2008年3月6日・文教委員会
教育振興基本計画について


◇教員免許更新制

堀江県議
 教育振興基本計画について質問したいと思います。
 重点政策、取り組むべき課題といろいろ重なってあるんですが、具体的に質問したいと思います。

 教員の資質向上の問題です。これは言われるように、教育改革関連3法の成立に伴いまして、教育職員免許法が改正をされまして、平成21年4月から教員免許更新制が導入されるということに伴っての教員の資質向上というふうに理解をいたします。

 そこで具体的に、教員免許更新制ということで、今後やりますよということになりまして、「これからの施策の方向性」というところに、「@免許更新制の円滑な実施に向けた体制整備に努めます」というふうにあるんですが、これは例えば

 教員の資質向上(教員免許更新制・指導力不足教員)の問題なんですが、そこで、現場の先生方の声だと、長崎県では年間1,700人の講習が必要ではないかという指摘もあるんですが、これは現場の先生方が講習の時間を受ける期間や体制も必要になってくるかと思うんですが、実情を教えてください。

石橋教職員課長
 今回、教員免許法の改正に伴いまして、従来任期のない教員の免許は10年間の期限が付される話になったわけでございます。
 ただ、従来の免許保持者についても10年間スパンで、いわゆる更新講習というものを受講していただいて、終了確認を受けた上でないと教壇に立てないと、こういうことで制度が改正されたわけでございます。
 それは基本的に、その時々で教員として必要な資質・能力が保持されるよう、定期的に知識・技能の習得を図る、こういうのを主眼としてこういう制度がもうけられたわけでございます。
 本県の更新講習の対象となる現職の教員も含めてでございますが、私立学校も含めて大体1万7,000人くらい対象があるのかと。それが毎年10分の1、平たく言えば、大体1,700人程度が毎年更新講習を受けて、そういう手続きを行う必要があると、こういうことに相成ってこようかというふうに考えておるところでございます。

 その更新講習会について、講習については、基本的には大学で講習を受けていただく、大学が文部科学省の認定を受けて更新講習を開設して、修了認定も大学の方で行うと、そういう手順になってこようかというふうに考えておるところでございます。

堀江県議
 そういう体制や会場も含めて、実際に可能なのかと現場から疑問の声が出ていますよという質問をしているので、そこを答弁してください。

石橋教職員課長
 講習について、長崎県にどのくらいの規模がおられるのかという部分を含めて、基本的には大学が開設するわけでございますので、大学との連携を図りながら更新講習を適切な箇所においてそれぞれ開講していただくべく、そういう形で大学とも十分に横の連携をとりながら、この講習の開設に向けて適切に対応していきたいと、こういうふうに考えているところでございます。

堀江県議
 私が言ってるのは、現場で年間1,700人の方が講習を受けるというのは、これは困難ではないかという現場の声が私に届いていますよと、その疑問にこたえて答弁をしてくださいと言ってるんですけど、今の段階は、大学と連携をとってという程度しか答弁できないということですね。

百岳学事振興課長
 今回の教員免許更新制につきましては、10年たった場合に、その10年以内に全教員が30時間の講義を受けなければならないと。そして、更新には30時間の授業を受けなければいけないということになっておるんですが、その30時間の中身についても、12時間のコアの部分については教育原理とか、現在の教育の事情等々をやる必修の部門と、それから教員の場合には、幼稚園・小学校の免許、中学校における各教科の免許、高校における教科の免許、それぞれの専門性がございます。

 ですので、コアの部分については長崎大学の教育学部等を中心に行う方向で、今、大学間の中では協議をされておりますけれども、すべてが長崎大学の教育学部でやれるというわけではございませんので、例えば県立大学の場合には公民の免許が取れます。ですから、専門のところはそれぞれの大学が開講して受講していただく。
 そして、開講する場合にあっては土曜、日曜を活用するとか、それから、長期休業期間を活用するとか、現場の教職員の負担にならないように配慮をするとか、そういうのも大学間の中で現在協議を進めているというふうに伺っております。

堀江県議
 そうしますと、具体的に円滑な体制をとって進めますということではあるんですが、具体的に今の時点では、例えば1,700人をどういうふうに配置してどうするというのはこれからということで理解をしておきたいというふうに思います。


