これは結局、対策本部を立ち上げるというふうに理解していいのか。 一般質問の2日目に、金子議員の質問に対しまして、立ち上げを指示したいと知事があのとき言いましたですね。 そして、今、私の質問に対して、立ち上げと言われたんですけれども、これは具体的に、どのような協議がされたのか、これは今からですか。 緊急性ということでは、知事があのときに本会議場で立ち上げを指示したわけですから、どういう協議がされたのか、その点を教えてください。 〇知事(金子原二郎君) 金曜日に、金子議員からそういったお話がありまして、確かに我々もそこら辺について、十分じゃなかったなと思っていましたので、今日夕方、この終わった後、4時半に立ち上げを予定いたしております。 〇1番(堀江ひとみ君) 今の答弁は、非常に了としたいというふうに思っておりますので、ぜひ立ち上げを進めていただきたいというふうに思っております。 次の質問に移ります。学校など耐震化の促進の問題で、2日目の一般質問で、同じく金子議員の関連質問を行いました山田朋子議員に対しまして、知事は、次のように答弁をいたしました。耐震化推進で県はやっていると。 公立は市町の責任だというふうに言われました。この意味の真意を改めてお尋ねしたいと思います。 〇知事(金子原二郎君) この耐震の問題は、 ただ、これはやっぱりその首長、市長さんの責任じゃないでしょうか。やっぱり耐震、これはやらなければいけない。 平成17年のあの福岡県西方沖の地震、私たちは、早速取り組みました。それを考えて取り組んだ市とか町もあるんですから、それはそのときの市長とかみんなが、そういう気持ちで行政というのはやっていかないと、県がインパクトを与えなければやらないとかというような話をしていたら、じゃ、何のためにその行政の長はいらっしゃるんですか。 各県でも、みんなそういった県のインセンティブを与えないでもやっているところとやっていないところ、たくさんありますよ。私は、借金してやったらいいと思うんですよ。 だって国が、13%しか地元負担はないんですから。私たち県がやる仕事は、半分以上は県が真水で見なければいけないけれども、私たちもやっているんです、財政的に。 〇1番(堀江ひとみ君) そうしますと、知事の今の答弁は、公立中学校の耐震化、これは全国最下位ということで、多くの県民の皆さんが不安になっている。 しかし、県としては、それではこれは何にもしないという答弁ですね。だけれども、県は何のためにあるんですか。 1分間縮めるのに104億円も使う新幹線の費用があったら、出しなさいよ、耐震化のために。 県がさまざまな援助をして耐震化を進める、そういう立場に立たない限り、それは市町の責任だから、市町でやりなさいというだけでは、私は、これは進まないというふうに思います。 知事の答弁を求めます。 〇知事(金子原二郎君) それは見解の相違でしょう。 地方分権とか、これから責任を持って地域地域でいろいろな責任の中で行政をやっていきましょうという時代に入ってきたんですよ。 そういう時代の中でどう判断するかというのは、どうしても財政的に難しいところは私たちも考えなければいけないけれども、それはやり方は幾らでもあるんですから。やり方は幾らでもあるんですから。 県がバックアップした分は、国からの補助金は来ないんですから。だから、そこをよく考えてやっていかないと。新幹線とはちょっと違うと思います。 〇1番(堀江ひとみ君) この学校耐震化の問題は、県民が一番不安に思っていることですので、単に市町に任せることなく県が対応することを求めて、私の質問を終わります。 〇議長(三好コ明君) 以上で、県政一般に対する質問を終了いたします。 〇23番(北浦定昭君) ただいまの1番議員の一般質問中、我が県議会において、諫早湾干拓地域における農業、漁業の再生を目指して、全員で好意的に議論をしている中において、漁民を見殺しにするのかという発言は、私にとっては、大変不穏当な発言というふうに感じております。 発言者、議長の間において、適正な措置をお願いいたします。 |
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