◇学力テスト
堀江県議
 2点目は「学力向上対策の推進」ですが、いわゆる学力テストですね、全国学力・学習状況調査とかかわってちょっと質問したいと思うんですが、この問題は、私は先ほども触れたんですが、一つ、競争原理を持ち込むという危惧が私にはございます。学力テストを実施するということは、いつ、どこで決まったのか、質問します。

江頭義務教育課長
 先ほどのご質問に対してでございますが、学力調査の実施主体が国であること、そして、参加主体が市町であるということでございますので、順位的にはまず、そのことをご理解いただければというふうに思っております。

 2点目、つまり設置者が判断をするということでございますので、私ども県の教育委員会が設置している学校としては、県立中学校2校がございます。ここにつきましては、昨年度学力・学習状況調査を実施して、当該校の学力の状況及び学力の課題というものが明らかになってくるわけですから、そのことを踏まえた指導改善とか、教育課程改善というのが行われて、そのことを検証する軸として、今年度も県立の2中については実施をすると。そのことについては、庁内で協議をした結果としてそういう結論を出したということでございます。

堀江県議
 学力テストをするかしないかは設置者が決めるということで、例えば小学校、中学校については市町ということになるんですが、長崎県は2つの県立の中学校を持っています。そこについては教育委員会とかそういうことではなくて、庁内の会議でこれは決められるんですか。

江頭義務教育課長
 学力調査そのものについては義務教育課が所管をしております。県立中学校については高校教育課が協議をしておるわけですが、教育委員会の協議事項ではありませんので、所管の関係課と教育長等についてもご相談をしながら継続をするということについて判断をしたということでございます。

堀江県議
 そうしたら、教育委員会の中で内部的に判断をすると。そうしますと、設置者である市町の教育委員会も同じというふうに理解をしていいですか。 

江頭義務教育課長
 試験に関わる内容が、いわゆる教育長の専決ではなくて、教育委員会に図らなければいけない事項というような形で整理されておれば、教育委員会にかけることもあるだろうと思いますし、事務局の判断として実施するということもあるんだろうというふうに思います。それぞれの教育委員会でどういう取り扱いになっているかということについては、大変申しわけありませんが、現時点では把握をしておりません。

堀江県議
 そうしますと、私の理解として、学力テストをするか、しないかというのは、それぞれの教育委員会の判断であるということなんですが、判断の決定機関というのも、それはそれぞれの教育委員会で決められるということで理解をしていいんですか。

江頭義務教育課長
 そのことについて把握をしていないとしか、現時点では申し上げられません。申しわけありません。

堀江県議
 今の時点で把握をしていないということで理解をいたしました。
 そこで学力テストの結果については公表しないでほしいという声が私のところにも寄せられているんですが、県内では、この状況はどうですか。私が仄聞したところによれば、大村市については平均点は公表しているというふうに聞いているんですけれども、長崎県内の学力テスト結果についての公表状況、実態を把握しておられますか。

江頭義務教育課長
 点数として公表をしたというのは、大村市のみでございます。点数については公表してはおりませんが、学力・学習状況調査等の結果として、いわゆる内容を分析して、ここに課題があるとか、ここにすぐれた点があるというようなことについて公表し、それぞれの学校での取り組みを刺激するような形での公表をしているところについては幾つかございます。

堀江県議
 長崎県立中学校の2校はどうですか。

江頭義務教育課長
 県立2中については公表をしております。

堀江県議
 2中については公表していると、なぜ公表しているかということまでは把握されてないんですか。これは県立だから、県教育委員会の範疇ですよね。何で県の2つの中学校については学力テストの結果を公表したんですか。

江頭義務教育課長
 1点目が、まず、県立中学校については公表しましたが、固有の学校の評価がわかるような形ではなくて、2中を丸めた形で公表をしたということで、まず一義的にはご理解をいただきたいというふうに思います。
 それから、なぜ公表したかということにつきましては、1点は、通常の公立中学校等と異なりまして、域内が非常に大きい、広い地域から子ども達が通ってきているということと、それから、県立中学校の設置趣旨等も踏まえて公表をしていこうということで整理をしたものでございます。

堀江県議
 この学力テスト、私としては、競争原理を持ち込むというふうな疑問がどうしてもぬぐえないわけです。言われるよう、公表しないでほしいという中で、2つの県立中学校については公表したと。しかし、学校名がわからないように、いわば平均で公表したんだということですが、保護者の皆さんの取り方としては、県立中学校は成績がよかったんだと、だから公表したのではないかと、そういう声も私のところには届いてくるんですね。私が、先ほど、それに基づいた、では、今後の改善策をどうするかということで新年度の予算でああいう事業をするのではないかというふうに、とっていくんですね。
 この学力テストの問題はテストの結果だけで学力を判断していいのかと、そういうのもありますので、これは大いに検討していただきたいと申し上げておきたいと思います。


◇子ども読書活動の推進
堀江県議 
 子ども読書活動の推進ですけれども、図書ボランティア等の人材の育成というのがあります。
 私は、図書ボランティアはボランティアでそれは非常にいいことだというふうに思っておりますが、問題は、行政ですから、すべての小・中・高校に専任の図書館の司書を配置すると、そういうことを掲げないと、ボランティアの育成だけをここに掲げても、これは子ども達の読書活動の推進にはならないのではないかと思うんですが、見解をお願いしたいと思います。

法澤生涯学習課長
 今、委員がご指摘になりまし小中学校への学校司書の配置、これは一定重要なことと我々も認識をいたしております。私どもの読書活動推進事業の中においても、小中学校に司書を配置するためのモデル事業というものを今実施しております。

 ただ、ご承知のとおり、小中学校の学校司書というのは義務教育費国庫負担法に定める職ではございません。したがって、市町村が自ら財源を持って、市町村の責務として置かなければならないというものでございます。
 したがいまして、県の教育振興基本計画の中で置く、置かないということを我々の立場として記載をするべきではないというふうに判断をして、ここには記載をしていないところでございます。

 ただ、その必要性は十分に認識をいたしておりますので、積極的にそれぞれの市町に司書の配置について前向きに努力をしていただきたいということで事業の実施を
しているところでございます。

堀江県議
 今回出されました収支構造改革案の中でも、これまで長崎県が進めていた図書館司書の配置についての補助金も、これはカットの項目に挙がっています。もともと平成19年度までの事業だというふうに聞いておりましたが、各市町教育委員会は、こうした県の呼び水といいますか、県が補助をして司書の先生を置くという事業を踏まえて、それぞれの市町の教育委員会は、それぞれの学校図書館の司書整備を進めてきたんだと思います。

 一方では、こういうふうに事業も廃止だからということで補助金もカットしておきながら、しかし、こうした教育振興基本計画の中でボランティアの育成だけは掲げると、これは私は非常におそまつ、不十分な内容だというふうに思うんですよ。私が言っていることを一定理解するということであれば、計画の中にもきちんと予算を含んで、県内の小学校、中学校、そして高校の学校図書館に司書を配置するということで盛り込まないと、これは子ども達の読書活動の推進にならないのではないかというふうに、厳しい指摘の声も私のところには届いているんですが、そこら辺はどうですか。

法澤生涯学習課長
 今、委員が発言されましたように、先ほど私が申し上げました学校配置事業、収支構造改革の一貫として1割予算を減額いたしました。10校分の予算を9校分に減らしたという状況でございます。

 ただ、この学校司書配置事業、平成17年度から始めましたが、あくまで市町村が独自財源を持って司書を配置するための呼び水モデルとして実施をしているものでございます。平成17年度、学校司書配置事業を始めました当時、市町村が独自で学校司書を配置していた学校数が37校でありました。2年目が48校に増え、平成19年度、本年度は56校まで増えております。

 したがいまして、私どもがやっているこの配置事業については、十分にその成果を発信し、モデルとなり得ているというふうに判断をしたところでございます。したがって、来年の収支構造改革に伴って10%予算を削減しても、9校の成果を県内に広く発信をしていくことによって、その効果は十分に上がるものというふうに思っているところでございます。
 なお、先ほども申し上げました、学校司書の配置というは、あくまで市町独自の判断、そして、その責任においてしていただくものであろうかというふうに思っております。

 ただ、学校図書館に関するボランティア、これは私どもも計画的に養成してまいりました。そういう部分もございますので、そこは学校司書、学校ボランティア双方について重要なものと認識しております。ただ、市町の財源を伴う司書の配置にまでは、やはり法規制をすべきではないだろうという判断でここは整理をしているところでございます。

堀江県議
 収支構造改革での学校図書館司書の配置の事業がどういう成果があるかということはおいといても、私としては図書ボランティアということだけでなく、もちろん予算を伴いますけれど、小中学校に専任の学校司書の配置をしてほしいという要望を強くいただいているものですから、その点も発信をしておきたいと思います。